ぜぜ日記

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YAPC::Hiroshima 2024参加してきた

原爆ドーム YAPC(みな、やっぷしーと発音していた)とは、Yet Another Perl Conference というプログラミング言語 Perl を軸に世界的に開催されているカンファレンスです。近年ではその日本版毎年各地で開催されており、Perl に限らず Web を中心とするソフトウェア開発にまつわるもろもろを発表したり交流したりするおおらかなおもしろイベントです。じつは、住んでいるところから遠いところのカンファレンスには今回初めての参加でした。ほんと楽しかったし学びがあってやりたいことも整理できた。

YAPC::Hiroshima 2024

特に印象深かったのは LayerX CTOの松本勇気さんの「経営・意思・エンジニアリング」、ソフトウェア的思考は経営に生きるということ、事業の設計とは解くべき課題とその解決策を経済的に持続する形で実現することだという整理からはじまり、システム監視と経営管理、事業の不確実さに向き合うことはSREと通ずるというアナロジーも示唆深かった。新規事業の不確実性について、関連する法律・複雑な商習慣のなかでどうするかということを質問させていただき、エンジニアがその領域にディープダイブすると答えてくださりよかった。不動産証券なんたらや簿記などもっているエンジニアも多いそう。すごいぜ。

意思は言語化して強くするということや、短期的成果への重力に抗う原動力はミッション・ビジョンしかないということ、負債の返済について、決まった考えは仕方ない、誰が提案するかが重要というのもほんとうにそう。

アジャイル開発のノウハウで組織を動かすという点ではこの記事も連想した。こういう役立つ状況があってほしくはなかったけれど・・・ ウクライナ軍に入隊したアジャイルコーチが、さまざまなメソッドを駆使して中隊長としてのリーダーシップを実現した話(前編) - Publickey

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ほか、nishimotzさんの「What You Like May Not Be for Someone オープンソースアクセシビリティ」もよかった。環境改善のためにOSSをつくって政府の委員会にも呼ばれていてすごい。視覚障害者からの需要に比して、NVDAなどスクリーンリーダーが対応難しいかという質問をしたけれど、この答えは、健常者が使っているものであればなんでもという答えであって自分の不明を恥じました。

naoyaさんの関数型プログラミングについて、会場から、RDBとの境界はどうするべきか、というたいへん鋭い質問があり、これにはDDDでいうリポジトリパターンが境界になるのでは、という答えがあった。DDDも関数型ももうちょっと理解を深めたい。

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t_wadaさんの変更容易性と理解容易性を支える自動テストの回もよかった。largeなテストを減らしてピラミッド型にすべき、とのこと。 最近自分が経験した、システム間連携の不具合(さりげない変更が実は対向システムにも影響があった)問題は、どう防ぐべきだったかを考えると、モックで仕様を明確にしておくべきか、複数サーバのテストを書いておくべきだったかは悩ましい。

キーノートには、とほほのWWW入門で知られる、伝説のとほほさん。さらっとすごいことをしていたり、プログラミングや執筆をつづけていくモチベーションを知ることができた。好きを続けることが価値をつくっている。 とほほのWWW入門

聞けなかったセッションでもおもしろそうなのはいくつかあるけれど、また公開するそうなので楽しみ。 YoutubeLiveも無料で公開していたというのも本当にすごいし、Twitter上ではオンライン参加者のコメントもおもしろかった。

無料でもセッション自体は聞けるけれど、1万円と安くない料金の価値はあるかというと間違いなくある(付け加えておくと、スポンサーによる学生向けの参加費支援もあった)。オフラインカンファレンスのおもしろさとして、人が集まっていて偶発的なコミュニケーションや出会いが生まれることがある。たとえば、今回Twitterで友人に前夜祭前にごはん行きません?と誘うと、たまたまそれをみていた別の方も乗ってくださり3人で飲みに行ったり、ほか、懇親会では初参加の大学生ともしゃべることができたり、知り合いに別の方を紹介してもらえて話が広がってほんと楽しかった。こういうオフラインの場でのつながりおもしろい。 懇親会では見たことないほどの巨大舟盛りをみたり、揚げもみじを食べたり dankogai さんと2ショットを撮ってもらったりできた。 巨大な舟盛り

スタッフ・登壇者・スポンサーのみなさま、ほんとありがとうございます。 スポンサーブースではtimeeさんのキャラクタをもらったんですが、同行した3歳児がキイロちゃんと呼んでいたく気に入っていました。ありがとうございます。fastlyさんのくじでもらったUSBケーブルもたいへん助かりました。 YAPC::Hiroshima スポンサー

こういう、ボトムアップなコミュニティが運営しているイベントが毎回アップデートされて続いているのは本当にすごい(自分が関わっていたひとつは継続につまづいている・・・)。メインホールの司会をしていたpastakさんがブログに書いているように、まだまだなにかできる余地がありそう。 YAPC::Hiroshima 2024でコアスタッフをやってオリジナルビールを振る舞ったりしました / ハレの場としてのYAPCについて - ぱすたけ日記

ちなみに今回は妻と3歳の子も同行していました。YAPC当日はアンデルセン本店のカフェで朝ごはんを一緒に食べて、翌日以降は広島観光もできてなかなかおもしろかった。詳しくは別に書こうと思うけれど、船と島が大好きの妻は、YAPC当日にはフェリーで似島にいったり、翌日からは一緒に島めぐりをました。なんとか一行にまとめると、まず日曜日は広島港から宮島にいって、宮島口から呉に電車でもどり、月曜にはレンタカーを借りて呉から倉橋島、鹿島、江田島と走り、また呉に戻ってとびしま海道下蒲刈島上蒲刈島、豊島、大崎下島平羅島、中ノ島、愛媛の岡村島までいって帰ってきた。高速に移動しつつも、おいしいもの食べてたくさん見物できて3歳児もご機嫌でよかった。こういうついで観光できるのもカンファレンス現地参加の楽しさかも(YAYAPCという非公開アフターイベントもたいへん盛り上がっていそうでしたが)

5月のrubykaigi沖縄、行こうかなあ(ハードルを感じている自分よりも妻のほうが乗り気)

rubykaigi.org