ぜぜ日記

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ボーイミーツビーツ

こんにちは。 クリスマスでしたね。通勤中に通り過ぎる街が浮き立って見えましたが、自分が浮き足立っているからなだけかもしれません。

疑似ボルシチ

さて、ビーツがあったのでボルシチをつくりました。

そもそもボルシチとはなんなのでしょう。ビーツをつかった煮物という認識で、誰かから、ボリシェビキのシチューのことだと言われてついつい信じていましたけれどWikipediaを見るだけでも諸説あるようですね。すくなくともボリシェビキは関係なさそう。

とりあえず、いくつかのレシピを探した結果、このサッポロビールのレシピをもとにつくっていきます。ビール会社がコンテンツをつくっているのですね。メーカーのメディア化を感じます。日本の大手メーカの中ではサッポロの黒ラベルが好みです。

www.sapporobeer.jp

ビーツ、赤黒くてごつごつしたベヘリットのようなものなのですが切ってみると濃い赤色の野菜です。 写真は撮り忘れたのでかわりに赤カブの写真を載せます。

※ これは赤カブです。ビーツではありません。

切ります。並べるとおもしろいですが戻すのが面倒になります。ニンジンは赤と黄色の2種類ありました。

バターを火にかけます。

肉を炒めます。もとのレシピでは牛ですが、高いので豚バラブロックを分厚く切ったものを使います。

野菜を入れます。

トマトとビーツをいれて煮ます。 トマト缶はレシピでは半分となっていますがうっかり全部入れてしまいました。赤色のほとんどはトマト缶ということになります。

煮ているあいだはなにかつけあわせに芋かブロッコリーでも茹でるとよさそうですが今回はありません。 かわりに翌日のつくりおきに、ニンジンとレンコンできんぴらごぼうを炒めました。あいかわらずきんぴらの火加減はあいまいです。

さて、だいたい火が通ったので火の通りの速そうなビーツの葉をいれます。

こんなふうになりました。後ろにあるのはスーパーで半額になったバケットです。

最後にサワークリームをのせます。サワークリームは生クリームを乳酸菌で発酵させたおいしいものです。スーパーで200mlで200円でした。パンにハムといっしょに挟みたい気持ちになりました。

ボルシチです。旨みもあってパンも進んで美味しい。あと肉が分厚い。低温調理で角煮的に柔らかくするとレベルが上がりそうなので次回の宿題です。 しかし、たぶんこれはボルシチというよりはビーツ入りトマト煮な感もしてきました。ロシア人はどう思うでしょうか。

ボルシチピロシキと並ぶロシア料理の代表、と思っていますがじつは正統的なものを食べたことはありません。ロシア料理屋が少ないせいです。 機会があれば四条河原町キエフに本物のボルシチを食べに行きたいと思っているのでご興味ある方いらっしゃいましたらご一緒しましょう。

煮テンプレート

さて、みなさまの多くは自分と同じようにボルシチをつくったことはないのではないかと思います。 しかし、もしみなさんが興味をもって疑似ボルシチをつくったとすると、この料理、どこかでつくったことがあるな、という考えが湧いてくるはずです。 ビーツがなければふつうにトマト煮ですし、途中までカレーと変わりません。

そう、いくつかの煮ものには大きな共通部分があるのです。 ここで、その共通部分、煮テンプレートについて書いてみます。

今回のボルシチは、ニンニク、トマト缶、ローリエ、固形コンソメ、 塩コショウ、 バターで味付けしました。 しかし、ここでニンニクではなく生姜を、トマト缶や固形コンソメのかわりに醤油とみりんと砂糖をいれていたらどうなっていたでしょう。肉じゃがです。 肉がなくてゴボウとシイタケをいれていれば筑前煮です(これらの定義については諸説あります)。 もし、固形コンソメの代わりにカレールーを叩き込んでいたらどうなっていたか、カレーです。 トマトケチャップと酢と砂糖をまぜたものに鶏ガラスープを足すとどうでしょうか。これは酢豚です。 酢豚について、個人的には豚よりも鶏モモをいれることが多いです。これは、学生の頃にこっそり好意を寄せていた女性の得意料理で酢鶏と称され人々から愛されていました。キクラゲが欠かせません。これまで酢の物が苦手だった自分に、酢の美味しさを教えてくれた大切な一品です。同じく酢の価値に気付かされたものは、寿司を除くと、東京駅ラーメンストリートの六厘舎です。つけ麺に酢をからませて旨みを引き出す可能性について学びました。

さて、すこし脱線してしまいましたが、共通する部分をおわかりいただけたでしょうか。まず、メインの肉と、タマネギとニンジンを油で炒めることからはじまります。 これは、肉についてはメイラード反応を発生させて香ばしくし*1、タマネギは甘くし、ニンジンは脂溶性のカロテンの吸収率を高めることを狙っています(要出典)。 そこから水分をいれて煮ていきます。ここではボルシチの場合は、トマトのグルタミン酸、肉じゃがの場合はカツオ出汁のグルタミン酸筑前煮の場合はシイタケのグアニル酸などダシの影響が大きく、洋風にする場合はローリエをいれるとやはり香りが違います。

あとは、それぞれに好きな材料をいれたり、冷蔵庫に潜んでいる野菜をいれることができます。今回のボルシチも、キャベツはなかったのでビーツの葉で代用しています。

味付けは、今回はずるして固形コンソメをいれましたが、お好きなものをいれれば大丈夫です。 肉じゃがのように材料に味がしみてほしいものは早めの味付け、カレーのように香りのとぶスパイス系は後半にいれるのがよさそうですが、それぞれノウハウがあるようで未整理です。

このように、油で肉とタマネギとニンジンを炒めて水をいれて煮るところまでは同じで、煮るときになにをいれるか、煮てからなにをいれるかで結末は大きく分かれてしまうのです。

もちろん、ちゃんとインドカレーをつくろうと思えば最初にクミンを炒めたり、タマネギをあめ色に煮たりと細かい調整は必要です。 ただ、肉とニンジンとタマネギがあれば、最初に材料を切って炒めるところまでは同じで、そこから気分や冷蔵庫の中身次第で味付けを変えることでいかようにもなってしまうことを伝えたい。 ある種のコンストラクタを共通化したBuilderパターンとも言えるかもしれませんね(言えない)。

自分も大学生も折り返し地点になってまともな料理をするようになるまでは酢豚とカレーが途中までいっしょだとは思えなかったと思います。材料をきって炒めて煮るだけで量が簡単につくれる煮物は、バリエーションも豊富で自炊初心者にはうってつけなので自分が料理をはじめたころに知っておきたかったなあ、と思い書いてみました。 またみなさまの知見もご共有ください。

以上です。来年もよろしくお願いいたします。

*1:上記のボルシチは、鍋のそこに肉がくっついたので挫折している・・・