ぜぜ日記

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令和の未来予想

いつのまにか平成が終わって令和が始まりました。

ずっと未来だと思っていた2020年の東京オリンピックもいよいよ来年。
猪瀬都知事が鞄に5000万円を詰めたり、競技場のデザインがもめたりロゴパクリ問題や築地移転のごたごた、膨れ上がる予算など、ほんとにやるのか、という気がしつつもプロジェクトが進んでいるのは、官僚組織の強さを感じずにはいられません。
今なお過酷な現場で酷使されている、公務員や現場労働者、その他関係者のみなさまを思うと頭が下がります(命を大事にして欲しいです)。

さて、東京オリンピックを機にすこし昔を振り返ってみます。
まず、1945年の第二次世界大戦終戦で日本も世界も大きく変わりました。そして、25年後の1970年には高度経済成長期の絶頂で大阪万博があり、そのさらに25年後の1995年には冷戦もおわって平和かと思えば、失われた10年(いまでは20年・・・)に突入して阪神淡路大震災もあって世紀末ムードでした。そこから25年たって東京オリンピックと考えると、時代はどんどん変わっていると感じます。

そこから25年たって、2045年、令和27年には世の中はどうなっているでしょうか。

自分の、偏った狭い視野ではありますが、未来を考えておくと、なにか先手を打てたり、心の備えができるかもしれません。あとなにより楽しいです。
というわけで、2045年を脈絡なく考えてみます。一素人の思いつきばかりですがご容赦ください。



まず、ある程度確度の高いことを整理してみます。

人口

社会保障・人口問題研究所の2018年のレポート*1では、2045年には日本の人口は1億600万人、2015年から2000万人以上減ってしまいます。
都道府県別にみると秋田・青森では40%ほど人口が減って、自治体の維持にも困難をきたしそう。市町村単位でも7割以上で20%以上人口が減ります。高齢化も、東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・福岡・滋賀では、2015年から2割以上も65歳以上の人口が増えそうです。沖縄は6割も増えます。

いっぽう世界では国連の調査*2によると2050年には98億人。100億人の大台直前です(参考までに、銀河英雄伝説では自由惑星同盟は130億人います)。 国別ではインド16億人と前人未踏の領域。ナイジェリア4億人、コンゴエチオピアなども2億人前後になりそうです。

自然現象

破滅的な自然現象の候補もいくつかあります。

・首都直下地震は30年内70%*3。さすがにオリンピック前に起きたら中止になるかもしれません。
東南海地震も30年内に70-80%(と、ずっと言われている気がします)*4
・富士山噴火もいつ起きてもおかしくないと言われています*5。直接の死者は少なくとも、首都圏全域への10cm以上の降灰による電気物流麻痺農業への影響を考えると首都直下地震より影響大きいかもしれません。
・巨大な太陽フレアも起きてもおかしくないそうです(赤いオーロラの街でを読みましょう)
地球温暖化は諸説あってよくわかりませんが、干魃や水害が増えて、食料生産に大きなダメージがある事象は増えるのかも。

インフラ

国内のインフラ計画の大きいものだとリニア中央新幹線は2038年、北陸新幹線が大阪までつながるのは2046年の予定。
橋では第二関門橋計画も、大分と愛媛を結ぶ橋もまだスケジュールはできていなさそう。たぶんしばらくなさそうな気配です。
後述する経済力の低下や人口構造の変化にともない、道路やトンネル、水道管など生活に不可欠なインフラの老朽化もすすみ、メンテしきれなくなるのは間違いないでしょう。
そのなかで産業や生活に大きな影響をもたらす事故も少しずつ増えてくるはず。

社会の変化

国内では人口が減るとともに少子高齢化がますます進むのは間違いありません。
その結果、需要も減って国内向けの産業は少しずつ弱まっていくし、福祉の負担も増えて内容も希薄化する。つまり貧しくなっていくし、有権者の高齢化率もあがってますます若者向けの支援は難しくなってくると思う。

これが反転するとしたらよっぽど国民に不満がたまって強い政党がでてくることな気がするけれど、そういう政党はだいたいがナショナリズムが強いところになりがちで副作用も大きそう。

いっぽう世界では新興国の人口ボーナスと新技術の導入しやすいさによる勃興は引き続き続くし、先進国の、少子高齢化グローバル化による中間層の没落とポピュリズムの台頭は続きそう。国内では、これまでが恵まれていたとがんばってインバウンドがんばりつつ人件費も相対的に安くなって製造業で部品供給などがんばっていくかになりそうです。

景気のことはよくわからない。
ハイパーインフレが起きて年金も一回破綻したほうがいいんじゃないかというリセット願望の甘い誘惑もすこしありつつ、ドーマーの定理で財政がどうなるのかはよくわかっていません。とりあえず、なんらかの手段で、ハコモノではなく教育・研究まわりに安定的に財政出動してほしいですが、これは予想ではなく願望です。

上述したハード面のインフラの他、教育や医療などの社会インフラのなかでも、聖職視されがちで労働者の負担が大きいものも、じわじわとサービスレベルは下がっていくはず。それにあわせて一般市民が生活レベルを下げていくなかで何が起こるかは気になります。

社会不安は新宗教の隆盛など招くかも。
あるいは、かつてのマルクス主義のような、社会変革をもたらすような思想が生まれて感染していくかもしれません。
現在、その候補はなにかあるかな。加速主義は、ちょっと退廃的なユートピア待望でしかなさそうで違いそうな気もしています。

