ぜぜ日記

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「ラオスにいったい何があるというんですか? 」(村上春樹)・・・旅に出たくなる旅行記

いちどルアンプラバンを訪れたこともあってラオス大好きなので読んでみた。期待とちがってラオスはほんの一章だったもののなかなかおもしろい (ちなみに村上春樹の小説は10ページくらいしか読んだことはありませんが、オウム関連のノンフィクションはよかった)

本書はJALのファーストクラスの機内誌AGORA(そんなものがあるらしい)などに掲載されていたものをまとめた本で、ボストン/ニューヨーク(アメリカ)、東西ポートランドアメリカ)、ギリシャの島々、トスカナ(イタリア)、フィンランドアイスランド、ルアンプラバン(ラオス)、熊本 などを訪れたり、住んでいたころのことを書いたもの。

軽い筆致で描かれていて旅、いいなあ、と思える本。ゆったりした旅や滞在が多くてゆとりも感じるけれど、いい旅行記。音楽好きすぎる村上春樹の視点の飾らなさがよい。 そしてさまざまなところを書いた中でも、ラオス編がおもしろくて、ラオスまでの乗り換えの際にヴェトナム人に言われたという「ラオスにいったい何があるというんですか? 」をタイトルにもってくるのは(全編ラオスだとだまされたものの)成功だと思う。すごい。

いくつか引用。

ポートランドアメリカの中で、人口あたりレストランの数がいちばん多い街なんです」と地元の人は言う。「また人口あたりいちばん読書量が多くて、それから大きな声では言えないけど、教会に通う人がいちばん少ない街なんです。」

西海岸にも東海岸にもポートランドがあるの知らなかった。ファーマーズマーケット的にも気になるエリア。

もしタイムマシーンがあって、それを一度だけ好きに使っていいと言われたら、あなたはどんなことをしたいですか? きっといろんな希望があるんだろうな。でも、僕の答えはずいぶん前からはっきり決まっている。1954年のニューヨークに飛んで(基本的な愚かしい質問。タイムマシーンって飛ぶのだろうか?)、そこのジャズ・クラブでクリフォード・ブラウンマックス・ローチ五重奏団のライブを心ゆくまで聴いてみたい。それがとりあえず僕の望むことだ。

この導入と意外性、さすがすぎる

僕ら(僕と奥さんと)がしょっちゅうトスカナに行っていたのは、言うまでもなく、おいしいワインを買い込むためだ。トスカナの小さな町を巡り、その地元のワイン醸造所に寄って、気に入ったワインをまとめ買いする。そして町のレストランに入っておいしい食事をする。小さな旅館に泊まる。そういうあてもない旅を一週間ほど続け、車のトランクをワインでいっぱいにしてローマに帰ってくる。そして僕はワイン・グラスを傾けながら、またしばらく自宅の机に向かってこつこつ小説を書く。そういう生活を何年か続けていた

よすぎる

「ああ、ほかの旅行についても、もっとちゃんと文章を書いておくんだったな」という後悔の念が、微かに胸の内に湧き上がってきます。 た。でも今さら後悔しても始まりません。旅行記ばかりは旅行の直後に気合いを入れて書かないと、なかなか生き生きと書けないものだからです。

これもわかる。 本書ででてきたアイスランドは自分も新婚旅行で訪問してとてもよかったのだけれど、旅行記にしそびれてしまっている。いまが今後の人生で一番記憶もあるので書いてみようかな・・・。 旅行だけではなく、本や映画の感想も同じかも。

むかしは、旅行なんてめぼしい観光地はテレビのほうが最高のロケーション、最高のタイミング、高価な機材で撮っていて素人がいってもただ行っただけになって意味ないのでは、と軽んじていたけれど、そういう観光地以外の部分の、知らない街の空気にふれるだけでもおもしろいし発見があるように思えています。 そして、異国はおもしろいけれど、観光地ではない近所にも知らない景色はたくさんあって金銭的時間的にもやさしく体験できるとも思っています。

最近、月に何度かあるソロ子守りの週末には、子守りがてら滋賀県の全駅を歩こうと画策していていま進捗4分の1くらいなんですがなかなかおもしろいですよ。旅行記を書いてみようかな。

作中ででてきて行きたいところメモ(国内編の熊本のみ・・・)。

熊本、なかなか行く機会がない。4-5年前に妻と鹿児島に旅行した途中で寄ったときのタクシーの体験が悪くて印象悪かったままだけれどまた行ってみたい(熊本出身者の知り合いはみんなナイスな方々だと思っています)。そういえば、このときは天草にも行こうとしていたんだけれど、台風で飛行機が飛ばず断念したんだった。これもいつか行かねば。 ほか、よい旅行記あれば教えてください。