世の中にはたくさん問題があって、苦しんでいる人がいたり、解決しようとする人がいる。なかには、放置することで利益を知らず知らず得ている人もいるし、ときには解決しようとすることが誰かに別の問題をもたらしてしまう場合もある。
今年は、世界中でCOVID-19の対応について揉めて、国内でも検察庁法改正やら、種苗法改正などSNSで大きな動きがあった。海外では香港の民主化運動にも大きな動きがあったし今はアメリカを中心にBlackLivesMattersが広がっている。
BlackLivesMattersは、日本にいると空気感がよくわからないけれど、公権力による人種差別のある殺人をきっかけに、大勢の人がデモをしたりSNSで声をあげている。
その中の一部には、デモに便乗して略奪する人や、逆にデモを扇動・激化させようとする人もいるという不穏さは見え隠れするけれど、これまでもデモをきっかけに時代が変えてきたこともあるし、社会の分断をひとつ減らせればいいなと思って応援はしている。
日本でも「#検察庁法改正案に抗議します」のムーブメントは、著名人を巻き込んでSNSで発生してニュースにもとりあげられたひとまずは採決を見送らせることができた。なかには批判もあるけれど、自分はすごいことだったと思う。
ただ、こういう政治意見を表明するのは、自分にはすこし怖い。 そういう理由と、自分が漠然と思っている社会の問題について書いてみる。
問題の複雑さ
理由のひとつは、問題の複雑さ。 例えば、先に触れた検察庁法改正案の抗議でも、これがほかの国家公務員についても影響し、長年議論されてきたものの一部ということは気付かなかった(それも含めても政府による恣意性はよくないと思うけど)。芸能人が反対の声をあげて話題になった種苗法改正についても、一部を取り出して主張する人の声に惑わされかけたけれど、ちゃんと意見をいえるまでには複雑な経緯と意図を追いかける必要があった。
技術の変化や法制度の変化、メディアの多様化が積み重なって世の中が複雑化していると思う。自分がよく知っている問題についてマスコミが誤った報道をしているのに気付いてしまうと、ほかの、自分が詳しくない分野の問題も誤っているものが少なからずありそうだと思える。そうなるとメディアのニュースだけで考えを決めるのは恐ろしく感じる。また、味方を増やそうとして単純化して伝えるメディアやSNSによって、先入観をもって単純化して考えてしまいそうなものも多い。
もちろん、気になった問題はちゃんと調べればいいんだけれど、問題は無数にあって時間は有限。 そういう、自分の理解の範囲がわかっていないのに発言しにくい。いっぽうで、限られた情報からでも意見を表明する人がいることで議論が巻き起こって詳しい人が解説してくれたりもするので、意見表明している人をくさすわけではなくむしろ尊敬するのだけれど。
インターネットバトル
ふたつ目はインターネットバトルにまきこまれたくないこと。 問題が単純化されて敵か味方かの二元論になりがちなのは人間のさがだと思っているけれど、これがインターネットで加速しているように思う。それで専門家が勇気をもって発言していても叩かれているのをみると、おそろしくなる。また、それでも発言する方々は尊敬する。黙っていいねだけつけています。 自分がTwitterでフォローしている人の中にはいつのまにか強硬な反体制主義な人々や国粋主義者も少数いて同じニュースでも意見が正反対でかつ、自分が絶対正しいと信じている人たちもいる。そして彼ら彼女らは、それぞれエコーチェンバーで意見が強化されているのもおそろしい。
民主主義を健全に維持するには、市民の政治参加が必要だと思うのだけれど、この複雑化して、インターネットバトルにまこまれやすいなかで発言していくのは難しい。
とりあえず問題リスト
こういうわけで、こうするべきだ!とか今の~はおかしい、と声をあげるのは自分にとって恐ろしく感じる。繰り返しになるけれど、そういう発言をしている人は尊敬するけれど、自分には難しい。
とはいえ、こういうの問題だと思うんだよな、というのは表明しやすいと思ったので自分が世の中の問題だと思うものを羅列してみた。 ほかにも重要な問題はたくさんあるはずで、いま思いついていないものもあると思うけれど、ひとまずの表明。もれている重要な問題教えてください。 行動しないと変わらないけれど、まず一歩ということでご容赦を。順不同です。
国内
- 資産家優遇・学費高騰による格差の固定化
- 就職氷河期世代の不安定さ
- 生活保護の窓際対応、貧困ビジネス、貧困の再生産
- 非正規雇用者の社会保障のなさ
- 自己責任論による貧困者の救われなさとそれによる社会治安の悪化
- 社会不安と排外主義の蔓延
- 労働時間の長期化とうつ病
- 地方の過疎高齢化
- 補助金依存な地方再生
- 農業者数の減少による、食料自給力の低下、農の多面的な機能の毀損
- 技能研修生の搾取
- 行政・教育・医療などのIT化の遅れ
- IT人材やITに理解のある経営者の少なさと増えつつあるレガシーシステムの保守運用コスト
- 医師の当直明け勤務や無給医など異常な労働環境
- あずのみ里裁判や大野病院事件、湖東記念病院事件などの警察・司法・メディアの医療現場の軽視
- HPVワクチンを代表とする反ワクチンのデマの流布と普及の遅れ
- 教師の労働環境と人材確保
- いじめ問題と学校や教育委員会のことなかれ主義
- 司書や学芸員の扱いの悪さと文化の軽視
- 研究者の非正規雇用と負担増とそれらによる大学の研究力低下
- 利益供与や法令・公文書の軽視など長期政権の腐敗と野党の弱体化
- 腐敗・身分化する地方議員
- ポピュリズム
- 視聴率に振り回されて過激化・デマを流布するマスメディア
- フェイクニュースとデマ、それらのSNSでの拡散と中傷依存
- ネットに蔓延していて規制されないアダルト広告・誇大広告
- 表現の自由への過度な制限の動き
- 夫婦別姓問題や医学部不正試験などに代表されるさまざまな女性蔑視
- LGBTQ者の困難
- 育児の女性の負担が集中してること
- 同調圧力的なPTAとか
- 保育士の待遇の悪さ
- 介護士の待遇の悪さ
- 鯉の放流・ノネコ問題など行政・市民の生態系の軽視
- コインハイブ事件やWinny事件など警察・司法のITへの理解のなさ
- 取り調べの可視化の進まなさ、推定無罪の徹底されなさ
- 入管での虐待とその改善のされなさ
- なかなか進まない水産資源の適切な規制
- 原発の廃棄スケジュール
海外
- 下請け企業やプランテーションの苛酷な労働環境
- 欧米の移民と排外主義の問題
- 香港の国家安全法
- 中国によるチベット/ウイグルの弾圧
- 中国の軍拡
- 北朝鮮の核開発
- 中国・米国の新冷戦
- 印パ国境紛争
- ダルフール危機
- 国境を超える蝗害
世界
こうして並べてみると、海外など遠い場所の問題はみえにくく、近い場所・自分に関わりそうな場所に関心が強いのがわかる。当たり前っちゃ当たり前なんですが、そうなので、なにかの問題を指摘するときに、一貫性を求めないでは欲しい・・・。
おち無し。