うんこめも

自律分散うんこ製造システムについてのメモ

極端な例を使うのは便利だけれど危ない

ソフトウェア開発では仕様を明確にするために極端な例を考えることが役立つ場合がある。
例えば、自動販売機をつくることになったとき、お金を入れることができる、という要求だけでは仕様をつくるに不十分で、いくらまで、あるいは硬貨何枚まで入れられることができるか考える必要がある。このとき、硬貨100枚は入れられないですよね、と問うことで、どこかに境界があるはず、と考えてみたり、記念硬貨は使えないですよね、どこまで使えるようにしますか。と考えることで2000円札を使うかどうか検討することにつなげる。極端な例を歓迎できる空気は、アイデアが生まれることにもつながる。ブレインストーミングの方法のひとつでもあるし、お昼ご飯を食べる場所のアイデアが出ないときに、マクドナルドにする?と提示することで呼び水となってアイデアが出るというマクドナルド理論(出典不詳)に近いかもしれない。

仕様の守備範囲を明確にすることで、問題に事前に対処できたり、開発のスコープを明らかにしてコストを守ることにもつながる。

ソフトウェア開発以外の例だと、環境問題への対処を考えてみる。そもそも環境問題がなんなのか明らかにするために、「人間が滅びれば解決する?」と極端に問うてみることで、それは本末転倒で、人間あっての環境だろう、と条件がより明らかになったり、とはいえ人口が環境問題の大きな因子なので、平和的に人口増加を抑えるためのリプロダクティブ・ヘルスライツの普及なんかが環境問題に有効かも、と議論できると建設的。ここで、人間が滅びれば解決など虚無主義者は出てけ!となってしまうともう建設的な議論はできなくなる。

この方法は、大学の研究室や、信頼関係ができている開発チームなどでは、自然に使われていることも多い気がする。
しかし、こうした議論になれていない人がいる場合には、極端なことを言って話題を脱線させたり揚げ足取りばかりするネガティブな人間だと思われてしまいかねず、環境問題の例でみたように信頼関係を失ってしまう危険がある。

たとえば、スマフォで決済するサービスがあって、マーケターが、予算をたくさんとってきたからお客さまが購入したときにランダムにX%くらいのひとには100%ポイントで還元させよう!ユーザ増やすぞ!これから各所調整していくぞ~ってテンション高くやってきたときに、エンジニアがそれって仕様大丈夫?お客様が還元に当選するまで返品繰り返したら大丈夫?とか、加盟店とグルになって当選狙ったりしたらどうなる?とか悪い例を質問し続けていったら、これから各所と交渉していこうとやる気に満ち溢れていたマーケターの人の勢いを挫くことにもなりかねない(もちろんこのお金を扱うビジネスの場合、そういう慎重さは絶対必要ですが)。そうして、一緒にサービスに取り組むべきマーケターとエンジニアのチームであるべきなのに、マーケター対エンジニアみたいな構図になってしまう(かなり簡略化して話しているので寓話だと思ってください。当然事業責任者とかプロダクトマネージャーとか法務と一緒にやる)。

そういう対立する構図になるのを避けつつ、前向きに、いい仕様をつくっていくために、チームに合わせたコミュニケーションが必要。

特に、すぐれたチームに長くいて、コミュニケーションコストが低い環境に慣れてしまった人ほど、チーム外の慣れていない人にすっと極端な例を使ってしまい危険かもしれない。

さらに、昨今話題になりがちな、Googleが生産性高い組織は心理的安全性がある!ということを半端に聞きかじった人がやらかしがちかもしれない。率直にものを言える環境であることが善、と信じ、そういう議論になれていないひとにもあまりに率直にものを話してしまい、傷つけたり衝突したりしてしまう。

自身もそれなりに知識がある分野なら、ヒアリングしたあとに、仕様を明確化するために、おそらくこうですけれどあっていますか?、とか判断を交えることで柔らかく伝えられるけれど、自身にとって土地勘のない分野にて、その分野に詳しいけれど仕様を明確化すること(システム開発とか)には不慣れな人*1に質問するときには、そういう知識に頼った配慮がしにくく難しい。
これは、メールの定型文のようで、冗長だけれど、例えば「仕様を明らかにするためにあえて極端な例を挙げるんですけれど・・・」と前置きをするとかはひとつの方法だろう。
なにかいいやり方・考え方があれば教えてください。


・・
・・・
ソフトウェア開発だと、まだ関係者が限られていて楽かもしれない。
利害関係者の多い、おおきな制度設計だとより難易度が上がる。社会問題への対策も、大義があることをやろうとしているのに細かいことばかり気にされて、本質ではないと反感をもってしまう人も多い。
小さな会社内のルールなら、モラルを期待できるけれど、行政がつくる制度では隙間をつかれないように注意する必要がある。けれど、あまり議論に時間をさけずに、なあなあですませるための妥協的制度になって、例外規則が増えて運用の負荷が増えたり換骨奪胎されてしまう。軽減税率のことです。

関連する話題
Twitterでの、人のたんなる感想や思い付きに対して、反例を挙げて論理的に間違っていると断罪したり、揚げ足をとる人々もこの一種なのではと思ったりもするけれど、別の根深さがあるので触れないでおきます。

この記事は、3/14の深夜にタルトタタンを焼きながら書きました。タルトタタンも定義がいろいろあってさまざまなレシピがある。

*1:ドメイン駆動設計でいうドメインエキスパート

読書メモ 世界を変える偉大なNPOの条件

読んだのは2015年だけれど、書いてあったことを参照したく当時のメモを引っ張り出してきたのでメモを共有します。

世界を変える偉大なNPOの条件――圧倒的な影響力を発揮している組織が実践する6つの原則

世界を変える偉大なNPOの条件――圧倒的な影響力を発揮している組織が実践する6つの原則


NPO、と題していますがそこに限らず、なにか社会の問題を解決するために、どうしていったらいいか、というのが主題です。
そもそも原題はForces for GoodでNPO限定というわけではありません。中身は、社会に影響を与えたNPOいくつかのケースを挙げて、うまくやる方法を抽出しようとしているもの。
民間でも大学でも個人でも、なにか世の中の問題を解決したい人は読んでみると参考になるかもしれません。


