4歳の子が手足口病にかかりどこにもおでかけできないときにディズニー+に2ヵ月無料のキャンペーンで入ったので勢いで観た。
物語としては11歳の女の子ライリーの引っ越しによる生活の変化を描いているという単純な話の映画なんだけれど、大きな特徴として人間の5つの感情、ヨロコビ、ムカムカ、イカリ、ビビリそしてカナシミを擬人化してかれら*1をを主体に描いているという点でかなりユニークな作品だった。かれらが頭の中(インサイドヘッド)でそれぞれの思い出を大切にしながらライリーの生活に感情という側面で深くかかわっていく。
頭の中はコクピットのような司令部があり深層心理への越えられない谷底や、長期記憶の破棄、感情のよりどころになる大きな島があったりと独特。子どものころの空想の遊び相手や恐怖したピエロが長期記憶の片隅にいたりというのもおもしろい。
物語としては司令部にいたヨコロビがちょっとした拍子にカナシミとともに遠い深層心理のエリアへ迷い込んでしまい、なんとか戻ろうとするものの、喜びをつかさどるヨロコビのいないライリーの引っ越し後の生活はうまくいかなくなっていく。この、頭の中の世界観をつくって、乗り越えるべき試練として、脳内でヨロコビがいなくなりました、とする作劇は勝手すぎてすごいんだけれど、思春期の女の子のストレスという映像的に地味だが難しい問題をコミカルに楽しく描いていくことに成功していてすごい。
親視点では、それまでまわりとうまくやっていて親との関係も良好だったのが、引越しによる友人との離別や親の仕事がうまくいかないことなどで大きなストレスにさらされ変化していくのがつらすぎる。あと、父親の仕事も運転資金を気にし続けるスタートアップというのもつらさがある・・・。
(ヨロコビからみると)勝手に動いて大切にしていた思い出を台無しにするカナシミが、ネガティブな印象だったものが終盤、重要な役割をもつところもよい。
終盤では父親や母親やほかの人物の脳内のコクピットも描かれるんだけれど、まあまあ個性があった(父親の各感情はライリーとそっくりだけれど、母親はそうではないというのがちょっと気になった)。
*1:「かれら」とひらがなで表記するときは性別を問わないつもり