うんこめも

自律分散うんこ製造システムについてのメモ

11月12月に読んだ本:こんな夜更けにバナナかよ、洗脳の楽園、マイ・アメリカン・ジャーニー、沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史

師走は忙しいけれど楽しい。忘年会やクリスマス会と称していろんな人とお酒を飲めるし身にしむ寒さと対照的に街は華やか。あざといイルミネーションやクリスマス商戦も楽しそうで良いです。他人事ですが。

そうこうしているうちにいつの間にか年の瀬。年を越す心構えはまだ出来ていないけれど、いつもは月が終わってから書いている本記事もちょっと早めに書いて年越しに備えます。

こんな夜更けにバナナかよ

今年最高のノンフィクションと思うような読書体験は今年何度目だろう・・・。
この奇妙なタイトルからは想像しがたいけれど、本作はある筋ジストロフィー症の重度身体障害者と彼をささえる多くのボタンティアについてのドキュメンタリ。

テーマだけを聞くと間違いなく重い。なのに不思議な明るさがあって引き込まれる。
心肺を含め多くの筋肉が衰え、生きるために24時間体制の介護が必要という状態にも関わらず実家でも病院でも介護施設でもなく1人暮らしをしている。そんな状態を実現するために多くのボランティアが集まっている。

この本では身体障害者の苦悩や努力も掘り下げていて考えさせられることも多いけれど、それだけでなくボランティアのメンタリティにも深く迫っているのが特徴。ボランティアはただ奉仕するだけでなく、なにかを目的としている。どういう人が参加するのか、ボランティアというコミュニティはどう組織され、参加しているひとたちはなにを学んでいくか、といったことがすうかがえておもしろい。

なかには障害者の聖化を期待するボランティアもいたり対象に依存してしまうボランティアもいるけれど、死ととなりあったなかでほかにない濃い人間関係があったようだ。介護ボランティアというのはなにか意味のある機能を持っているのではないかと思った。

もちろんボランティアされている障害者、鹿野さんの精神的質量の大きさも魅力。
小学生高学年になるころから徐々に筋力が衰え、死の匂いがする施設に入り、そこでくじけずに立ち上がろうとしていく変遷は重いのだけれど熱いものがある。

出来ないことなら、周りの奴にやらせればいい。何をするかを自分で決めて生きることが自立だ。


本署はノンフィクションとしての原則からは外れ、作者がその人間関係にどっぷり浸かってしまっているように思える。その分、主観的であるのだけれどそれが深みをもたらしている。

身体障害者の苦悩の歴史も説明されていたのも良い。紹介されていた本など読んでみようと思った。


作者の7年ごしの作品「北の無人駅」もたいへんおもしろそう。文庫だったら間違いなく即ポチだけれど、ハードカバーは気が引ける・・・。電子書籍で出して欲しい。


フェラーリと鉄瓶

タイトルからは禅っぽいデザインの本かと思って買ったけれどそうではなかった。ポルシェのチーフデザイナーやフェラーリのデザインディレクターをしていた工業デザイナー奥山清行のエッセイ集。小さい頃から車の絵を描きまくってきたことからはじまり海外で働くことやイタリアの文化、ブランドを構築すること、デザインすることと野心あるデザイナーたちを率いるためには誰よりもデザインしないといけないという組織論までゆるく書かれている。



ワセダ三畳青春紀

ある大学生が早稲田の3畳月12,000円という安宿、野々村荘で9年間過ごしたという日常系記録。変わった人間との変わった交流が愉快に描かれている。

「6年生〜8年生(上級生)」というさりげない表現が学生の業深さを示しているうえに大学に行く描写はほとんどなく授業に出る気配は皆無というのもよい。早稲田大学の懐の深さと人材の豊富さはほんとうすごいと思う。


カッパ団事件や、ラジカル加藤さん、占い師になるくだり、大家のおばちゃんとNさんなどなどよくもここまで話があるなと思われる。おもしろ系の話が多い中で、元同級生たちが仕事で成功していったり結婚して家庭を築く中、ニーとしている主人公と友人が行き詰まりを感じるというのがなぜか身につまされた。