概要(というか抜き書き)

本書でとりあげるNPOは予算規模や組織の大きさではなく社会に大きな影響(社会的インパクト)を与えているかどうかで選んでいる。


調査の結果、社会に影響を与えているNPOには6つの原則があることがわかった。詳細は後述、

  1. サービスを提供するだけでなく、政府と協力して政策転換を促す。
  2. 市場の力を活用し、企業を敵視したり無視せず、強力なパートナーとみなす。
  3. 活動を支援してくれる個人が有意義な体験を行えるように工夫し、彼らを大義のために動いてくれる熱烈な支持者に変えていく。
  4. NPOのネットワークを築き、ほかのNPO組織を、希少な資源を競い合うライバルではなく仲間として扱う。
  5. 変化する環境に適応し、戦略的であると同時に革新的かつ機敏に動く。
  6. 社会変革の強力な推進者となるために、リーダーの権限を分担する。

調査の中で、これまで俗説として有用だと信じられていたものが間違っていたとわかったものもわかった。

  • 1.完璧な運営 2.ブランドに対する関心とマスマーケティング 3. 革新的な新しいアイデア 4.模範的なミッションステートメント 5.従来の組織評価の高評価(例:予算に占める諸経費の割合) 6.大規模な予算

これらは必ずしも必要ではない

補足

  • 組織の成長は影響力を高めるための一つの戦略ではあるが、成功するための唯一の方法ではない。
  • 偉大さとは、NPOが組織の内部の運営をどうするかよりも、組織の外の世界に対していかに働きかけるかという部分に関係が深い。
  • 組織の外を動かすことが必然的に内部環境にも影響を与える特別な実践を伴う。


社会起業家は、人に魚を与えるだけでは満足しない。魚の釣り方を教えるだけでも満足しない。彼らは漁業全体に革命を起こすまでは止めないだろう(ビル・ドレイトン アショカ財団 創設者)

(注・・・革命をゴールとするこの言葉は歴史にたびたび混乱をもたらしてきた純粋な進歩主義者っぽさを感じた)

正しいかどうかにこだわるよりも、社会を動かすことが大事だ(マーティン・イークス セルフヘルプ創設者)

6つの原則

1.サービスを提供するだけでなく、政府と協力して政策転換を促す。

影響力のある組織は、地域サービスと政策提言(アドボカシー)の両方を行い、この2つの活動を結び付けている。この2つは必要なスキルも時間軸も異なるが、それぞれ好循環をもたらす。

アドボカシー活動はほかの組織と連携しなければならない場合が多く、成功が何によっても荒らされたのか明らかにすることは難しく定量的に評価しにくい。

政策転換を成功させる5つの原則

  1. 実利主義と理想主義のバランス グリーンピースなどのような過激なアプローチは社会変革につながらないわけではない、メディアの注目をあつめ大衆の関心を集める効果はあるが、長期的な有効性が損なわれることが多い。
  2. 超党派を原則とする 「ほかの環境団体との大きな違いを挙げるなら、彼らは環境を守る最善の方法は政権交代だと考えている点だ。」(エンバイロンメンタル・ディフェンス 提携担当部長) 「永遠の友なし、永遠の敵なし、永遠の利益あるのみ」(黒人議員連盟のモットー)
  3. 信頼と高潔を維持する
  4. 政策通を雇う
  5. アドボカシー活動のための財源をみつける

2.市場の力を活用し、企業を敵視したり無視せず、強力なパートナーとみなす

市場の力を利用する3つの方法

  1. 彼らは企業が従来の手法を変えて社会的責任をもっと果たせるように力を貸している
  2. 自分たちの社会目的のために、寄付、ボランティア、社会貢献型マーケティングなどの形で企業と提携して、資源を彼らから獲得する。
  3. 事業収益を生むために自ら事業を運営する

補足

  • 企業を利用するだけでなく、NPOも多くのものを企業に与えなければならない
  • 企業によって利用されたり、仲間や一般市民からは身売りと受け取られたりするリスクはあるが、ここに多くの機会もある。
  • 必ずしも収益につながる事業モデルがない場合もある。

3.熱烈な支持者を育てる。活動を支援してくれる個人が有意義な体験を行えるように工夫し、彼らを大義のために動いてくれる熱烈な支持者に変えていく。

社会に大きな影響力を与えるNPOは。多くの人が活動に参加できる方法を生み出す。そして人々に”適切な”体験を提供することができたとき、そうした参加者を組織の大義への熱烈な支援者に変えることができる。

優れた組織では、個人の参加だけでなく、支持者たちのもっと大きなコミュニティをつくり出している。コミュニティ自体が目的とされ、これを動かして、より大きな社会変革を実現する。

参加意識を高める法則

  • 組織の使命や目標、価値を伝える・・・心に訴える仕掛けを準備することからはじめる
  • 意義深い体験の機会をつくる・・単に無償奉仕させたり、寄付をさせたりすることよりも、深いかかわりに招き入れ、組織の事業を直接体験させる
  • エヴァンジェリストを育てる・・・ボランティアをエヴァンジェリストに変身させる
  • 愛されるコミュニティを築く・・・メンバーたちがつながる方法を提供し時間をかけて育てる

4.NPOのネットワークを築き、ほかのNPO組織を、希少な資源を競い合うライバルではなく仲間として扱う

大きな影響力を発揮するNPOはネットワーク重視の考え方を採用する。

  • 全体のパイを大きくする・・・資金の総額を増やしネットワークあるいはその分野へ資源を配分する
  • 知識を共有する・・・情報をオープンにし、ほかのNPOが能力を高めるための訓練を提供する
  • リーダーを育てる・・・活動する分野全体のためにリーダー育成に投資し、同じような価値観を持つ仲間と人材を分かち合う
  • 連携する・・・連携して先頭に立つか後方支援に回るべきかを判断する

