ぜぜ日記

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YAPC::Kyoto 2023 にいってきた

YAPC::Kyoto 2023 に参加してきました。ひさびさのリアル開催での技術カンファレンスです。とはいえ初YAPCだし、ほかのカンファレンスもそう参加したことはありませんが・・・

YAPC とは

yapcjapan.org

YAPC は Yet Another Perl Conference の略で、直訳するともうひとつの Perl カンファレンスです。「もうひとつ」というのは高額な参加費をとっていて主に大企業向けだった The Perl Conference に対して参加費も安く草の根的な動きだということ。1999年にピッツバーグで開催されて以来、世界中に広がっているそうです。このあたりの由来については石垣憲一さんの記事をご参照ください。ヤップシーと発音されることが多いようです。

第37回 YAPC:国際的なイベントなのだ、ということはお忘れなく | gihyo.jp

さまざまなトークテーマをみてわかるとおり、(現在の) YAPC では Perl とあまり関係がなくても、主にWebアプリケーションの技術やその開発についての話題が多いようです。

自分と Perl

勤め先では Ruby や TypeScript, JavaScript で開発されているプロダクトが多く、Perlは使われていませんが、前職ではがんばって書いていました。メインのプロダクトは超巨大な Java を解析し、フレームワークをアップグレードするための調査で、このときにとほほさんのページなどで学んでスケジュールに追われながら試行錯誤してツールを作っていたことがそれまで Java ばかり書いていた中で原体験となっています。
(今思うともっとJavaやWebシステム、テストについて理解があればあの巨大プロジェクトをもっといいようにできたのに・・・!)

とほほのperl入門 - とほほのWWW入門

YAPC::Kyoto 2023

じつは今回の YAPC はもともと2020年に開催される予定だったものの新型コロナウイルスの影響で延期になっていまの開催となったそうです。このあいだにリアル開催のイベントふがなかなか開催できていなかった分、みなにぎこちなさというか新鮮さがあったように感じました。KRPのアトリウムは明るくて不思議な空間だったのもよかったです。 自分もひさびさの技術カンファレンスでどきどきしながら参加しました。

いくつか感想。

【企画】春のエンジニア ぶつかり稽古 2023 kan/kenchan

ぶつかり稽古ってなんだ、という謎セッションに最初に参加。 10年前にひとつの事件になったというイベントがもとになっているそうです。

kentarokuribayashi.com

今回は2人のエンジニアが"土俵"に登場し、与えられたお題について片方がテストコードを書いて、もういっぽうがそれを通す実装をしていくというもの。つまりライブコーディングで画面を共有しながらテスト駆動開発ペアプログラミングしていくもの。 緊張感があったのと、最後ChatGPT4による講評がよかった。

ライブコーディングできる程度に、プログラミング言語の挙動を理解できているか不安になってきた・・・

地方のエンジニアが作る日本のITコミュニティの未来

質問できました。あまりコミュニティに参加しない人にも参加しやすくするためには、もくもく会がいいとのこと、また、大学との連携もおもしろそうです。

Helpfeelさま 公開収録ランチセッション

スポンサーである Helpfeel さんがやっている Podcast の公開収録

open.spotify.com

ちょうどリリースされた ChatGPT4 について激論が交わされて興味深かった。 これをうちの事業でどう活用するかは考えていかないとなー。いろいろ試したいアイデアが浮かぶ時間でした。

新型コロナウイルスでは、飛沫感染が主とのことで黙食が推奨されていましたが、こういうお弁当付きのランチョンセミナーでは自然とみなを黙食に誘導できていいですね。
(お弁当もおいしかったです)

ソフトウェアエンジニアリングサバイバルガイド: 廃墟を直す、廃墟を出る、廃墟を壊す、あるいは廃墟に暮らす、廃墟に死す

moznionさんによる講演。はい。。。 銭勘定上の貧乏だから廃墟に近いところに暮らしている部分もあるんですが、ちゃんとやっていかないと・・・、そしてソフトウェアで金を稼がねば。