その後、恋をして野々村荘を出て行く結末は赤面するほど豊かな気持ちになれます。大学生諸氏はお手本にすると良いと思う。

著者の高野秀行氏はほかにも反政府ゲリラと共に7か月間アヘン栽培をしてきた「ビルマ・アヘン王国潜入記」やコンゴに怪獣を探しに行った記録という「幻の怪獣・ムベンベを追え」などかなり興味深い本も出しているし読んでみたい。

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)


異国トーキョー滞在記

「外国人と東京を歩くと、なぜか東京が異国に見えてくる」
ゆるふわ冒険家の高野さんが日本で遭遇した何人もの外国人と彼らを通して見た日本のエッセイ。
たいへん笑えるしふと考えさせられるし温かい気持ちになれる。本人は自分をちゃらんぽらんに謙遜している感じはあるけれど、天才だと思う。愛嬌と文章、語学と度胸を兼ね備えている。
国人の視点から見た日本のおかしさというよりはおもしろ外国人バトルみたいな趣もあるけれどそれぞれの話に人間的な物語が詰まっていて引き込まれる。
本書にも登場し筆者が東京を案内したり著書を翻訳することになるコンゴ人文学者ドンガラさんの本読みたい。

異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)

異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)



洗脳の楽園

ヤマギシ会というカルト団体を知ったのは斉藤貴男の「カルト資本主義」。京セラ*1船井総研、ソニー*2アムウェイと並んで一章割かれていたヤマギシ会には恐ろしさとともに異彩を放っており興味をかきたてられた。

ヤマギシ会は19世紀のユートピア・コミューン幻想を具現化したような農業を中心とする集団生活者たちの団体。内部では貨幣や家庭をもたないという徹底ぶり。そんなことがなぜやっていけるのか、そしてその理想と裏腹に発生するきなくさい事件はなんなのか気になっていた。

その純真無垢なコミュニティは、特講と呼ばれる講座を経て会員を増やしている。
その特講は人為的に解離性障害を起こさせるもの。それがもたらす多幸感と全能感をヤマギシズムのすばらしさと錯覚してしまいすべての財産を寄付し子供を預けるまでにいたり、さらに子供が虐待されていつつもヤマギシのすばらしさを信じる余り親は気付かなくなる。

10数人のスタッフで一度に100人規模を対象としうち多くのものを吸い寄せるほどに洗練されている。洗脳していた人もされていた人も洗脳とは気付いていないのが恐ろしい。ある種の自己啓発セミナーと同じだろうか。そして子供や女性を搾取してユートピアを継続させている。ヤマギシで子供を育てれば元気で自然のママに自分でできる子になる、そう信じる親が、栄養不足で体は育たず、体罰跡もあり精神的にも虐待されている子供を見てもなにも気付かないという洗脳の構造がほんとうに怖い。強固なイメージ・先入観は目の前の現実を見せなくする。

過酷な特講のさなか、脳内に浮かんだユートピアを顕現させたのがヤマギシ実顕地。その恐るべき、驚くべき実態が描かれている。

Wikipediaの項目の多くはこの本をもとに書かれているのでここを読むとよいと思う。
幸福会ヤマギシ会 - Wikipedia

洗脳の楽園―ヤマギシ会という悲劇 (宝島社文庫)

洗脳の楽園―ヤマギシ会という悲劇 (宝島社文庫)


マイ・アメリカン・ジャーニー

NYのハーレム育ちの黒人ながら陸海空を含む全米軍のなかでトップである統合幕僚議長に登り詰めるというまさにサクセスストーリーを体現した男の自伝。冷戦初期に米陸軍に入隊し各国に配属、ベトナム戦争にも従軍している。その巨大な組織での働き方は知らないことだらけ。またひょんなことから軍担当として入り込むことになったホワイトハウスの裏側からみた世界が描かれていてたいへん興味深い。どちらも組織を動かすための示唆に富んでいる。


マイノリティであった彼がこれほど出世できたのはなぜか。
自伝という主観的な情報のみでしか判断できないけれど、仕事が出来て上司(キーパーソン)の覚えが目出度かったから、ということに尽きる気がする。ほかの仕事が出来る人との違いは運か上司に気に入られるか、だろうか。自伝から窺える性格は、きっちりしていて自他へ厳しいように見える。学校でも優等生ではなくしゃべりがうまいわけでもなく誠実さが窺えた。もちろん自伝なので悪くは書かないし謙遜もあるだろうのでいっしょに働いていた人の意見を聞きたいところ。