5.変化する環境に適応し、戦略的であると同時に革新的かつ機敏に動く

  • 堅苦しい官僚主義と自由奔放な創造性の均衡点を見つける
  • 外部環境や組織内で生まれるアイデアに耳を澄ます
  • 実験し、新しいものを取り入れる・・・プロダクトイノベーションとプロセスイノベーション
  • 評価し、学ぶ・・・なにがうまく機能し、なにが機能しないのかを厳密に評価し、その情報をネットワーク全体で共有する
  • 修正する・・・評価結果をふまえて将来の結果を変更する。

自由なやり方で適応していく組織もあるし、体制を重視し厳密な計画や制度を用いて革新を遂げようとする組織もある。こういった組織は実践と同じ程度、評価や計画から学ぶ。

組織が変化するのに伴い、追加する新しい計画の数と同じ程度に既存の事業を廃止する。

6.社会変革の強力な推進者となるために、リーダーの権限を分担する

  • 外部向けリーダーとしての役割と組織管理の役割をわける
  • 形式上だけでなく実際に権限と説明責任を与える。権限を与えることで優れた人材は組織に長くとどまる。
  • 優れたリーダーは在職期間が長い
  • 後継計画をつくる・・・組織内外にかかわらず
  • 戦略的で規模の大きな理事会をつくる・・・(これは成果を出したことの結果なのかも?)

影響力を持続させるために

野心的な目標を達成することと組織の能力を培うことは相互補完的

最初に人を選び、その後に目標を選ぶ(ジム・コリンズ、ビジョナリーカンパニー2)

はい

技能は重要。でも情熱ほどじゃない。後から学べるから(セシリア・ムニョーズ、ラ・ラザ全米協議会)

そうだね

集中力と姿勢は後から学ぶことはできないし、これらは組織のよき支援者となるために必要だ(セシリア・ムニョーズ、ラ・ラザ全米協議会)

使命とお金の両方が、この順序で重要である。
本書で取り上げた成功している組織12のうち10の組織では、同じ規模、同じ分野、同じ地域で活動するほかの団体と比較してNPOとしては最高水準の報酬を支払うことを目標にしている。大半の運営幹部への報酬は10万ドルを超えている(2005年)

非管理職(専門職)のキャリアパスを設ける

私たちは、解雇する責任を負うべきだと考えている。人を解雇しない管理者がいたり、そういう部門があったりすれば、その担当者と会う。いまここでは280人が働いているが、私たちは世界を変えつつあると思っている。もし。可能な限り優秀な人材を雇っていないなら、そして自分たちを甘やかしているのなら、この組織はおしまいだ(エンバイロンメンタル・ディフェンス、フレッド・クルップ

これらの組織はいずれも人材管理面で好循環を生み出しているが、リーダーの育て方や最高の人材を確保・維持する方法を知ったから成功したのか、それとも、活動が成功して、ある程度の規模と安定性を得たためにこういった人材を保持できているのかその因果関係を解きほぐすのは難しい。おそらく両方あると考えられる。

成功した組織は資金獲得先を政府か、民間企業か個人から獲得するか選んでいる。そういった主体は収入源として優れているだけではなく、問題を解決するのを助けてくれる。

継続性のある市民による大きな寄付基盤は強力だが、それを得るためには相当な資源を投入しなければならない。

原則を実践に移す

偉大さとは、言葉から受ける印象とは異なり、他者と協力し、他者を通じてなされることに関係する。社会のすべてのセクターを活用して、社会的価値を生み出す力と結びついている。

感想

アメリカン巨大NPOの成功事例からいろいろ知見を集めているのが本書。NPOで社会変えられるんだ!というのは日本の小規模ローカルNPOしか見えていなかった自分としては驚きでした。 気になるのは、この知見が日本でも活かせるかどうか。たとえば解雇規制やロビイングの習慣とかは違う。

思い付き

  • アメリカとの違いとしては、よく言われるのが寄付文化。寄付以外に政府や企業からの支援ということも書かれているが日本でやれるのだろうか。CSR活動を受注するなどはしているが使い道は厳しく制限されているように思うし継続性に難ありな印象
    • 寄付文化が根付くにはどうしたらよいだろか?
  • 政策提言はできうる?ロビイング。どういう法律が新規就農や農家の継続性を阻んでいるか考えるとおもしろいかも
    • 最近、耕作放棄地にかかる税金は増えたけれど・・・
    • GHQの農地解放で得た農地が、商業地や高速道路に転用されて大きな利益を出すのを待つために保持し続けているのいびつなのでなんとかしてほしい(例:売却益の何割かは地域に分担とか)

本書で書かれていなくて気になっていること

  • NPOが収益事業をつくりだすことの難しさと工夫や知見
  • NPOのライフサイクル。解決したら解散する?規模が大きくなると官僚化が進み組織のための組織になるきらいがある

国内NPOについての愚痴は機会があれば口頭で・・・

夫がすねて料理をつくらなくなる話

この2週間ほどのあいだに共働き子育て中のアラフォー女性3名から同じような話を聞きました。
3件続いたということはよくあることなのだろうし、自分もそういうところあるかも、と思ったので書いてみます。
みんな男がそうだという話ではないのでご注意ください。


ちなみに、それぞれ妻の友人だったり仕事関係だったり会ったのはばらばらで自分がアラフォー女性と積極的に会っているわけではないです。


共通するのは家事や子育てに協力的な夫が、たまにしていた特定の家事をしなくなったということ。
1人は、夫がたまにする料理を食べて、味付けにちょっと否定的なコメントをしたところ、その場ではなんともなかったけれど、それ以降料理することはなくなったというもの。
1人は詳しく聞けなかったけれど、これもたまにする夫の料理のなにかに苦言を呈したら、同じようにそれ以降料理をすることはなくなった。
もう1名は、オムツを交換するときに、おしりふきを使いすぎたよ、と言ったところ、もうオムツ交換してくれなくて、それ以降は妻に任せるようになったというもの。


どの場合も、男は幼稚だ、傷つきやすい、家庭をともにする気がないのでは、と男を批判することはできるし、実際にそういう側面もあるとは思う。
けれど、批判しても解決しない。


