ぜぜ日記

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学生のための政策立案コンテストGEIL2010という異空間。感想とまとめ。

先日開催されたhttp://www.geil.jp/geil2010/index.htmlに参加してきた。

そのコンテストの紹介と、コンテストを通して感じたこと、考えたことを主観的に散漫にだらだら書いてみる。

「意識の高い(≒自己顕示欲の高い)学生で集って缶詰にして議論させまくって考えさせまくるとなにが起こるか」

  1. GEILとは
  2. 医療問題について
  3. チームワークの難しさ
  4. 感想
  5. 得たもの

1.GEILとは

GEILは1999年から始まった学生向け政策立案コンテスト。毎回、さまざまなテーマを与え、合宿・グループワーク・ケースメソッド方式で学生に問題を分析させ、解決策である政策を提案。それを審査するというもの。学生団体WAAVというのが母体になってるらしい、経済産業省松下政経塾も後援に入っていてわりとちゃんとしたものみたいだ(こういうブランドで安心する自分にはらがたつw)。
全国から、といっても3分の2くらい東京民、が80人集って議論する。スタッフも40人くらい。東大早慶がほとんどだけど、医学部とか看護系の人もいた。理系は参加者のうち3人?女性は3分の1くらい。2,3回生が中心で、1回生4回生もけっこういた。参加倍率は2倍程度とのこと。ちなみに一週間前に開催された姉妹団体によるビジネスコンテスト、KINGは倍率4倍だったらしい。
5人1チーム、計16チームで与えられた課題の解決策を考えて、発表。うち4チームが決勝に進出し、偉い審査員や一般の観客の前で発表する。
東京の、代々木オリンピックセンターというところで6泊7日、ひたすら考えて・議論して・みんなでご飯食べて・寝る。ここは新宿から2駅のくせにsoftbanke-mobileともに電波がカスすぎて泣きそうであった。
6泊7日の中には、課題のテーマに関する現場を調査するフィールドワークや、現役の官僚を招いて自分たちのアイデアについて聞いてもらいコメントをもらったり議論する時間もあった。

2.医療問題について

今回のテーマは社会構造の変化により今後問題となるであろう医療難民。
医療や介護が必要だけど受けられない人をどうするか、という議論。
120ページくらいのスタッフがきちんと調査してつくったケースブックという資料集や専門の本、ネットなどを用いて考える。
ややミスリードもあり、みな介護難民の方向に進んで、審査員に首を傾げられた。

で、がんばって調べた医療なんだけど、これはやばいです。一週間で調べて分析したことを簡単にまとめると、
1.少子高齢化・家族構成の変化・技術の発達により疾病構造が変化し、慢性化する患者が増えまくっています。
2.その結果、現在は医療費がGDP比6%だけど、マッキンゼー社の調査によれば、このままでは2030年に13%になる。高齢者率も増えるし、若年層にますます負担がかかるし、介護人材の確保が難しくなる。
3.そこで長期的には需要を抑制する方法を考えないといけない。予防やリハビリなど。
4.でも現在も医療・介護難民がたくさんいる。特に特別養護老人ホームでは利用者よりも待機者が多い。
5.待機者の半数近くが在宅で介護を受けていて、家族に負担がかかりまくってる。
解決策にはここでは言及しないけど、どう痛みを分けるかが課題。
考えすぎてソラでも発表できるので、いつでも声かけてくれたら実演します。みんなの許可とれたらスライドもアップするかも。

ヒントになりそうな記事

3.チームワークのむずかしさ

知識レベルも考える基準も価値観も違う5人で、これだけ複雑な議論をするのは一筋縄ではいかない。
頭がいい人はいくらかいたけれど、民主主義の罠にかかったのか平凡化したり変なものになったりしていた。強いところは、頭も力もある1人が引っ張ってるか(あるいは後ろから押してるか)、頭が良くて謙虚さを知っている人が多いところか。
とにかく頭が悪いのに頭が良いフリしようとするやつが困る。おれだけど。

複雑な問題への取り組み方は、授業とかでやってたソフトシステムアプローチ・システムシンキングなどが使えたかなあ。
ブレストとかも知らない人がいて説明しないといけなかった。当たり前だけど、そんなことに気づけなかった自分が狭い世界に生きてるなあと実感できた。

なぜか、一部でぼくが評価されてるみたいだけど、それは出しゃばりスキルが良い方向に発露したのと、年の功、研究室や就活、部活の運営で議論しまくったことによる経験の差だと思う。1,2年生の参加者が参加者がぼくと同い年(23歳)になるころにはぼくよりももっとできる人間になってると思う。ぼくが1,2回生だったころはこういった活動を知らなかったし、参加するガッツも無かった気がする。ただ、自分だけでやれるわけは当然無くてチームのみんなに大いに助けられたことは明記しておく。

