ひとつまえの記事でも書いたように勤労感謝の日は慶応のORFにいってきた。
慶応SFCのオープンリサーチフォーラムに行ってきました - だいノート
しかし、行ってきたのはそれだけではない、六本木から意外と近い三田に慶応の学祭にも顔を出してしまった。といっても2時間ばかりであるが・・。
これまで慶応のイメージは、おしゃれで意識高い慶應ボーイ的な側面と、ラーメン二郎 三田本店を育てて、育てられてきた野性的な側面があるのかと思っていたが、どうやら認識を改めなくてはいけないようだ。
慶応の三田キャンパスに足を踏み入れるのは、じつは初めて。東京タワーに見下ろされる街並みに一際異様で威圧的な門。構内は坂も多く古風な建物と学祭で盛り上がる人々のざわめきが対照的であった。
今回の目的は秋元康の講演会だ。おニャン子クラブやAKB48をプロデュースした鬼才で、その他にも放送作家、作詞家、脚本家、映画監督など多彩な分野でクリエイティブを体現しているすさまじい人。
テーマは『エンターテインメントとビジネス』~時代はよむのか創るのか~
登壇者
- プロデューサー 秋元 康 氏
- 株式会社ソニー・ミュージックエンタテイメント 竹中 幸平 氏
- 株式会社電通 藤田 浩幸 氏
流れは秋元さんがしゃべって、たまに竹中さん、藤田さんに振るというスタイル。わりと思い付きな感じで進んでいたけれどとてもいい示唆をくれるものやなるほどと思うものが多かった。竹中さんや藤田さんは、なんだか元気もなさげで秋元さんからの質問にもヨイショというかちぐはぐな解答しかしていなく残念だった。
全体の流れを記述することは難しいので気になった言葉を列挙していく。
- エンターテイメントは直接はビジネスにならない。その周辺でお金を稼ぐ。
- むかしの紙芝居屋さんは見るのは無料で、飴を売ることで利益を出していた。
- エンターテインメントを仕事にすることに向いている人間とはアヤシイ人間。アヤシイ人間が100人集まってその中の一人がコンテンツを「当てる」ことができる。
- 優秀なプロデューサにはクリエイティブでない人も多い。あるものをどう使うかが優れている。
- この業界でやっていくには趣味を持っていてはいけない。24時間仕事。
- あまりの忙しさに、事務所では血尿が出ると手当を出したりしていた。
- 今からエンターテインメントを仕事にするのならば、「アイドル」に目をつけることは間違っている。
- 誰も目を向けないところにチャンスがある。
- AKBは価値を希薄化しないためにただ写真を載せただけのグッズの販売は認めていない
- 海外は興行的にやるのではなく、面白そうだからやっている。現地のファンをみてスタート。
- 成功するにはある種の勘違いが必要。
- ある女優は売れていない時からサングラスやマスクをしていた、そのあとスターに。
- 自分の仕事のモチベーションは、俺が言ったとおりだっただろ、ということを証明すること。-人生は結果よりも費やした時間が楽しかったかどうかが大事。
- セガの湯川専務など、無名の人が有名になるところを見ているから、できるものもある。
- 夢は全力で手を伸ばした1mm先にあり、すぐ叶うところであっても本人には気付かない。
- コンセプトはいわゆる大きな会議やプレゼンテーションからは生まれない。
- これからはコンセプトを作るのではなく、サンプルを作ることが大事になってくる*2
- 奇跡や運命がある。
それと質疑応答では、秋元先生に弟子入りしたいとか、自分をプロデュースしたいとかいろんな話も出てた、どちらもそこの秘書に伝えてくれと・・。
記録を書いてみると、濃い言葉ばかり、哲学がある。
成功者、プロデューサとしてのイメージから、わりと高慢さを先入観として持っていたけれど、話のイメージからは自信に裏打ちされた鷹揚な謙虚さを感じた。そしてプロデュースすることが人生だと言わんばかりに仕事の鬼。すごい人だと思う。精神的質量の大きな人。
クリエイティブの世界に不覚にも憧れてしまった。
おまけ
あと運営が興味深かった。大きな会場を押さえ、予約を受け付けて人を集める、そして開場前から行列をつくる当日参加者たちには整理券を配って入場もきれいに実施する。受付もスムーズに実施して立ち見にならないように管理する。どれだけ準備しているのだろう。ただスタッフは数10人いたようではあるが質は・・。入場者の誘導がいい加減、司会者が登壇者の名前に詰まる、質疑のマイクの受け渡しが遅い、終了時間を20分過ぎても質問を抑制しようとしない、などなど。ただそれでも大きなイベントを運営するのはむずかしいしこれだけのイベントを運営するのは尊敬に値する。