それぞれの妻の口ぶりからは、ほかの家事や子育ては積極的にやってくれるんだけれどなんでこれだけ・・と困惑している様子がみてとれる。もちろん、深い付き合いをしているわけではない自分の前で、その場にいない夫をひどく言わないのは当然だけれど。


なにが原因だろう?
自分にはそういうことがないかな、と振り返ってみると、ひとつあった。


ある日、枕カバーに穴が開いて、買わなきゃ、Amazonだと2日はかかるかな、と妻と話をしていたあとのこと。
仕事帰りに遠回りして枕カバーを買って、びっくりしてくれるかなと思ってこっそりセットしておいたところ、洗濯してないもの(神聖な)布団に乗せたらだめだよと怒られたこと。たしかに、悪かったなあ、と思いつつ、じゃあ、そういう布団まわり全部やってくれ、と一瞬投げやりな気持ちになったことがあった。この場合は幸い一瞬そういう気持ちが浮かんだだけで済んだけれど、あとあと考えると、感謝される・ほめられると思ってやったことが、否定的にとられるとけっこうショックが大きくてかたくなになってしまうのかもしれない。


最初からどうでもいいことや雑だと自覚していることで怒られても、あまり引きずらない。
感謝されるかも、と思っていることをスルーされても別にどうでもいい。
でも、感謝されるかも、とよかれでやったことが否定されるとかなりショックを受ける。


そう考えると、夫婦の関係・男だけにかかわらず世の中意外と多いのかも。上記の話は男女逆でもありそうだし、たとえば、近所のおばさんの善意のお節介をうっかり否定するとずっと恨まれるとか。子どもがなにかに挑戦したてのころにマイナスなことを言って、やる気をなくさせることも近いかもしれない。 ネットで人気の若者が、またおもしろいこと書いたぞ!と記事を書いて思わぬ炎上した後に、素直に撤回できずにかたくなに戦闘的になってしまうことも近いのかも。


こういうことをどう防ぐといいだろう。
否定的なコメントをする場合に相手を傷つけないように注意するのは多くの人がやっていると思うけれど、特に、相手が感謝してほしそうなときを見定める必要があると思う。
あと、関係性が構築できていると思っていて、正直になんでも言ってしまいやすい関係でこそ危ない気もする。

人の意見に否定的なコメントをすると、人格を否定されたと混同してしまうことは多い。
これが日本の教育の問題か国民性かどうかはさておき、建設的な議論をするためにはどうしたらいいだろうか?
やっぱり、おしりふきを使いすぎだと思ったら、しゅっと指摘してしゅっと受け入れて改善していきたい、よいやり方などあれば教えてください。


最後に自分がひとつ思いついたものを紹介しておきます。
プロジェクトファシリテーションの分野で使われ始めたKPTという振り返りの方法です*1
プロジェクトの区切りで振り返りをする際に、そのままだと悪いことばかり思い起こしてマイナスな空気になりがちなのを、議論の順番を決めておくやりかたです。最初に、よかったことで次も続けたいこと(Keep)を議論してから、悪かったことや反省点(Problem)を話し、最後に次回試してみること(Try)と、分けて話をすることで建設的な議論にしていこうというもの。
これにならって、よかったことを伝えてから悪かったことを話すとニュートラルに受け入れやすい、かもしれない。もちろんKPTなんて言葉知らずともあたり前のようにやっている人は昔から大勢いるとは思いますが。

ちなみに、私ども夫婦では今年から月次家族会議でこのKPTを導入しています。また学びがあれば共有します。


最近作った料理 tsukurioki.hatenablog.com

メンテナブルVBA

こんにちは。これはSpreadsheets/Excel Advent Calendar 2018の8日目の記事です。 adventar.org

小説スプレッドシートがよすぎます。

また、昨日はつくりおきアドベントカレンダーに寄稿しました。15分でパスタをつくる話です。 tsukurioki.hatenablog.com

さて、VBAという言語があります。VisualBasicMicrosoftアプリケーション向けにしたもので、おもにExcelAccessを操作するのに使われています。

昨今、RPAというマクロっぽいツールが流行っています。 人件費の高騰や人材難に対応するために業務をロボットにやらせよう、という発想のもので、うまくつかえば省人化につながり有用なのですが、安易な導入は業務のブラックボックス化を招き、長期的なコスト増につながる可能性もあります。

本当はちゃんと業務システムを組む必要があるのですが、まともにシステム化するにはお金も人も足りない。 パッケージや既存のサービスを利用しようにも合うものがなかったり、組織が合わせられなかったり、選定能力もなかったりする。

そんななんかでいびつな業務を処理し続けないといけなくて疲弊する組織というのもまああるわけです。 ここから身を守るための道具として、貧者の業務システム、ExcelVBAを考えてみたいと思います。

ExcelVBA、つかったことありますか? Excelがあれば気軽にはじめられるので、エンジニアのひとも道具箱にいれておくといろんな現場で便利なことがあるかもしれません。 自分は未検証ですが最近はMacOSでもきちんと動くようです。 そして、重要なのが、非エンジニアでも取り組みやすく、理解しやすいこと。

このエントリでは、そんなVBAを知ってもらうのと、VBA初心者が業務を助けるアプリを書くときの注意点を書いておきます。 文法などは書いていないので、適宜ググってください。

ただ、自分も3か所くらいの現場での、引き継いでメンテナンスした経験・ゼロから業務を分析してアプリを書いた経験などから書いているだけなので、偏ったかん考えなども含まれるかもしれません。
そういう意味では、ベストプラクティスではなくそれを探すためのたたき台のひとつと受け取ってもらえればと思います。
コメント・ご質問などお待ちしております。

