先日お亡くなりになった、防衛大学長や東日本大震災の復興構想会議の議長を務められた五百旗頭真(いおきべ・まこと)さんの著書。 神戸大教授だったころに阪神・淡路大震災で被災し、ゼミ生を喪うなどした経験がある。
大きく分けて、関東大震災、阪神・淡路大震災、東日本大震災と3つの大災害について、被害状況や応急対応、その後の復興について概観できて、災害大国日本にいる身としてはたいへん有用だった。知らないこともたくさんあった。
特に印象深いのはこの3つ
1.復興で焼け太りすることへの批判として、被災前まで復旧させることにお金は出すが、平等の観点からプラスアルファの復興は自分のお金を出すように、との考えがあったこと。また、阪神から3年目に議員立法された被災者生活再建支援法で生活再建に300万円まで提供できるとなったということ。これ能登半島震災でもスムーズに使われているのだろうか。
2.阪神・淡路大震災では自社さ連立政権で自衛隊派遣が遅れたとの問題がいわれていたけれど、実際には情報伝達が遅いなかで各者かなりベストに近い対応をしていたのではないか、とのこと。当日午後以降の復興へのコミットはかなりよかったように思える。
3.警察や消防、自衛隊のちからはほんとすごい。特に阪神大震災では警察による救命が驚くほど多かったこと。すごい。
危機における政治と行政機構のリーダーシップの重要さを感じるけれど、今の、人件費削減で派遣が増えた行政や、裏金スルーな政治家にまかせられるのかどうかは少し不安ではある。ひるがえってみると、今の能登半島地震への対応は、報道やSNSでいち側面しかみえていないけれどうまく進んでいなさそうで心配。現場・後方で尽力されている方に感謝しつつも、五百旗頭さんがいたらどう評していただろうかとは気になる。
どの災害も時代や場所、タイミングによってユニークな災害になっている。次の首都直下や南海トラフ、あるいは京都の花折断層ではどうなるだろうか・・・
いかたけさんのこのブログで読んで気になったのでした。ご紹介ありがとうございました!