環境の変化と会社人になるということからか、それがさも当然であるかのように受け入れてきたけど、やっぱり通勤時間100分、乗り換え3回はしんどい。残業がない研修時でこれだから、現場に配属されて残業出てくるとなにもできない。(今は寮に住んでいて、研修所と勤務地は別だからまた時間は変わるけど)
ただ、通勤は90分の時間が与えられる、ということから本は読める。
むしろPCも使えないし、思索するには気が散るし、座れないから練れないしで、本を読まざるを得ない、という表現が正確か。
というわけでほぼ1日に1冊弱くらい本を読んでいるので、毎週それの感想や紹介を書いてみることにした。1日1冊といっても、薄い文庫か新書で内容も重くないのばかりだけど。
いつまで続くかはわかんないけど飽きるまでやります。
ウェブ×ソーシャル×アメリカ 池田純一
アメリカを中心とするIT技術や産業発展の歴史的な側面や、人の意志の積み重ねをわりと丁寧に記述している。知っていることも多かったけれど、現状を生み出した過去のつながりを流れで見るのは新鮮。過去と現実のつながりを知ることで、もしかしたら現在から未来を予想できるかもしれない。トクヴィルやベイトソンなど哲学者の思想がどう影響しているか、や文化が技術の方向にどう影響したかは興味深い。
twitterやfacebookの位置づけにも考察が加えられていて、webで文化がどう変わるか考えるときに手っ取り早い入門書になる、かも。
特にスチュアート・ブランドという知的で技術好きなヒッピーのようなハブのような存在は初めて知ったのだけど、おもしろい。Whole Earth Catalog という伝説的な雑誌を出して、ジョブズを始めとする多くの人に影響を与えた存在。もっと調べてみたい。
マネーロンダリング入門 橘玲
これはかなり刺激的。日本のマネーロンダリングの実例やプライベートバンクの中などいままでほとんど知らなかった世界を知ることができた。娯楽としても秀逸。ライブドアからバチカンまで、世界の黒い部分とマネーロンダリングについて楽しく読める。書き方がうまくて読ませる。お金をたくさんもつことの難しさと競争メカニズムについて考えてしまった。とりあえず外資系の金融機関に就職を考えている人は読むと情報手に入れられるかも。
グーグル・アマゾン化する社会 森健
5年くらいまえの本。わりと陳腐化してるけど、GoogleとAmazonの位置づけについては、いま読んでも間違っていない。そこからAmazonがAWS、クラウドに伸ばしてきたことを考えるとAmazonは手強い。Googleがこれほどお金を稼ぐようになったのは、広告システムのためだけど、いつくらいから意図していたのだろうか。スケールフリーなネットワークについて書いてある本多すぎるけど、知らなければいいかも。今と比べることができるという点で読む価値もある。ひとつ思ったのは、多様性、ネットで一気に広がった世界は、進化を阻害してしまうんじゃないかということ。巨大な力をもったところしか生き残れなくなる。利用者に自発的な主体性をもたらすためにはどういう仕組みが必要なのかなあ。この時代に言われてたweb2.0は結局、なんだったのだろう。
ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学 岡嶋裕史
「数式を使わないデータマイニング」の人。だけどこんなに文章ラフだっけ?顧客とSEを皮肉ってる。。SEのたいへんさと現場のおそろしさは感じれるかも。システムむずいっす。顧客とエンジニアの距離はなかなか埋まらない。
鼠と竜のゲーム コードウェイナー・スミス
これはおもしろいSF!1961年にこんなのがあったなんて。。補完機構シリーズということでエヴァの元ネタのひとつかもしれないけど、ぜんぜん違う。同じ世界を背景とした、場所も時間軸も違う短編集でどれもとんがっててのめり込む。宇宙と退廃と人間愛(と猫)。もしかしたら「夏への扉」を越える猫SFかもしれない。うまく言葉にできないけど、著者は人が好きなんだと思える。著者の夭逝が悔やまれるな。というか著者は政治学の教授にしてアメリカ政府の外交顧問もしていたのか・・・。