ぜぜ日記

ブログです

「サタデー・ナイト・フィーバー(1977)」70年代ブルックリンの若者たち

疲れた週末の夜、なんとなく Amazon Prime Video で並んでいた中で気楽にみれそうと選んだ映画だったけれど思いの外に楽しめた。ひさびさに見た映画。

ディスコでフィーバーする映画かと思っていたし、そういう場面も盛り上がるんだけれど、その裏でニューヨーク州ブルックリンに暮らす20歳前後の若者たちの鬱屈とした状況の描かれ方がよい。

(以下ネタバレあり)

主人公たちは今でいうパリピ*1。ダンススタジオで練習し、オシャレをして週末は仲間たちとディスコで踊りキングと呼ばれるし女たちも群がってくる。

それにも関わらず、鬱屈としたと書いたのは主人公のトニーは時給4ドル(?)でペンキ屋で働き、父は失業していて母は神父になった主人公の兄を誇りにして兄からの電話がくることを神に祈る生活をしていることや、主人公の友人はガールフレンドを妊娠させてしまい、(キリスト教社会でしてはいけないという規範のあっただろうなかで)中絶させるかどうかに悩み続けていること。そんななか、家族の誇りでもあった主人公の兄は突然家に現れ神父をやめたことを告げる。

こういうスター性があってハイスクールでもきっと高いカーストにいただろうヤンキーたちの裏の複雑さと関係性の機微はおもしろい。「桐島、部活やめるってよ」を思わせた。

主人公がダンスコンテストに誘おうとしたヒロインのステファニーもユニーク、ここまで自慢げで鼻持ちならないヒロインいたんだろうか。マンハッタンで暮らすことにあこがれて橋ひとつ挟んでのブルックリンとの雰囲気の違いにも驚いた。

あとはステファニーをなぐさめるのに建築うんちくを語りだした主人公もいい。

劇中ではコンテストに出る以上の野心や将来、アメリカンドリームを思わせるものは描かれなかったけれど、トニーはどうなるかも考えてしまう。ダンスを見出されてスターダムにあがっていってステファニーとなかよくやっていけるだろうか。あるいはどこかで見切りをつけて平凡にやっていくのだろうか。そしてブルックリンに残ったほかの仲間たちはどうしていくだろう。なんとか定職をみつけて大人になっていくのだろうか。と。

あとは、日本で同じような若者はどこにいっているんだろう。いわゆるクラブとはちょっと違うようにも思うし、どこかイキることのできる場所あるのかな。

親に嘱望されて神父になったものの自分でやめる選択をして旅立っていった兄貴がかっこよかった。

街の風景もおもしろいし冒頭のピザのテイクアウトはおいしそうだし、ステファニーといったカフェの雰囲気もいいし、仲間といったチェーンのハンバーガー屋 White Castle のハンバーガーもジャンクでよさそうだった。ステファニーのトレンチコートもかっこいい。

ディスコ映画だけあって音楽もいい。 open.spotify.com

46年前。いまのニューヨークは全然違うんだろうな・・・。

*1:そういえばリア充という言葉は使われなくなりましたね