彼はレーガン、ブッシュ、クリントンといった歴代大統領の信任も厚く、この自伝を出した後ブッシュJr時代には国務長官も務めている。ちなみに軍人出ながらも穏健派でありイラク戦争の開戦に反対していたということである。

また、彼が机に貼っていたというメモ、コリン・パウエルのルールが印象的であったので引用しておく。

  1. 何ごとも思っているほどは悪くない。朝になれば状況はよくなっている。
  2. まず怒れ、そしてその怒りを乗り越えよ。
  3. 自分の地位とエゴを同化させてはいけない。さもないと、立場が悪くなったとき、自分も一緒に落ちてしまう。
  4. やればできるはずだ!
  5. 選択には細心の注意を払え。それが現実になるかもしれない。
  6. 良い決断をしたら、それをくじくような事実にもくじけてはいけない。
  7. 誰かのかわりに選択することはできない。誰かに自分の選択をさせるべきではない。
  8. 小さいことをチェックせよ。
  9. 手柄を一人占めするな。
  10. つねに冷静に、かつ親切であれ。
  11. ヒジョンをもち、自分にたいしてより多くを求めよ。
  12. 恐怖心にかられて悲観論者の言うことに耳を傾けてはいけない。
  13. つねに楽観的であれば、力は何倍にもなる。

権力を持った人間の箴言であるけれど、なるほどとは思う。

今年読んだ中で一番いい自己啓発書だと思う。


あとACっぽくてこんな記事を書いた。
ACの法則の海外事例 - うんこめも

マイ・アメリカン・ジャーニー“コリン・パウエル自伝”―少年・軍人時代編 (角川文庫)

マイ・アメリカン・ジャーニー“コリン・パウエル自伝”―少年・軍人時代編 (角川文庫)

  • 作者: コリン・L.パウエル,ジョゼフ・E.パーシコ,Colin L. Powell,Joseph E. Persico,鈴木主税
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: 文庫
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考える生き方

極東ブログをやっているアルファブロガーFinalvent氏による自伝。
「ブログ」っぽい文体と内容。自分では普通の人と書いているけれど、普通の人などいないということがわかる。サラリーマンからフリーランスになったくだりは自分の働き方と比較してしまいそうになるし、36才にして10才下の奥さんと結婚、出産を機に奥さんの出身地である沖縄に越した話も興味深い。病気になった話や死への予感については自分だとどうかなと考えてみてもあまりぴんとこないけれどそれはまだ自分が子供だからかもしれない。
自省的なところは綺麗。ただなにかが意図的に書かれていない気がするけれど、それがなんなのかわからない。

考える生き方

考える生き方


ネットで売れるもの 売れないもの 増補改訂版

黎明期からこれまで10数年、大きく変化しているEC。かつて自身が2度楽天のベスト店長賞を受賞した販促のコンサルタントが書いた案内書。楽天かAmazonのモールか自社か、効果の出る広告の出し方など書いていてあまり業界を知らない人には参考になるかも。
もうプレーヤーも出そろって消費者側もクオリティの高いネットショップになれている今、ネットビジネスの参入障壁は高く買ってきていると思う。著者はいまからやるなら日本一になる覚悟が必要で、地域性やジャンルでニッチを見つけないと難しいと言う。物販よりもサービスや情報に可能性があるそうだ。
ブランディングには広告費がかかるし難しいよね・・・。ネットで売って寝て暮らすのは幻想です。


別冊太陽 土門拳 鬼が撮った日本

古本屋で見つけた写真集です。ずっと名前がかっこいいなあと思っていたけれど、この人の写真と意識して見るのは初めて。ただのスナップや、へえといっただけで通り過ぎそうな仏像がこれほど迫力を持って撮られるのに衝撃を受けて買ってしまった。撮る事への執念すごいと思う。いい写真は写すんじゃなくて写るんだ。自分もいい写真を写らせたいです。

土門拳 (別冊太陽)

土門拳 (別冊太陽)


沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史

佐野眞一によノンフィクション。沖縄には負い目がある。沖縄は太平洋戦争で国内唯一の地上戦となった場所だし、ひめゆりの塔の話もある。国内の米軍基地の7割が小さな島に押し込まれており事故もあるし軍人による犯罪もあるしで本土者(ヤマトンチュ)の自分からは南国への憧れとともに後ろめたさがあったりする。