ExcelVBAの特徴

プログラミング経験のないひとでもとっつきやすい。というのが重要な特徴です。 具体的には
・操作をマクロとして記録でき、そのコードを見たり変更できる。そのため、記法を調べなくてもコードができて、それを手直しすることができる。ただし、低パフォーマンスなコードにはなりがちなので注意。
・すぐに有用な動作を書くことができる。たとえば全シート名を取得するコードだったり、データを複雑な方法で集計するとか。
これは、よくあるプログラミング言語で、条件式と繰り返しを学んでも、それがどう役に立つのかわからずモチベーションを保ちにくいと比べ、小さく成功体験をつくれて、条件式と繰り返しの重要さを学びやすい。
これによってプログラミングの楽しさを見つけて自信をもってほかのプログラミングに手を出していく人もいる。
これは、初心者がいきなりRuby on Railsを学び始めて、気にすることが多すぎるあまり意味を理解せずコピペになりがちなのとの違いでもあるかも。

・データ(表)とコードが密結合になる
このため、そのままデータをもったファイルにマクロも書くと、そのファイルをコピーするとコードをもったファイルも増えていくため、アプリの配布とか、バージョン管理が極めて難しい(マクロだけエクスポートしてバージョン管理することもできなくはないが、煩雑)。
とくに、オブジェクト指向で書けるんだけれど、そのコードの置き場が難しい。複数ファイルで共有するのはできなくはないけれど、危ない。

・独自エディタ
行数表示させるのが難しかったりで好きなエディタをカスタマイズしている上級者には厳しいと思う。ただし、リアルタイムで構文チェックしてくれたり、自動インデントとか大文字小文字変換とかしてくれたり、ブレークポイントをつけてデバッグを容易にできるので初心者にとってはとっつきやすそう。変数の中を表示させつづけられるウォッチウィンドウも便利。

ユーザインタフェースが簡単に作れる
コードではなくドラッグアンドドロップで(wysiwygに)ボタンやフォームをつくれる。便利。

・印刷とかも簡単
帳票が簡単につくれます。しかも、テンプレートをExcelで簡単につくれるし、帳票をつくったあとに、ちょっと文字を変えたり、サイズを変更したりとが簡単にできるのはほかの帳票システムにはあまりない(もちろん帳票システムとしては、記録を管理しにくいとか重要な欠点はある)


・・
・・・
つまり、非エンジニアでも簡単に動くものがかけて楽しいけれど、そのソフトウェア設計の未経験さと、VBAのデータと蜜結合しやすいことからメンテナンス性が低くなりやすい。ということです。
現場で、なんらかの業務でExcelで手作業でなにかしないことは多々あり、短期的には業務が楽になっても、人員移動などで人が変わるとすぐブラックボックスになってしまいます。

こういうことを避けるため、おもに非エンジニア向けにちょっとした注意を書いてみます。

1. 書き捨てられる規模にとどめる

巨大なVBAをつくるのは地獄への始まり。いざとなれば1日でつくれる規模を心がける。

2.バリデーションする(入力をチェックする)

ユーザはあらゆる情報をセルに書き込むことができるし、Excelでエラーがあることもある。
数字を期待するところでは、セルに値が存在することを確認し、isNumericでバリデーションして行数と注意文を出力するべき。セルの入力規則もうまく使いたい。
メンバーがマクロをつかっていて、エラーが出てもあなたのところに来る必要がないようにしたい。

3.他ファイル参照時は相対パスで動くようにする

ときには、あるExcelファイルは別のファイルを参照することも多い。
そのときは、非本番データでテストできるようにしたりやユーザがポータブルに使えるようにするため、相対パスのみ、できれば、マクロを記述したファイルと同一ディレクトリにあるようにするべき。
複数ディレクトリにまたがるときは、そのファイルのパスはExcelファイル内の設定に記述できるようにする。

4.サブルーチン名・変数名は日本語にする。とわかりやすいと思う。

実際に業務で使う用語をそのまま日本語で使うとメンテナンスを引き継ぎやすい。DDDでのユビキタス言語ですね。
コード中にコメントはかなり丁寧目に書きましょう。

5.できるだけVBA内で処理せずExcelの式を使う。

VBA内で詳細な計算をするのではなく、そのデータの移動とかだけにとどめて、計算は表上での式ですると、エラーを発見しやすい。

6.VBAマクロのファイルとデータをもったファイルを分離する

データをもつファイルは、別のロジックの含まれるマクロを読み取り専用で開いて起動するくらいにとどめ、ロジックの書かれたファイルはユーザが開かないようにする。
ファイルサーバに置かれたものをユーザが使っていてエラーがでたとき、修正するためにファイルを閉じてもらう必要があるのはだるい。
なるべくソースだけでバージョン管理したい。
ただ、ショートカットで使うユーティリティ的なルーチンは別かな(複雑な優先度でのソートを数種類使い分けるとか)。

7.知っていてほしい概念

Dictionary・・・連想配列。ハッシュです。便利。ソートはないので、各自でソートを実装する必要があります(https://qiita.com/daik/items/682743bb8bcd8b5f0689
Variant・・・二次元のExcelのデータを取り込むのにつかいましょう。二次元配列的に扱えます。Excel上のデータに都度アクセスするより高速。
データの取得(Webクエリとか)・・・これはVBAとは違うのですが、DBMSのデータやWebページからデータをとってきてExcelのシート上に展開することが簡単にできます。うまく使えば、弥生シリーズ(内部にSQLサーバを使っている)とか、社内Webシステムのデータを、マスタとして取得して処理できます。たいへん便利。

8.上司同僚にはことあるごとにリスクとコストを伝える

はい。なんとなく自分が楽をするためにシステムを書いてきたんだとは思いますが、いつしかあなたのシステムはビジネスの一部になって、組織と深くつながってしまっていると思います。
システムがある以前の苦労を知っている方は、あなたに敬意を持ち続けると思いますが、それ以降に組織に加わったメンバーはそうではありません。
そのシステムがあることを当然に思ってしまうかもしれません。そうなると、そのシステムのメンテナンスに適切なコストが払われず、不健全なものになります。
それが有用なものであれば、ちゃんと業務として扱ってもらい、評価してもらいましょう。
そして引き継ぐための準備をしてもらいましょう。
そのためには、上司にはことあるごとにあなたが払ったコストを伝え、それが業務に蜜結合しているのであれば、不具合があれば業務に影響がある、そして、システムには不具合は避けられないということを伝えましょう。

9.参考になるサイト。

今回は実装の詳細とかコーディング自体については触れませんでしたが、やりたいことを言語化できればだいたいググって見つけることができる、気がする。

だいたい下記3サイトが相対的にまともでわかりやすい記事多めなのでググったときに優先的にみるとよさそう。
Office TANAKA Excel VBAテクニック カテゴリー:即効テクニック|Excel VBAを学ぶならmoug Excel VBA入門 | UX MILKVBAは公式も検索性が悪いし、エラーメッセージも日本語ででるため、英語の資源にアクセスしにくい・・・)

以上、それではハッピーVBA

シェアハウス@清澄白河、住人募集。

追記(2018.11.16)

本件、新住人が決まったとのことで募集停止です!ご検討・ご質問・拡散してくださったみなさまありがとうございます!

