ぜぜ日記

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読んだ本 2015年8月

秋の風が吹いて、夏の終わりを感じるこの頃ですがいかがおすごしでしょうか。 涼しさに居心地の良さを感じつつも、あの焼けるような日差しと重い蒸し暑さがないことに寂しさも思えます。 夏の終わりの安堵と寂しさはなんなのでしょうか。

さて、2015年の夏も過ぎて行きました。 自分が何をなしてきたかはさておき、いつもどおりに読んだ本を振り返ってみます。

欲望のメディア

欲望のメディア (小学館文庫)

欲望のメディア (小学館文庫)

猪瀬直樹氏が冴えていたころの作品。 ミカド三部作のうちのひとつで、先月に読んだ土地の神話がたいへんよかったのであわせて読んでみた。

テレビを開発しようと苦闘した高柳博士や、警視庁刑務部長から読売新聞に転じ中興の祖となった正力松太郎、テレビのスターとなった力道山、日産の鮎川義介三木鶏郎田中角栄などなど多彩な人物からなる日本でのテレビビジネスの勃興を描いたたいへん愉快なノンフィクション。

ナチスのプロパガンダ機械からはじまり街頭テレビ、広告ビジネス、全国ネットワーク、放送網などなどすさまじい勢いで構築されたビジネスモデルと文化をもったテレビ、ほんとすごいと思う。これができて60年で制度疲労してビジネスモデルの問題点も露呈しているけれど、これからどうなるんだろなー、と思いながら読んでいた。

大本営参謀の情報戦記

大本営の情報参謀を務めた筆者が1989年に出版したもの。参謀の著書としてはもっとも遅い時期だろうか。 本人の自著がどれほど正確かはわからないけれど、情報参謀としての苦労や敵の動きを読むことなどかなり読ませる。 一番重要なのは、日本軍の敗因として過度の精神主義、情報の軽視、期待と予測の混同などを指摘していること。これらは現代組織でもよくみられることでまだまだ先の大戦から学ばないといけないことは多い。

さくっと読める文庫本でエンターテイメントでもありつつ考えるきっかけの多い本だった。

ほか大戦から学ぶ系だと、有名すぎるけれど「失敗の本質」もぜひ。さがせば分野ごとにいろいろあるだろうけれど、なにかおすすめありますか?兵站やってた人の良い本あれば読んでみたい。

業務システムのための上流工程入門

業務システムのための上流工程入門―要件定義から分析・設計まで

業務システムのための上流工程入門―要件定義から分析・設計まで

デマルコ氏のDFDとJ.マーチン氏のIE手法をもととした業務の記述方法が簡易に説明されている。 若干我流部分もあるけれど、非専門家に伝わりやすいようにカスタマイズされていて便利そう。自分もこういう書き方してみようかな。

システム開発を専門とする人よりも、開発会社に依頼することになる人が読んでおくとよさそう。

2003年の本ではあるけれど、業務システムに取り組むための方法論は現代でも大きくは変わっていないのかもしれない。 はやりのドメイン駆動設計でも、いわゆるユビキタス言語を取り出す部分と、業務システムを明らかにしていく部分は作業としては近いように思う。ただ、プロジェクト組織のありかたが変わっていそう。ここらへんのモダンな定石知りたいところ。

あと、コラム中で触れられている話題ではあるけれど、いわゆる上流工程の経験を重ねるためには、元請として案件を受託できるような営業力のある小さめのソフトハウスで働くのが近道ではないか、とのこと。その選択肢は自分の就職活動時には思い付きもしなかったけれど、もっと候補にあっていてもよいと思う。 たしかに、就活生になぜか人気のある大手SIerにはいると、たいていの場合、既存の巨大案件の末端を長く担当することになる。そして、単価が高いためにサブPM的な調整ごとばかりになって設計経験ほとんどもっていないか小さい機能追加くらいしか経験していない人が多くなっているようにも思う。利益を出すためのアウトソーシングが人を育てなくなっている。とはいえ、 たいていの偉い人はだいたいこれを理解しているのだけれど、巨大な組織とビジネスになっていて既存の構造からスイッチすることができずにいる印象。これからどうなるんでしょうか。

マンガ

地上はポケットの中の庭

地上はポケットの中の庭 (KCx)

地上はポケットの中の庭 (KCx)

尊敬する先輩が買ってきて読ませてもらった短編集。自己表現が苦手な人の話。よい。 もっと自分の意思をはっきりしろよ!と思って読んでいたけれど、思えば自分も曖昧な態度をとりつづけているしだめ。

ソラニン

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

きっとなにものにもなれないだろう共依存カップルを描いた話。 つらい。 ただ、いにお先生のマンガは、心のつらいスイッチを機械的に押してくる印象がある。

ダンジョン飯 2巻

話題作の第2巻。やっぱりダンジョンはわくわくするんだけれど、そのなかでもより生活面にフォーカスしている本作は着眼点がすばらしい。 モンスターの生態は博物学的でボルヘス的な感じさえあるし、ほかの冒険者の状況や、他種族との関係もよい。

ちょっとまえにインターネットまわりで魔王と勇者ものやオンラインゲームものがはやったりしているけど、その流れで再ダンジョンブームくるかもしれない。 小学2年のころ、スーパーファミコントルネコの大冒険をやって以来のダンジョニストのつもりではあるので自分も一石を投じたい。

とはいえ、テーブルトークRPGダンジョン&ドラゴンとか古典は知らないし、Wizardlyもちょろっとしかできてはないのでいい加減だけれど。 ダンジョンものだと、小学生時代に読んだトルネコのコミックスはおもしろかった気がする。話の筋は全然違うが。あとは、これまた児童書だけれど「選ばなかった冒険―光の石の伝説」も想像力を刺激したなーとか思い出した。ほかなにかあったかなあ。。

昴・ムーン

昴(1) (ビッグコミックス)

昴(1) (ビッグコミックス)

曽田正人のバレエマンガ。異常な才能と狂気をもつダンサー、昴の生き様とでもいうものを描いている。 自分の語彙と表現力の問題でうまく説明できないのだけれど、めちゃめちゃ迫力がある。狂気とでもいうような執念があって読むのが辛いところもあるけれど、後味は悪くない。続編のムーンではさらなる飛翔を描いていてこれもほんとよい。 バレエ、観たいなあ。

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