沖縄モノと言えば、戦争か基地関係、観光か生態系かくらいと思っていたけれどこの本からは沖縄の人間臭くて濃い部分がたくさん描かれている。

沖縄ヤクザの成立には米軍の物資を盗んだ戦果アギヤーあがりと空手を習った愚連隊系がいることやそれぞれに占領時の苦労があることがわかる。それらが抗争して幹部を暗殺したり、そのヒットマンの現在など。本土と違う出自をもつ警察や沖縄四天王と呼ばれる産業界の覇者たちの立身出世、米留組のエリートたちから沖縄出身の芸能人と本土の関係。反戦運動ばかり着目される基地の所有権の問題の一方で儲けまくっている基地地主がいるという話から風俗街の歴史など。やや露悪趣味かなというところがなくはないけれどたいへん興味深い。

一番おもしろかったのは沖縄の差別。当時の本土のアパートでは朝鮮人・琉球人お断りのところも少なくなかったほど差別される沖縄は、決して無垢な弱者ではなくさらなる弱者である奄美出身者をひたすらに差別していた。たとえば奄美が一足先に本土復帰した際には産業界の要職にあった奄美出身者を追放したり、リベラルな新聞も奄美出身者の犯罪をことさら強調していたということ。奄美や徳之島の歴史はまた別途調べてみたい。


ただ文章がちょっと週刊プレイボーイ的なので注意。「耳が勃起しそうになった」とか「会うまでは我利我利亡者だと思っていた」とかうへえとなる。しかし佐野眞一先生に限らず、立花隆先生も最近の作品は文章が下品になっている気がする。成功体験が傲慢にしているのか、編集者が止められないのか実話系雑誌への回帰か。なんなのだろう。

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上(集英社文庫)

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上(集英社文庫)


農業系

何冊か農業系の本を読んでみました。感想はこんなです。
農業について調べてみたことメモ - うんこめも

引き続き読みかけのものもあるので来月はもうひとまとめしてみたいところ。

「出会い」系

読み切っていないので感想はまだですがこんな記事を書きました。
人類には早すぎたコミュニケーション技術:ラブホテルテレビ電話 - うんこめも


アニメ

劇場版 魔法少女まどかマギカ 叛逆の物語

ファンディスクのような内容でした。

「人でないモノを愛した少女は最後には自分が人間であることを辞めて恋を成就させるんだ。ハッピーエンドだよ。だろう?」


旅行とか

日光

いきました。観光というよりはゆっくり逗留したいところ。温泉最高・食事最高
冬の中禅寺湖を眺めながら、灯油ストーブの匂いが漂う蕎麦屋でだらだらするの最高だった。

冒険家の押し入れ

板橋区の植村冒険館の展示。無料では入れるし常設も小さいながらも印象的で楽しい。冒険もおもしろいけれど冒険家という人がおもしろい。
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_news_release/056/056883.html

北極圏を犬ぞりでまわる前にイヌイットの家庭に1年近くホームステイしていろいろ教えてもらっているというのは初めて知った。そこらへんの話もっと知りたい。

Perfume Live Level3 東京ドーム

のっちさんまじ天使。鮮やかで動きとあったプロジェクションマッピングやビュンビュン飛び回る照明など舞台装置がほんとすごいし現代アート的な体験だった。ただ、楽しかったけれどそれほど恍惚は感じなかった。

カップルできている人からおっさん連中、女子大生のグループまでいてほんとファン層広いしマナーいい人ばかり。東京で4万5千人*2日。大阪でも3万人*2日ほどやっているので日本人の1000人に1人は参加したことになるしほかにこんなアイドルいるだろうか。



まとめ

娯楽系な本ばかり読んでしまった。頭を使うようなのやいい仕事をするために必要なことあまり読めていない気がする。
本を読んでもうちょっと人としゃべりたい。気軽にビブリオバトルしたい。

興味があるひとやりませんか?

*1:稲盛さんの業績はさておき、その精神論的なモチベーション喚起とそれを盲信する一部社員がカルト的

*2:井深大のエスパー研究所とそれに群がる怪しい人間たち