テクノロジーによる社会の変化・IT関連

産業革命緑の革命などさまざまな、政治体制以外の革命と呼ばれるものはテクノロジーの進歩が原因にあります。これからはどんなテクノロジーがでてきて、どう社会を変えていくでしょうか。

企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなる程情報化されていない近未来

とは、攻殻機動隊で表現された未来の姿ですが、民族意識はやっぱり根強いかも。自動同時翻訳の普及は、すこしはこれを希薄化できるかもしれません。

まず、ITについて考えると5Gネットワークが普及してコンピュータの小型化・価格低下も引き続きあるでしょう。あわせて高度なAIがさらに普及し、世の中にはりめぐらされたセンサーは、古典的なディストピアSFのような監視社会をもたらすかもしれない(国民のランク付けをしている中国はすでにそうなりつつある?)。 それによる、行動よりは言論の偏りが助長されることをすこし危惧しています。誰かが意図しなくとも、フェイクニュースやネットデマの広がり方、悪意の増幅をみていると伊藤計劃の虐殺機関的なこともありえそう。

すこし脱線しますが、このあたりの話は1987年に刊行された村上龍の「愛と幻想のファシズム」に、合成動画によるフェイクニュースによって国際世論を大きく誘導することや、全体主義的政党の台頭として描かれていて、30年以上前に書かれたとは思えません。IT普及以前ではありますが今なお色あせていないのでみんな読みましょう。感想聞きたいです。

もうちょっと予想しやすいネガティブな未来にはUNIXのtime_t型が桁あふれする2038年問題があるけれど、ちゃんと32bitなシステムのリプレースは進んでいくでしょうか。この問題自体はなんらかの手段で解決できたとしても、大企業でも苦労するレガシーシステムのリプレース(大企業だからこそ複雑でもある)に対して体力のない中小企業はどう解決していくのか謎。売上数百億円以上あるところでも、オフコンや古いシステムでメンテナンスに困難を抱えていてリプレースが計画できていないところは山ほどある。 人手不足倒産があるように、システムの不具合を解決できなくなって業務継続できなくなる倒産も出てくると思う。なんと呼ばれるだろうレガシーシステムトラブル倒産? 金脈ではあると思うので中高年エンジニアはお金を稼いで欲しい(金脈とはいえ汚染された金脈で精錬コストはめちゃ高そう)。

エネルギー

エネルギーについては、バッテリーの小型化・低コスト化とかで、電力事情がかわったりするかもしれません。ローマクラブは1972年に、石油はあと30年と言っていましたが、石油連盟は、2073年まではありそうとレポートを出しています*6核融合はまだまだ先でしょうか。

食料

また、国内での高齢化のなかでも第一次産業の高齢化は著しく、また、相対的な経済力の低下と海外の人口増で食料の調達コストはますますあがるでしょう。
直接輸入だけでなく、飼料の輸入コストや肥料の生産コストはあがって、国産の肉や米、野菜もあがっていきます。
これを解消するとしたら、ハーバー・ボッシュ法にかわる実用的で低コストにアンモニアをつくる方法を発明するくらいかな・・・。その実現性はよくわかりません。
代替食料が普及するよりも前に、低インプットでつくることのできる農法が脚光を浴びる可能性もあります。少なくとも食料流通は望まなくとも変わっていくでしょう。

その他

その他、ハイテク関連は全然明るくないんですが(ITも知ったかですが)、バイオ方面で期待されているオーダーメイドな製薬や、臓器クローン、遺伝子選抜、知能を増強するようななにかが進んで、健康面でも一般市民と富裕層の間の差は広がりそうな気もします。

と、なんか散漫に思いつきめいた未来予想を書いてみました。
ぼくらの未来はどうなるでしょうか。

コンピュータサイエンスの未来観の変遷

最後に、自分がかつて所属していた研究室の大ボスが言っていた、コンピュータサイエンス分野の未来予想についておもしろかった話をひとつ。

かつては、コンピュータサイエンスは、未来を楽観視していました。 たとえば、ノーベル経済学賞をとって人工知能やシステム科学を考えていたハーバート・サイモンは、マシンは20年後には人ができること何でもできるようになる、と言っていた*7り、パーソナルコンピュータの父、アラン・ケイは、未来を予測する一番いいやり方は未来をつくることだと言ったりもしていた。

しかし、そのあと、コンピュータサイエンスは何も分からない、という考えになってきています。 Webの父、ティム・バーナーズ=リーは、コンピュータサイエンスはコンピュータの中で何が起きてるかは分かるけれどWebのなかのことはなにもおしえてくれない、と言ったり、「Facebookはどういうロードマップなの?」という質問に、創業者のマーク・ザッカーバーグは、ただ6年コンピュータの前に座ってコードを書いただけだと言ったり。

そういえば、その大ボスが所属していた、京大情報学研究科の同窓会、超交流会2019が来週5/25(土)に開催されます。
同窓会ですが、大学・OB関係は2割くらいだったりする謎イベントなので関係ない人でも気軽にお越しください。有料ですがおもしろい人々がおもしろい話をしたりいろいろしゃべれる異様な場所です。
学生はなんと無料です。ビール飲み放題です。
みんなきてくれ!(PR)

www.johogaku.net

自分も運営スタッフしていてうろうろしているのでこの自分の駄予想についても議論できればと思っています。

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

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さらに、そういえば4年前にも未来予想っぽい話を書いていた。 これを書いた頃と比べると自分の関心事とか視点の変遷がわかる気がする。知識・知恵がついた気があまりしていない・・・。

dai.hateblo.jp