プロバイダを契約しようとするとなぞのオプションが山盛りで悩むし、家電にはこれ誰が使うんだろみたいな機能がたくさんついて仕方ない。
アップルの成功から、シンプルに練り上げられた製品はユーザに刺さる、みたいな手法が広がったけれどなかなか変わらない。アップルの戦略は普遍的なものではないとはいえミーハーな日本の大企業ならちょっとは追従するんじゃないかと思うけどあっても模倣にもなってないレベルのものだけ。
オプションをたくさんつけたり機能をたくさん載せることは、付加価値をあげて高く売るという目的や、消費者を混乱させて高く買わせようというのももちろんあるのだろうけれど、それに加えて、消極的な理由によって残り続けている気がする。*1
端的に言えば、その機能やオプションを担当している部署・人材をほかに転換できないから、という理由。
少なくとも日本の多くの会社では、法律的な障壁や、強力な労組、生え抜きのトップばかりという点から人員を整理することは難しい。かといって、経営学とやらの定石の、人員を成長部門に割くというのはなかなかできない。
この時代にわかりやすい成長部門なんてないし、あったとしても人手はそういらない。特に、非効率的な部門にいた人を活かせるような場所なんてほとんどないんじゃないだろうか。
というわけで誰が使うかというユーザ中心な考え方ではなくて、供給者の理論として、人手があるから作ったりサービスを提供するみたいなことになっている気がする。その組織上の制約が、選択肢を狭めて、ハンディになっているような。
(かといって解雇自由化に賛成するわけではないです為念)
そして、解決策としては技術者だけでなくてプロデューサーが必要、という陳腐な結論が繰り返し言われ続ける・・・
・・・
とか考えてみたのだけれど、これはもしかしたら製品やサービスレベルではなくてもっと大きなところでも存在する問題かもしれない。
たとえば「徴税や社会保障の仕組みをシンプルにすれば人員はもっと少なくて済む」という話であったり、「この全然儲かっていない事業から撤退すれば効率化できる」といった話。
そういったことはどこでもあるし、たぶん経営者の人も分かっている。繰り返しになるけれど、不要になったからといって人を解雇することは難しいから結局はなにもできない。
そして、仕事を効率的にするということは、人の仕事を無くすということ。いままで10人でやっていた仕事を7人でできるようにするというのはコスト30%削減ということでもあるのだけれど、じゃあ残りの3人はどうするのかといった問題が立ちはだかる。
すこし前に流行ったベーシックインカムで、政府の社会保障部門は人員を圧縮できるから低コストだよ、というのは本当にあるだろう。けれど、これまで社会保障部門にいた人員はどうするのか、そこにいた人たちも自分の仕事を守るために全力で反抗するだろう。
歴史を振り返ってみれば、こういうしがらみがある組織は先進的な組織に遅れをとる。騎馬隊を保有せざるを得なかった武田軍、軍が権力を持っていたために軍縮できなかった大日本帝国、地元工場を保有せざるを得ないがために競争力を失ったメーカー(これはちょっと違うか・・、いい例ないかな)。
こういう状況のとき、そのお荷物部門をどう説得するか、どう活かすかを考えないとすべての戦略は絵に描いた餅で終わって組織内政治であけくれる気がする。
#そんな組織にいる末端は、なにができるんだろか・・・とか思ったので書いてみた
*1:どのくらい関係あるかはわかんないしどう調べたらいいかもわかんない