ぜぜ日記

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読書メモ 火車 河童が覗いたインド とか

ちょっとひさびさに、読みかけがたまってることと技術書が遅々としてすすまないので小説系ばかり。

火車 宮部みゆき
このミステリーがすごい!で1位にもなったことがあって、それをきっかけにブックオフで買った本。買ってから2年くらいたってる気がする・・・。
ミステリとしてはかなり上質、物語的で事件としては出来過ぎ感もあるけど楽しめて読める。
でも多重債務者やクレジットカードのキャッシング、戸籍情報、企業の情報管理などわりと現実的でハードなものをテーマとして選んでいて考える切っ掛けになるかも。出たのが19年前、1992と古いけどそのバブル後な感じのわびしさもにじみ出ているような気がする。
多重債務の消費者金融周りの闇は、借金をかさねるのは特殊な人ではないということが強調されていたかな。そこらへんからお金を集めている消費者金融経営者・関係者、そしてそうした業界が有利になるような制度をつくっている政治家たち、そこらへんの「上部構造」の問題も掘り下げてみたいな。いまはけっこう違うかもだけど・・・パチンコとか風俗とか近いのかな

お金が集まりやすい業界、ややグレーで、世間的にも「下」に見られやすい。そこはお金があるけど行政のさじ加減ですぐに成り立たなくなる、で、そのお金でロビー活動をする。お金がかかる政治家もそうしたものを拒否できない、あるいは歓迎してしまう。ここらへんを防ぐにはどうしたらいいのかな。少なくともモラルとか罰則では難しい気がする。



人口学への招待
河野稠果
中公新書の招待シリーズ、高校生のときに人口学への招待は読んだ気がする。これは少子化や高齢化を考える上で重要な指標、合計特殊出生率や平均寿命を読み解く上で必須となる知識を含めた人口学の知見を解説したもの。社会科学の中ではもっとも予報精度が高いがその裏に統計学的な工夫の積み重ねがあることを見て取れる。
少子高齢化の処方箋ではないが、それを考えるための基礎知識ではあると思う。あと統計学の応用手法としておもしろい。



河童が覗いたインド
妹尾河童
あの手書き文字のあれ。ヨーロッパのものもよかったけどインド編はほんとおもしろい。
インドをいろいろ探索したかのような感覚、妹尾さんの外国人としての謙虚さと観察する態度が良い。海外に行っても海外のことなんてなにもわからない。いったとき、自分がどう感じたかがわかるだけ。海外に限らず、国内の地域も人も会社もかな。



レジデント初期研修用資料 医療とコミュニケーションについて
medtoolz
病院で発生するコミュニケーションの難しさと処方箋を示した本。けれど医療関係者でなくとも参考になる部分は多岐に渡ると思う。特に一般市民・顧客と相対するプロフェッショナル。専門家であり期待されているからこそのコミュニケーションの齟齬、問題の発生を防ぐ。
簡潔な文体と鋭い洞察は読んでいて楽しい、たまに論理的にはどうかなと思う部分があってもそれは論理でたどり着くには難しく重要な指摘もある。なんだかうまくまとめられないけどすごい本。こんな考え方したいな。リファレンスも豊富。