ぜぜ日記

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「ヤバい選挙」で学ぶ制度設計の難しさ

日本のさまざまな選挙トラブルが紹介されていて楽しく笑顔で読める本でした。 ひとつの選挙に200人以上も出た村長選、架空転入、議員が書類送検/辞職し議員0になった自治体、選挙で稼いでいた泡沫候補者の話などなど。

id:wuzuki さんが紹介していて手に取ったんだけれど軽く読めてさまざまなおもしろ事例を知れるとともに、制度設計の難しさに気付ける良書。

www.wuzuki.com

タイトルはスティーヴン・レヴィットらの「ヤバい経済学」(原題はFreakonomics)を意識していて、似たようなタイトルの本も多いけれど、日本の選挙にしぼった本書は「ヤバい」にふさわしい。 ヤバい経済学も、経済学とは題しつつ統計によって世の中の異常なことを明らかにしていておもしろかったけれど、本書では選挙という制度の例外的な問題を明らかにしている。

選挙は、(間接)民主主義の社会を運用するための重要な制度だけれど、その分、ルールも複雑になっている。 その隙間をつくハックが行われたり、それの対処もなされていて、ルールづくりの難しさと、モラルに反する行動をする行動をする人間のせいでルールが厳しくなって社会全体の不利益にもなっていることを感じる。 例えば、日本では立候補するために必要な供託金が諸外国と比べて高いという指摘はあるけれど、それにも背景になるような悪用があった。

なにかルールをつくる人は、どう悪用されるかとか、例外をどう考慮するかなど考える事例としてもおもしろいかもしれない(そういう制度ハック/クラックをまとめた本があったら知りたい)。

日本各地で滞りなく選挙が行われていることに感謝しつつも、議員が既得権益になっている状況など課題を感じる。多数決や意思決定についてはりろんな理論の蓄積があるけれど、実際の選挙への応用にはハードルがまだまだありそう*1有権者に占める高齢者の割合がますます増える令和の時代、どうなっていくでしょうか・・・

あとあと、著者ははてなブログ出身とのこと。すごい。さまざまなインディーズ候補をとりあげています。令和の時代になってもまだまだ選挙トラブルは絶えませんね・・・。

actin.hatenablog.com

*1:大学でここらへんのいい本を輪読したんだけれど、本を検索しても見つからず、気の利いたことも書けない・・・