本文

東京に清澄白河というエリアがあります。東京駅から東へ徒歩25分、江東区の下町で深川八幡さんの裏手です。

清澄白河という駅ができたのは2000年なのでまだ18年と新しいため、古くから東京にいる人にはなじみのない地名かもしれませんが、じつは大江戸線半蔵門線が通って、渋谷や六本木や上野(広小路)、新宿、大手町まで一本で行ける便利エリアです。さらに、ここ5-6年はブルーボトルコーヒー1号店ができたり、意欲的なお店もたくさんできて雰囲気も変わりつつあります。

この清澄白河には、自分が東京1年目、2011年前から2015年1月まで住んでいました。 おだやかで近隣のコミュニティもおもしろく東京の印象が大きく変わった場所です。

ただ、下町とはいえ、ホームズで調べると面積17平米の1Kでも10万を超えるところもあり、8万円以下はほぼないくらい。 https://www.homes.co.jp/chintai/tokyo/kiyosumishirakawa_09700-st/list/

こういうところで住むのは価格的につらいこともあって、ファミリー向け4DKを借りて、それを友人と一緒に借りるという形でシェアハウスをはじめたのです。 そこの経緯や振り返りはこんな感じ。

dai.hateblo.jp

dai.hateblo.jp

ここのシェアハウスは、自分が東京出張などの際にも寄る機会もあっておもしろい場所なんですが、なんとこの度、住人2人が、それぞれ結婚と転勤で同時に引っ越すことになったため住人の募集があります。

これまでもおもにITエンジニアが何人も住んでいて、個室もありつつリビングでは勉強会のほか、料理イベントやゲーム・鑑賞会が開催されるシェアハウスです。落ち着いておだやかな場所なので、清澄白河でシェアハウスライフしてみたい方、よければどうですか?

諸事情で見つからなければ解散が決まるそうなのでおはやめに!

詳細や内覧については原住民代表の id:decobisu さんにお知らせください。

decobisu.hatenablog.com

さて、最近のシェアハウス観。 10年前、2008年には聞いたことのない概念でしたが、ここ数年急速にひろまっていますね。 自分も京都と東京で1か所ずつ住んで、6か所くらい遊びに行きました。住民やエリアによって個性も雰囲気も違ってたいへんおもしろいです。 かぼちゃの馬車のようにたくさん供給して倒産するところもあったり、社会現象にもなっています。

これは、現代の長屋・若者の貧困化としても語られますが、分断しがちな核家族・単身世帯の増えた社会でひとつの互助的なネットワーク・コミュニティのきっかけ、になっているのではないかとも思います。ウチとソトの境目がなめらかになるイメージです。

自分はつい最近まで京都でもめいちゃんちのシェアハウスREDIYに入居していたのですが、ここのコンセプトは「日常を拡張すること」。 この、めいちゃんちに限らず、シェアハウスに住むことでもともとの友人や職場、趣味以外にも、シェアハウスの住民やさらにその友人と出会えます。さらに、キッチンやお風呂などの水回りも共有することで私生活のノウハウや職場や学校のうわべだけではわかりにくい、価値観の多様さなどに触れる機会でもあって、寛容さにもつながるんじゃないかと。 もうちょっとシェアハウスという選択肢が一般的になっていくといいなー、と思っていて、スルガ銀行かぼちゃの馬車と、不労所得をもくろむ人間たちの出資で東京に大量供給されたシェアハウス群がこれから社会でどういう機能を発揮していくのか楽しみです。

mayshare.chu.jp

そういえば、水惑星年代記大石まさる先生が、テラフォーミングされた火星でのシェアハウスを舞台にしたマンガを描いているのでみなさま読みましょう。

現代日本でお金を稼ぐ2つの方向性

(注意1)この文章では具体的なお金の稼ぎ方が書いてあるわけではないです。
(注意2)こうあるべきだ、これが正しい、という意見ではなく自分の現状認識です。抜け漏れ誤解・固定観念があるかと思いますがやさしくご指摘いただければ幸いです。

「わたしは●●大卒なんだから年収800万もらえて当然でしょ」、「この難関資格をがんばってとったのだからいい給与がもらえるべきだ(もらえていないのは自分ではなくて社会が悪い)」みたいなことを聞く機会がありました。

苦労して働いている多くの方は信じられないと思います。しかし、大学までの、ペーパーテストで高得点をとると順位が出て評価されて周りからもちやほやされる世界で育つと、こういう意見を持ってしまうのも不自然ではないのかもしれません。
父親や親類が高収入だったり、付き合う社会が狭いのかもしれないし、かつての、女性が結婚相手に年収1000万円を求めている、みたいなニュースを聞いて育っているなかで、ペーパーテストが得意だったことにより(狭い)社会から評価をされていると自信過剰になるのも仕方ない、とも思います。

しかし、多くの方が体感しているように、学歴があればお金を稼げるわけではなありません。
もちろん学歴があれば、大企業に雇われやすく、高給を得やすいという傾向はあっても、学歴があるから雇われるという因果関係はありません。

よくよく見てみると、お金を稼ぐ構造をあまり知らない人がいるようなので書いてみます。
想定している対象読者は田舎にいる親類の高校生・大学生で、投資などすでに持っている人がより稼ぐのではなく、持たざるものが稼ぐことを念頭に置いています。銀行強盗やフィッシング詐欺などの犯罪行為や、ギャンブルは除いています。

