ぜぜ日記

ブログです

工事現場で再埋蔵される遺跡を発掘するためのメカニズムデザイン

はじめに

最近ではほとんど聞かなくなったが、高度経済成長期、日本各地で開発が進んだ頃には建物などの建設に際し、多数の遺跡や出土品が発掘された。中には貴重なものも多数あっただろう。しかし、工期の長期化を避けたい現場が、それを埋め直して開発を続けるケースも多く、日本では多数の史跡が埋まったままだと推測されている。


本稿では、どういったメカニズムを設計すれば、そうした遺跡の隠蔽を避けることが出来るか考えてみる。

問題背景


遺跡の推定埋蔵数、工事で埋められている遺跡の推定など

問題分析

理想的には、発掘された遺跡を、すぐさま鑑定・保存するなどの処理をして開発を再開することが望ましい。
これができない理由として2つのものが考えられる。
(1)しかし、遺跡発掘・考古学の能力をもった人材が不足していることにより満足に行われていない、また発掘に際して長い時間がかかってしまう。
(2)構造的には、遺跡を発見して、それを報告することで遺跡に対する価値が見いだされたとしても、その施行者にはなんの利益も発生しないことが指摘される。遺跡の発見をいったん公表してしまうと、そこで無理に工事を再開すると世論から叩かれてしまうため止めることができなくなる。

現状の対策

現在行われている対策として、法的に報告を奨励するなどしているが、意識的な面でしか改善されていないことが推測される。*1


史跡の発見に対して報奨金を出すことは報告へのインセンティブになりうるが、その数を事前に予測することが困難なため財源・財政的な問題がある。

一般的には、この報奨金を国や社会がどれだけだせるか、というのが遺跡に対する社会的に期待する評価、つまり価値と考えられ、均衡するのではないかと考えられる。

提案手法

そこで解決策として、現場の開発者でも理解できる簡単なガイドラインを整備し、その遺跡の価値・稀少さを推測することが出来れば、稀少なものに対して報奨金を多く提供することが出来、効果が出るのではないだろうか。
たとえば、こうした文様の貨幣や土器は貴重です。やこうしたものは珍しくありません。など図説で説明する資料があれば現場でも判断できるであろう。ガイドラインだけでなく、写真を撮って匿名で投稿することも考えられる。
報奨金だけでなく発掘のリソースも集中させることが出来れば発掘作業の短縮化がもたらされ、考古学者にもいいものを見つけられるというメリットがある。これはある意味、従来考古学者のみが発掘していたものを一般の工事施工者にクラウドソーシングすると読み替えることも出来る。

*1:要引用