デプロイ今昔物語

CGI時代から現代に向かって実演しながらデプロイの話。 おもしろかったし、これも質問できてよかった。

デプロイまわりののユーザの権限やスクリプトの配備などのプラクティスをどう知るといいのか、と思っていたけれど、発信していくことが近道とのことだった。それはそう。

デプロイ今昔物語 〜CGIからサーバーレスまで〜 / The deployment technics - Speaker Deck

法と技術の交差点

情報理工学部情報理工学科教授の上原哲太郎先生と、同じく立命館大学法学部法学科教授の宮脇正晴先生による対談。進行のpastakさんの塩梅もいい具合だった。

話題はChatGPTのことが多かったかな。発話のメモと自分の感想を混在させたメモを書いておきます。

学習の段階では資料の利用に問題ない。出力が既存のものと近いときに問題になる。検索エンジンを日本からいいものをつくれなかったときに後付けで法的理由があったからで、いまは法的には整理されているということ。

NTT東日本前橋市ファイアウォールの設定不備の訴訟でもエンジニア側がまけているのは苦しい。

プログラミングの著作権はむずかしい。アルゴリズムそのものは著作権にならないし、OSSの文化はシェアしましょうとなっている。スペースインベーダー2事件のように丸コピーでなければ、どうなるか。アメリカはよくできていて最後は法廷で、となっている。モラル的には問題になるけれど、書いたコードが流用されたとして法的に勝つのは難しいかもしれない(仕方ないとも思う)。

日本は石橋をたたく文化で、大企業だと慎重になりがちだけれどバランスが難しい。アメリカではフェアユースの規定とかもあるし、法を先回りしたけしからん議論が多いのでは?という指摘は、これからAIを育てようとしたときに不幸になりそう。

GPL問題、一定の企業にとっては大きなリスク。外注でGPLライブラリがまざっているとか まず問題が含まれているコードが含まれているかとか検知するAIがいるかもしれない。ただ、違反した場合にどういう理屈で許されないのか、あるいは許されるのかは難しい。

シュリンクラップ契約は有効か、という議論。cookieまわりでややこしいGDPR、それを選択せざるを得ない契約の意味はあるか(AIに読ませるというのはありかもと思った)

業務での利用においてはリスク判断は重要で、データがどう利用されるかなど要項をよく読んでおく必要がある。

みなさまにお願いしたいのは法律やさんの考えるロジックに勘が働くようになってほしい。こういう議論をたまにしていいプロダクトを作ってほしい・・。とのこと。

グレーゾーンがあるときは民主主義なので、’法律をかえていく、声を出すことも大事です。

あんずさんありがとうございました!

ゲスト講演 小林 篤さん(@nekokak)

法学部卒でエンジニアになって、DeNAでのCTOや事業責任者も兼務していたいた方のお話し。PerlのORM、Tengの開発者だった!

話はとてもおもしろかったし、質疑もよかった。自分は(小さいながら)事業責任者をやってうまくいかなかった分、まぶしかった。

メモ

  • "課題"がキー
  • CTOとしての役割を規定しない。ボトムアップにイシューをみていく
  • ストーリーでつたえる。わくわくして語らないといけない
  • 事業責任者としての立場とエンジニア的視点のコンフリクトはない。目的が共有されて、技術のために技術にしないということがあればよい
  • キーワード:フッ軽

大西さんのキーノート

YAPC::Kyoto 2023 Keynote - Speaker Deck

はてな社の歴史、モブ。知らない歴史が多くておもしろかった。スタートアップの一人目エンジニアでのモブ感の苦しみ、すこしわかるけれど大西さんすごい。

聞けなかったけれど気になった発表

あの日ハッカーに憧れた自分が、「ハッカーの呪縛」から解き放たれるまで - Speaker Deck

ベストスピーカー賞をとっていた。この憧れとギャップは自分もかんじる。事業をすすめることの大切さは小林さんの話とも通ずるものがあった。

どこでも動くWebフレームワークをつくる - Speaker Deck

NOT A HOTEL AIコンシェルジュ「Kevin」の開発秘話 - Speaker Deck

AIを業務にどう使っていくかという具体的なロジックすごい。

感想

どう消化しようか迷っていたらwindymeltさんが言語化してくださった。

ひさしぶりの技術カンファレンスで、インターネットでお見かけした著名な方々と間近に接することができたり話すことができて楽しい時間を過ごせた。安直すぎるけれど刺激を受けました。刺激を受けたことによって、いろんなやりたいアイデアが浮かぶし、知識も広がって、手を動かしてコードを書かねば、という思いがわいてきた。

ひさしぶりに丸一日子守りも仕事もしなかったので気が晴れたというのもある。スタッフの皆様、素敵な空間をありがとうございました。

(会の翌日、YAPCに参加していたインターネットフレンドと大津でカレーを食べたのもよかったです。