早慶戦はその名の通りに早稲田大学と慶應義塾大学の定期戦で日本で一番有名な大学対校試合だと思う。そのはじまりである野球なんかでは神宮球場を満席にしテレビ中継されるほどだし、ほかの多くのスポーツでも華やかな応援合戦とともに激戦が繰り広げられているらしい。なかでもボート競技(レガッタ)は野球に次いで歴史があり数々の名勝負を生み出してきたということである。けっしてリア充頂上決戦ではありません。
この早慶レガッタは日本のボート競技の中でも一番観客が多いらしい。全日本選手権、全日本学生選手権(インカレ)なんかよりも多くの観客がいるということだ。
カレッジスポーツでは花形でも一般にはマイナーなスポーツであるボート競技。けれど東京のど真ん中、隅田川で開催されているため観たことがある人は多いかもしれない。
あまりイメージがわく人が少ないようにボートは地味な競技。ルールも一定の距離を漕いで早くゴールした方が勝ちというシンプルさ。スパートをいつ入れるかという作戦はあってもたいてい序盤の差はそのまま伸ばされる。コースもまっすぐで競馬のような不確実性は少ない。時速20kmで目の前を過ぎるし見て応援できるのも一瞬。
なのにこれだけ人を集めるってすごい。どんな工夫があるのか気になったというのが今回の観戦の動機。自分はどちらの大学とも関係ありません。
そしてこれがスケジュール。
13レースあって、なかには東大と一橋OBの招待試合もある。
早慶に交じって地味な国立大のインテリさんがなんで?と思うかもしれないがこの2校はたいへん強い。推薦で高校チャンピオンとかを集めている私立大学にも勝つことも稀じゃないし強化選手も出している。OBもマスターズで活躍されているようだ。
後ろに写っているのは来賓席・OB席。ジャケットにそろいの大学ネクタイを締めたご老人方がたくさんいる。
曇天の桜橋の上はひとだらけ。川沿いの歩道では酒盛りをしている学生多数。
ほんとはスタートあたりで第二エイトの試合を撮ってカメラ位置と設定をキャリブレーションしようと思ったのだけれど間に合わずに上流の浅草まで自転車をとばす。ちなみにOBエイトは艇トラブルで中止になったそうである。
雰囲気を感じようといったんゴールにつくとちょうど両校の対校エイトの蹴り出しを見ることができた。
早稲田の対抗エイト「北斗星II」
慶応の対抗エイト「Reigngold」*1
肩を組んでいるのは早稲田勢なので注意。ちょっとまえに蹴り出し前の気合い入れやっていたっぽくてそれは見逃してしまった。
黄色い艇はドイツ製のEMPACHER(エンパッハ)、2012年ロンドン五輪では10種目の金メダルを獲得したというハイブランドはボート界のスタジオジブリかな(適当)。紫のはたぶんアメリカ製のvespoli。たぶん、艇輸送のリスクとコンディションの悪い隅田川を避けるために両校のトップ艇ではないと思うのと艇の名前がちょっぴりださい。けど、東大の三四郎とか東工大のGENOMEとか、岡山大の桃太郎と比べると(以下略。
ゴール界隈はおじいちゃんと若者に二極化している。川沿いの公園では葉桜ばかりだけれど花見客多し。東京の女子大生は化粧がうまいです(主観)。
早稲田はウォーミングアップのときは上着を着ている。これだけ観客がいるんだから揃えればいいのに、と思ったりもする。
そこから右岸を4km近く下ってスタート地点へ。
慶応のクルー
スタート直前の早稲田のクルー。あまりうまく撮れなかった。
外から見るとボートなんて脳筋野郎が力の限り漕ぐだけの単純なスポーツと思えるかもしれないけれど、その実かなり繊細で奥が深い。イギリスなんかでは紳士のスポーツとされている。隅田川なんかは屋形船や観光船がいったりきたりして波が高いうえに両岸が固められていてなかなか消えず水面は複雑な状態となる。オールが水面を擦るし艇のなかにも入るしかなりしんどいと思う。
スタート直前の様子
スタート。碇で止められた小舟から艇を押さえているのがウォーターマン。手前の旗を持っているのがスタートを合わせる線審。このとき舵手がウォーミングアップのときにつかっていた上着や荷物をウォーターマンに渡そうとして落としてしまっているおもしろい写真が撮れたけれど割愛。1kgで0.1秒変わるという話だ。
この線審が旗をあげているということはスタート準備良しでこのあと10秒くらいでスタートだった。自分は漕いでいるところを前と後ろからとるためにダッシュ。
スタート直後。慶応が先行しているように見えるけれど斜めから見ているのでよくわからない。
力漕の早稲田
300m地点くらいの慶応。艇の間が横に離れているので艇差は分からないけれど慶応が一艇身ほど出ているようだ。
スタートは森下と浜町の間くらいの新大橋でゴールは浅草よりすこし北の桜橋。3750mあるそうだ。公式なレースはほとんど2000mなのでこれはけっこう長い。曲がっているしたくさんの橋を越えることになるし舵手(コックス)はかなりたいへんだろう。
さて、写真を撮った後は結果を聞かずに帰宅。レースの結果は会場に着いたときには決まっているのだ。と、ちょっとかっこいいことを言いたいけれど3.7km北上してまた戻るのが面倒だっただけ。
早慶戦はテレビカメラも来るしそれぞれの大学が新人勧誘にも活かしているしOBのおじいちゃんもたくさんくるしでレースというよりはお祭りという感じ。定期戦で長く続くとだれてはくるけれどそれはそれで価値なんだよな。
ボートの雰囲気を多少なりともつかむにはFacebookを舞台にした映画、ソーシャルネットワークがよい。
The Social Network Henley Royal Regatta Boat ...
ボートに興味を持ったら東京からすぐそばの戸田公園に行くと気軽に見ることができます。
5月16-18日は全日本軽量級選手権大会とアジアカップが併催されているのでレース数も多く楽しめる、かもしれない。
平成26年度 大会情報
ボートの写真を撮るにはスタートが一番良いと思う。なぜなら各校並んでいる状態が見られるのはここだけだから。今回は2艇だからそう派手じゃないけれど、5艇くらい並ぶと色とりどりのオールとユニフォームでなかなか綺麗です(昔撮った写真が見つからない・・・)。
今回はそのスタートと、ある程度進んだところから横向きに。ただ、スポーツの写真は難しいです。遠いし動くし。いいレンズはめちゃんこ高い。今回はTAMRONの18-270mm F/3.5-6.3というお手頃便利なズームレンズを使ったけれど思ったよりはちゃんと撮れていた。ボート撮るとき以外には使わないレンズ・・・。しかしもうちょっと望遠が欲しい(強欲)
最後に、学連の人、スタッフの人、関係各者おつかれさまでした。
これだけの大会だと運営のノウハウも苦労もかなりある気がするし話を聞いてみたい。一杯奢ります。
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