さっそくだけれど、大きく2種類あると思う。

1.既存の利権構造の恩恵を受ける

世の中には、強固なお金を稼ぐ仕組みをもっていたり利権構造を構築している組織やコミュニティがあります。
すぐれた製品や販路、特許、版権、根強いファンをもつ企業はわかりやすいですね。一度つくった仕組みを維持していくだけでお金がどんどん入ります。株主に流れる分も多いですが、中核の従業員の分け前も多いです。

ほか、大きな退職金や天下りルートのある公務員もあります。
天下り、と悪いイメージのある言葉を使ったけれど、もちろん、専門知識をもった人間が民間で再活躍できるのはとてもよいこと。猪瀬直樹が「日本国の研究」で告発したようなあからさまな公金をどぶに流すような天下りはさすがに減っているとは思いますが、これもわかりやすい利権です。

そのほか、多くの檀家を抱える宗教組織や、文化芸術などで構成員をもつ財団、集金構造をもつ労働組合や、責任を負うとともに新規参入に門戸を狭める士業、玉の輿や資産をもつイエからの相続なんかもここに含まれるでしょう。

これらの組織は、その利権構造を維持する資本の論理や自己保存のような力が働いていて、定年や競争・死亡などで離脱するメンバーを補充し事業を維持するために、新メンバーを募集しているものです。

企業や官庁では新卒採用として、イエでは出産や、嫁婿探しとして。大学ではポストがあくと公募もあります。
もちろん、なかには、ある特定の血筋のものが出世を約束された同族企業や財団法人もたくさんありますが、組織内出世により利権構造の恩恵を受ける道が公開されている組織はとても多い。

そこで求められるのは、組織を運営していく高い能力だけではなく、組織の文化への適応具合や忠誠といったメンバーシップ。

採用されて出世していくには有用性を認めてもらうであったり、組織の意向をくんだ現場の人事権者に認められる必要があります。

そしてそこではペーパーテストの成績やその結果としての学歴はひとつの指標でしかありません。
大量に採用する場合に判断材料の一つとして学歴フィルターや同じ大学出身者を優遇するリクルーター制度や推薦があっても、選抜の一つでしかない。学歴があると多少は事務処理が得意なのかも、と思わる程度です。

そこから採用されるためには、各企業や業種によって違ったりいろいろ就活得意な人がいると思うので興味のある人は探してみてください。

生まれによって、利権構造の継承がほぼ決まっている人はよかったですね。社会に還元していってほしいです。

まとめると、利権構造の恩恵を受ける立場にいくと稼ぐことができます。いくつかの利権構造では門戸も開かれているのでがんばってください。

しかし、平家物語の冒頭にもあるように、盛える者は必ず衰えます。歴史を紐解くとどんな大帝国も衰退のときはあるようです*1
クレイトン・クリステンセンが指摘したような、イノベーションのジレンマもあり大企業でも絶対安泰ではありません。
かつて、炭鉱会社が東大生に人気で難関中の難関だった時代もありますが、いまや見る影もない領域も多いです*2

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

2.すきまを埋める

上記の利権構造は長く続いた組織が多く、官僚主義的になりがちで新しいことが苦手なことが多かったり、需給を満たせないことも多いです。また、権力は腐敗していきます。
そこで生まれる隙間をみたすものはお金を稼げます。
いちばんわかりやすいのはベンチャーに参画すること。あたらしい事業をつくって稼いで、利権構造を構築する。

体制の変わり目や、技術の発展期はたくさんすきま、つまりビジネスチャンスは多いようです。戦後のヤミ市や、ここ20年でたくさんでてきたIT系のベンチャー企業はわかりやすいですね。
上記であげた利権構造もはじめはすきまから始まったものばかりです。

とはいえ、室町時代に運搬を担っていた馬借や車借のように、お金は稼いでいても、社会的には低くみられることはあったり*3、新興企業のライブドアの取締役らが粉飾で逮捕される一方、日興コーディアル証券東芝の粉飾では逮捕もないように、新興の組織は社会的に厳しくみられることも多々あるので、お金を稼ぐだけが目的ではない方はご注意ください。

すきまを見つける、という点では、高技能なフリーランス流動性の高い専門職もこちらに含めましょう。
求められるエンターテイメントを提供するということで賞金スポーツのアスリートや、芸能人、ゲームなどのコンテンツ系を創造していくもこちらに含まれますが、すでにある版権で稼いでいく段階になると1.の利権構造にシフトします。

また、そんなに稼げはしないことも多いですが、既存の組織が需給を埋められないところを埋めるという意味では、自営業やアルバイトな仕事もこちらに含めてもよいかもしれません。

まとめ

おおざっぱに図にしてみました。 f:id:daaaaaai:20180429141904p:plain 「すきまを埋める」を新興として左に、はじめにに挙げた「既存の利権構造の恩恵を受ける」を右において、それぞれのなかで専門的か、非専門的か、という軸をおきました。
「専門的」というのは技術を念頭においていますが、特殊なマーケットに対する仕事も含むかもしれません(麻薬の密売とか?)。抜け漏れ多数ある概念図なのでご笑覧ください。

リチャード・フロリダのいう、これからの社会では、高技能なクリエイティブクラスとマニュアルで動くマックジョブに分かれるという分類は、既存の利権構造をおそらく意図的に軽視していると思うのです。

クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭

クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭

このめちゃめちゃ乱暴な分類によって何が言いたいかというと、(少なくとも)現代日本では、既存の利権構造が強固なために、そこにメンバーとして加わるのがお金を稼ぐのには有利になっているけれど、組織が永遠ではないので利権を享受しているという認識がないと危なっかしいよ、ということです。
そして、これが問題なんだけれど、利権が強固であるゆえに、古い価値観によって、権力者への忖度や、非効率さが温存されたり、過重労働や、関連企業からの搾取が続いているのはなんだかなあ、と思うのです。

