ぜぜ日記

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九・一八歴史博物館に行ってきた話と満州事変について

機会があって瀋陽簡体字では沈阳、満州時代は奉天)の九・一八歴史博物館に行ってきました。
ここは日中戦争開戦のきっかけとなった満州事変(別名は柳条湖事件、九・一八事件)の発生地点すぐそばにある博物館。

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これが旧館。そして裏に大きな新館ができている。建物自体が象徴的で9月18日にはよく周囲で反日デモがあるらしい。

この左側の塀の向こうにはいまも満州鉄道由来の線路が通っている。
※ちなみに中国では満州という言葉は侵略時代を想起させる恥辱的な言葉らしいので注意


この博物館では満州事変前の状況、張作霖爆殺事件から関東軍による自作自演な爆破事件、日本の侵略と統治・占領、そして抗日戦線と終戦まで取り上げられている。
特に731部隊の人体実験、日本兵による残酷な事件(事件名は失念)など目立った。あとは東京裁判と当事者を含む日本人の謝罪の記録が展示されている。

2番目以降の部屋以外は撮影禁止だったようなので写真はないけれど、当時の写真や物もいろいろあって興味深い。


ただ、日本兵の残酷さを示す絵やオブジェなどは日本の残虐さを過度に強調しているような印象がある。特に、実際の遺骨を大量に展示に使ったり、拷問部屋の模型などはやりすぎ感がある。プロパガンダ的というか扇情的。

あと、見逃しただけかもだけれど南京虐殺満州開拓民による土地収奪についてはあまり触れられていなかったように思える。


あと気になったこととして共産党ゲリラの命がけの活躍についてはかなり英雄的に取り上げられているけれど、国民党、蒋介石らの活動についてはあまり触れられていない*1。また、ゲリラを率いていたはずの毛沢東についてもまったくといっていいほど取り上げられていない。ここらへんは政治的な理由だろうか。そういえば共産党も国民党も日本軍と結託してアヘン売ってたしおおっぴらに出来ないこともあるんだろう。

参考文献

阿片王―満州の夜と霧 (新潮文庫)

阿片王―満州の夜と霧 (新潮文庫)



感想としては人間って残酷だなあというのと今の平和は素晴らしいということ。そしてその元には血の歴史があるのを知っておくのは必要な気がする。ただ、経緯を省略して過度に愛国心と敵愾心を煽るようなのはなんだかなあと思う。日本を含めて若者の身分が不安定になりがちな現代国家ではナショナリズムが流行するのは必然なのかもしれない。
平和につなげるならもうちょっと経緯を知っておいたほうがいいとは思う。

日中戦線にいた日本兵の人が言っていたこととして「戦争責任は私たちの世代にあるけれど、あなたたちの世代には戦争をしない責任がある」というのが印象的(2ステップの伝聞)。


満州事変や日中開戦の原因については諸説あるし思想的な期待が交じっているのもあって一概に言うのは難しいけれど陸軍中枢の独断専行というのが一般的な見方だろうか。

そして、なぜ陸軍が暴走したかというと、ソ連侵攻のプレッシャーによる愛国心や当時の帝国主義競争の中での征服欲、ほか軍内で出世するため事前調整しない風潮があったという話もある。どちらにしろ政府のコントロールが効かなかったというのがあったみたい。背景としてマスコミが販売数を伸ばすために扇動的になっていたし、国民はそれに乗せられてか政府の弱腰を非難していたというのも一因とは言われている。


そういうところを踏まえると残酷な事象だけを伝えて平和が一番とする日本の平和教育的なものはどうかなという思いはある。

高校の修学旅行で行った広島歴史博物館も、広島に起きた事象については説明しているけれどその経緯についてはあまり言及していなかった気がする。歴史教科書の問題をみるにつけ、ここらへんを一つの説で説明するのは難しいんだろうけれど・・・


まあ、そんなこんなで平和とか歴史・教育って難しいですねということを思いました。踏み込むと危ない話題なので中学生並みの感想でやめときます。

この博物館は入館無料なのでお近くにお立ち寄りの際は寄るとおもしろいかも。平和とプロパガンダについて学べると思う。



図説 満州帝国 (ふくろうの本/日本の歴史)

図説 満州帝国 (ふくろうの本/日本の歴史)

この本に載っているのと同じ写真が何枚か使われていたので帰ったら確認したい。
満州はなかなか興味深いです。満州帝国は建国後13年で地上から消滅した人造国家。そこには戦後の高度経済成長のプロトタイプが存在していて最高時速130kmの超特急「あじあ号」、合理的な集合住宅、アジア初の水洗便所などあったらしい。しがらみの多い東京よりも進んでいる。そういう面以外にも昭和通称、影佐機関や甘粕機関など各特務機関の闇も中二病をくすぐられて魅力的。ただ今回の訪問で被侵略国側の視点は十分に持てていなかったと気付かされたのでもうちょっと調べてみたい。


追記

中国はエネルギーに満ちあふれています。
建設中のビルがやたら多かったり高級車がたくさん走っていたり、スーパーマーケット(超市)では生きたすっぽんや大量の腐女子向け雑誌が売られていたりしていました。別記事で写真をあげようかと思ったけれどはてなブログの上限に達してしまったのでまたの機会に。月間30MBは少ないと思う。この記事で一枚取り上げた写真も700KBまで圧縮しないとあげられなかった。

プロにすれば解決だけれど吝嗇家なので年7000円はけっこうためらってしまう。Webサービスでお金をもらうってけっこうたいへんだ・・・。cookpadとニコ動ほんとすごい。

*1:張学良と師弟関係だったということくらい