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うんこめも

自律分散うんこ製造システムについてのメモ

人類には早すぎたコミュニケーション技術:ラブホテルテレビ電話

情報学 文化 ネタ

テレビ電話・・・それは大阪万博で華々しく登場し21世紀には普及するだろうと思われていた未来の象徴。

21世紀もとっくに突入した今、skypeなどのビデオチャットは広がっているもののテレビ電話なんて言葉は使われなくなっている。Polycomなどのテレビ会議システムがあるくらい。若者たちはそもそも電話ではなくスマフォ*1でスタンプを交換しあっている。

今回はその忘れられた夢であるテレビ電話のなかでも特異なサービスを紹介したいと思う。


それは俗にいう「ラブホテルテレビ電話」だ。


この言葉だけでピンと来る人もいるだろうがweb上にほとんど情報がないため簡単に解説を引用してみる。

「ラブホテルテレビ電話」。これはコンセンサス・トリップこと通称「C-TRIP」というシステムです。
つまり二人っきりのはずのホテルの小部屋が、テレビ電話回線を通じて、これまたどこかの二人っきりのはずの小部屋と通信できるというものなのです。


昨年夏頃(引用社注:刊行は1997年5月)から、東京・恵比寿にある某クラブが主催して出来たシステムで、実際にひとつの場所に集まらなくても、互いに「見る見られる」喜びを楽しむ仲間と知り合うことを目的につくられたものだそうです。


僕と彼女の東京”相互鑑賞ツアー”奮戦記 (斉藤四郎*2
男と女の「出会い」の本―個人情報誌からインターネットまで、いまどきのセックス交遊録(宝島社)に収録


この見られたい・覗きたいという性癖がどの程度に倒錯したものかはわからないけれどレポートになるくらいなのでそこそこ広がっていたものと思われる。ホテル内でも機器を置いてあるのは数室で置いてあるホテル自体は関東近隣くらいだったようだけれど。


また上記の本によるとプロトコルはこんな感じ。

  1. ホテルのフロントで専用のプリベイトカードを買う
  2. センターに電話をかける
  3. プリベイトカードに記述してある暗証番号を入力
  4. 同じような設備のあるどこかのホテルから電話をかけてきた人と接続されるのを待つ
  5. もし誰とも繋がらない場合には待機。60秒間相手を探しても見つからない場合には転送設定になる
    1. 受話器を置いて転送設定状態にすると他の誰かが電話をかけた時点で自動的に転送される
  6. 相手が見つかると接続。最初は画像はなく電話で話すのみ
  7. ここで相手とお互いに画像を交換しようと合意が成立すると初めて見せ合える。拒否も可能


画質は電動紙芝居というかプリクラ的だそうだ。回線はどうなっていたか気になる。また、料金は20分3.000円でちょっと高い。ちなみに平日の午後か金曜・土曜の深夜がオイシイらしい。


P2Pでありお互いに音声だけで認証してから本通信を開始するという3ウェイハンドシェイクな流れで。どういう会社が開発したのか、今はどうなっているかGoogleで調べてみてもほとんど情報が出てこない。おそらく「ネット起業!あのバカにやらせてみよう」に出てくるような今をときめくweb企業の前身のような会社が絡んでいたと思われるがラブホテルのテレビ電話などこっそりやっていたのではないかと思われる。

参考:真田哲弥のブログ : ネット起業! あのバカにやらせてみよう


90年代中頃の実話系週刊誌やアダルト雑誌では取り上げられていたらしいし稼働するにはそれなりのノード数が必要なので流行っていたとは思うのだけれどネット上にほとんど情報がない。


ほかに利用者の声でも見つからないかと検索するとところどころ謎の広告が挟まったブログを見つけた。いまは落ちているようでGoogleのキャッシュから確認できる。内容は上記の本のコピーでしかない。
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:eo_u2GelpLUJ:dijitaldagitim.com/category/%25E5%2587%25BA%25E4%25BC%259A%25E3%2581%2584%25E6%2597%25A5%25E8%25A8%2598/page/2/+&cd=2&hl=ja&ct=clnk&gl=jp


またゲイ方向のブログも見つけたが内容はやはり自分の手にした本のコピー。
http://megalodon.jp/2013-1123-1806-22/musiclover.info/?p=21(Web魚拓)

本筋からはそれるけれどこうした謎のブログはなんなんだろう?「ッ」と「ツ」と混同しているなど本をOCRしたような感じ。どちらも2013年春頃に開設されている。

それ以外ではほとんど情報が出ない。webも黎明期だしそれなりに使われていた割にあまり情報がなさそうだ。ラブホテル進化論にもこういった項目はなかったように思える。


製品は変わっても形をかえて現存しないかと「ラブホテル テレビ電話」などで調べてみても出てこない以上、いまは存在しないようだ。
ちょっと人類には早すぎたのかもしれない。あるいはこういった、「見られたい・覗きたい」という欲望がある以上、専門サイトなどからwebを通してやっているところもあるかもしれない・・・。


メーカーやいまだに設置してあるラブホをご存知の方がいらっしゃれば情報をご提供いただけると幸いです。


この記事について

本で得た知識をそのままネットに書いているだけかよ、と思われるだろうしそれは否定できない。けれど、この本はもう事実上の絶版だし情報をGoogle先生に問い合わせてもまともなものは出てこない。そこで後に同じ事を調べる無数の人々のために自分が調べた狭い範囲の情報を記録するのが目的です。


参考文献

上記で引用した本「男と女の「出会い」の本」を改題・改訂したものでインターネットも含めて唯一自分がアクセスできたラブホテルテレビ電話に関する情報があった資料。90年代後半のインターネット黎明期に発生した奇妙な出会い産業の文化がわかる。民俗学誌としておもしろい。30人を超えるライターがそれぞれ記事を書いている。今一生さん*3リリー・フランキーさん、永江朗さんなど有名な人も多い。
Amazonに表紙がないけれど届いたときにどきっとするようなのだったので注意。


ラブホテル進化論 (文春新書)

ラブホテル進化論 (文春新書)

ガラパゴスラブホテル


ネット起業!あのバカにやらせてみよう

ネット起業!あのバカにやらせてみよう

いまをときめくweb企業がかつてはエロ系のサービスをやっていたという話や黎明期にビットバレーがどう生み出されたのか書かれている本。
いまは無料で読めるのでITで起業とか興味があったり嫌悪感あったりする人は読むといいと思う。
『ネット起業! あのバカにやらせてみよう』 岡本呻也著
KLab社CEOの真田さん苦労人だったんだなあ。

*1:スマートフォンに対してはスマホという略語が普及しているがこれは「すまないがホモ以外は帰ってくれないか」と誤解される場合があるため本稿ではスマフォとする

*2:巻末の情報によると「’68年熊本生まれ。企画・編集・デザイン・執筆を手がける総合エロ本業者」らしい・・・

*3:最近だとphaさんとのやりとりが印象深い http://d.hatena.ne.jp/pha/20120619/1340064898