1712年の貝原益軒「養生訓」から現代までのさまざまな健康法を紹介しているおもしろ新書。これを食べると健康になるとかダイエットになるとかアンチエイジングとか、さまざまある。白米食が健康だとか身体に悪いとか議論があったり、紅茶きのこや酢大根、ケフィアとかがブームになったりとかほんとひどい。
特におもしろいのは、非専門家だけではなく、医学博士とかどこどこの教授とか、アカデミックな背景のある人が検証されていないものにしばしばおすみつきを与えていたり、メディアが後押しをしたりでいともたやすく流行をつくれてしまうこと。
1973年に「にんにく健康法」を著し、111万部のヒットになった大阪市立大の渡辺正助教授の「健康法考現学」で説明されていた健康法のつくりかたはがおもしろかった。簡単に要約すると
- ある種の健康食品が有効である学問上の説明(ないときは以下に、その効力が神秘性を持つか伝説などから引用してありがたがらせる)
- ついでこれを応用し、いかに病気が治るか詳細に述べる
- 終わりにこの食品を有効に利用するための調理法もしくは両方を述べる
- 表また裏の表紙に執筆者の紹介ないしほめことばを書かせ売るべき本ができる
とのこと。はがきを送ると、紅茶きのこの種を無料で送ったりとか、営業手法もおもしろいけれど、フードファディズムによっていともたやすくムーブメントがつくれてしまう怖さがある。
アメリカでのインフルエンサーによるスーパーフードブームも同じでどこの国でもやっていそうで人間は同じだとも感じる。
有機農業/オーガニックも、こうした、フードファディズム的にもてはやされることがあって(「農薬は危険で無農薬は安全だ!」、とか)、それによって売れる側面もあるけれど、もともとの環境の循環を大事にしていくオーガニックにとってはよくないよなあ、と感じています。
年表や参考文献もしっかりしていて嬉しい本でした。