チーム5人での議論・作業はしんどいし頭がこんがらがるけど非日常で刺激的だった。対象がとても複雑で1人ではとらえられず調べきれない問題をどうチームで考えていくか、議論の進め方からチームワークまで悩むことだらけ。

どうやればチーム作業でいいアウトプットが出せるかちょっと考えてみる。
1人でも経験のあるファシリテーター(なんて訳せばいいんだろ)がいればけっこう違いそう。うまくいくチームは「いま、どういった前提のもとで何を目的に議論しているか」ということを常に意識しているか、意識させる人がいる。各個人については、相手の意見、ひいては相手を尊重することと、自分の意見を言うタイミングを意識することが求められるのかな。
曖昧なソフトなスキルだ。。

6人以下のときにチームの役割の分担はじつはあんまり好きくない。司会とか書記とかその場の流れで進めばいいと思う。
下手に分担すると硬直化しておもしろいアイデアがでなかったりするような。司会とかになったら自分のアイデアいいにくいよね。ただ作業の分担は必要だし、話の進め方を意識できる人が半分くらいいないときついかも。

4.安易な感想

  • 若い参加者が多いからか、頭がいい(主観的に)わりに論理性や対人スキルの低い(ように感じた)人が多かった。そうでない人もたくさんいたけど。
  • それか個人個人は優秀でも、チーム作業の経験がないからか、衆愚の罠に陥って、平凡化したり合意がとれず半端なものになったのかもしれない。
  • その結果、アウトプットも論理性に欠いていたり、スライド作り馴れていないからかわかりにくさが目に付いた。一方でおもしろくてとんがった、舌を巻くようなアイデアも多かった。(タンカー作戦とかH手法とか)
  • なにかしら野望をもっていたり、世の中を高い視点で見ている人も多く、社会についての議論は非常に盛り上がった。(自尊心と自己顕示欲が高いひとも多い、というか相関がある?)
  • 頭が良いかどうかとは別に、今までで一番出世しそうなコミュニティではあった。これも主観的だけど。
  • チーム5人での議論・作業はしんどいし頭がこんがらがるけど非日常で刺激的だった。対象がとても複雑で1人ではとらえられず調べきれない問題をどうチームで考えていくか、議論の進め方からチームワークまで悩むことだらけ。
  • スタッフの質がやばい。1回生・2回生が中心なのにSSというサポートスタッフはすごく細やかな気遣いがあり、2チームに2人つくCC、ケースチェッカーはとても勉強していて、議論を支えてくれた。これだけの質のスタッフを集めてさらに訓練し運営しているやりかたがすごい。前実行委員長と話していて聞いたんだけど、コンテストのありかたもどんどん変わっていて、設立11年なのに硬直していなく、どういう運営してるのか気になった。
  • チームでの議論や、チーム以外の人との交流もとても楽しかったけど、医療という問題を考え続けていると暗澹とした気持ちになった。
  • 1回生のころに参加してみたかったなあ。
  • 非日常に同じ課題をずっと考え続けるという要素は、仲良くなるにはかなりいい環境。女の子も可愛くて素顔もいろいろ見えておもしろかった。ひょっとして出会い系?女の子に限らずね。

5.GEILでなにを得たか。

研究を一週間止め、先生からの信頼を失ってまで得たもの。

  • 友人。特に東京在住で大学低学年で野望がある人たち。出会い系だ。(可愛い子多いし)
  • 議論の実地訓練。一週間で飛躍的によくなった、ということはないけど、複雑な問題を扱う難しさを改めて知ることができた。
  • 政策をつくるということを知ることができた。要求される高い論理性、現場と行政の乖離、お金の扱い方の難しさ。官僚、悪いイメージばっかだったけど(組織に対して)、いいかも。来年受けてみようかな・・・
  • 楽しさ。娯楽としてもかなり良かった。人間は最大の娯楽。


最後に、ひとつだけ。実行委員長が講演の中で坂口安吾の「精神論」の中で宮本武蔵の言葉を引用したものを孫引きしたものを聞いたもの。「我 事において 後悔せず」。宮本武蔵はたくさん後悔してきて、その結果、これからは後悔しないように、と思うようになったのだそうだ。
ここからは自分解釈だけど、事後的に後悔しないのでなくて、事前に、後悔しないように行動する。ということだと思う。その結果、後悔しても次には後悔しないように、と取り組む。

(順調にいけば)今年で卒業でもう参加できないのが残念。
みんなありがとう。