おしまい。

21世紀の資本

21世紀の資本

*1:例外は、一定の規模を確保した宗教組織のように、領土が重要ではない組織かもしれませんがこれからどうなるでしょうか・・・

*2:しかし、ここらへんの話はよく聞けれど統計はどこかにあるんだろうか・・ http://www.jyoban-coalfield.com/omoide/omo_sepa/nakadagakusotu.htm

*3:1962, 笠原 一男, 一向一揆の研究

ヒューマニズムの限界と「アーロン収容所」

アーロン収容所 (中公文庫)

アーロン収容所 (中公文庫)

太平洋戦争後の、厳しい環境で強制労働があって30万人以上の日本人が死んだとされるシベリア抑留を知っている人は多いと思う。 けれど、戦後、ビルマ(現ミャンマー)にてイギリス軍に抑留されて強制労働させられていたことを、自分は恥ずかしながらあまり知らなかった。 それが日本で広く知られるようになり、戦後、さまざまな日本人論がうまれるきっかけとなったという、会田雄次氏によるアーロン収容所のことはどこかで読んで気になっていたのを、ようやく手にすることができた。

27歳で日本軍に徴用された歴史学者であった会田氏はビルマ終戦を迎え、イギリス軍の捕虜として2年間強制労働させられていた。 終戦までを描いた部分では、マラリアの蔓延するジャングルで乏しい補給のもと何か月も行軍する、戦友があっけなく死んでいくさまなど紋切型な表現だけれど戦争の悲惨さが伝わってくる。

どれも悲惨で、その大きな原因である、日本軍上層部の、官僚主義、前例主義、メンツ重視の希望的観測と精神論と補給の軽視が、この現場の記述から透けてみえる。 このあたりについては、「失敗の本質」に簡潔にまとめられていて、現代社会でも通用する知見を整理しているのでみなさまぜひ読んでください。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

本書は、ようやく命からがら終戦を迎えた後、あまり知られていなかったイギリス軍の収容所の残酷さに焦点を当てている。 そして、この収容所というきわめて異常な状況を通してイギリス人やインド人、ビルマ人、そして日本人の価値観の違いをえぐりとっている。

イギリス人の、合理主義的であり、かつ黄色人種を平然と家畜と同様に扱って差別するさまはけっこう衝撃。 し尿拾いなどの屈辱的な仕事をさせたり、食料をほぼ与えなかったり、収容所をあえて虫や悪臭のひどいゴミ集積所のそばにつくるなど、拷問や虐殺とはまた違うやりかた。 ヒューマニズムというものが蜃気楼のようなものでしかないと感じる。

本書では、そういった抑圧の残酷さだけでなく、収容所での苦しい生活の中で、捕虜たちが、イギリス軍から泥棒したり文化をつくりだすさまも見えて興味深い。 飛行機のジュラルミンの部品をとって精妙な仕掛けのあるシガレットケースをつくって、インド人士官に売ったり、竹からマージャン牌をつくったり、イギリス軍兵舎の天幕を盗んでそれを緞帳に仕立てて演劇をしたりなどの話や、インドタバコが貨幣として流通していたというはなしもたくさんあって、そのしたたかさに笑えてしまう。そのなかで、戦場での、階級とは違う組織の上下関係と、捕虜生活での上下関係がかわってくるさまもおもしろい。

著者は、これを一般的に拡大するのはあぶない点があるとしながらもこう書いている。

人間には種々の型があり、万能の型というものはない。異なった歴史的条件が異なった才能を要求し、その方の人物で、傑出し、しかも運命に恵まれた人物だけが活躍した。古代の偉大な政治家も、現在では村会議員にもなれないかもしれない。現在のやくざの親分はあるいは戦国大名になれたかもしれない。芸術家や学者でもそうであろう。

これは、初代内閣安全保障室長の佐々淳行の平時のリーダーと、危機時のリーダーに求められる資質は違うというものを連想した。 たぶんこの本に書いてあった。危機管理の本はおもしろいのでぜひ読みましょう*1

完本 危機管理のノウハウ

完本 危機管理のノウハウ

ビルマでの日本軍収容所について詳しくは本書を読んでほしいけれどまずはWikipediaをさらっと見てほしい(ちょっと順番が変な気はする)

ビルマでの降伏日本軍人の抑留 - Wikipedia

過酷さを比べるのは不適切だけれど、希望がない中で毎日人が死んでいくナチス強制収容所で、どういう人が生き残るかというのは、V.E.フランクルの夜と霧がめちゃめちゃ刺さる。本文はそんなに長くないし(文体は)読みやすいので多くの人に読んでほしい、けれど、本文のすばらしさと比べて付録の解説が一面的で感情的で最悪だった気がするのでご注意ください。

夜と霧 新版

夜と霧 新版

ミャンマースー・チーさんくらいのイメージないかもだけれど、急速に経済発展しながらも少数民族問題を抱えていてたいへん。 いろんなミャンマーの山岳地方での少数民族の暮らし向きや雰囲気については、高野秀行さんの「アヘン王国潜入記」がめっちゃ笑えて楽しいながら、ミャンマーのかかえる問題の現場を知れてよかったけれど、戦中や戦後にも日本軍とさまざまなかかわり方をしていたのは知らなかった。

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

あとがき

このブログはこのところ放置でしたが、最近は#つくりおきブログに寄稿したり、会社のブログを書いたりしていてブログを書いていないわけではありません。 今回は最後に関連書籍を羅列してしまったけれど、今後もなにか伝えたい・記録に残したい本や思いがあったときに書くだろうのでよろしくおねがいいたします。

tsukurioki.hatenablog.com

今日紹介したアーロン収容所は1/7に尾道の古本屋さん弐拾dBで購入し、18きっぷでの帰りの車中や通勤中に笑ったり泣いたりしながら読んで、本文章のたいはんは今出川大宮上るのカフェ、逃現郷(とうげんきょう)さんで書きました。どちらも人の思いがこもった感じのとてもよい場所です。

*1:佐々さん、おもしろいけれど同じエピソードがいろんな本で触れられているのでどれがどれか思い出しにくい(どれも印象深いエピソードではあるけれど)