中学生が最も強いスポーツ競技はあるのか
世界にあまたとあるスポーツのなかで大人よりも中学生が強いなんて種目はあるだろうか。
オリンピックでも10代ばかりが勝利する競技はあまりないし、ましてや義務教育を受けている年の子供が上位を占めるような競技はない。
すこし考えると、体力も経験もうえにある大人たちに勝つスポーツはありえないように思える。若くして世界の注目を浴びる天才はいても、大人になった自身のほうがたいてい強い。これはスポーツに限らずに将棋などの知的な競技でも同じだろう。
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しかし、日本の伝統的なスポーツのなかに並み居る大人たちを超えて上位を中学生が占めるスポーツがあった。
体力も経験も上回る大人たち子供たちの精神力で勝つことができるスポーツ、それは「けん玉」だ。
たとえば今年開催され世界中から競合が集まった世界選手権大会での優勝者は13才の女の子だ。ちなみに準優勝は20才の男性で3位はモンゴル人、同率3位は高3前後。
神戸新聞NEXT|阪神アラカルト|西宮で世界けん玉選手権 伊丹の中2生が優勝
また、今月に開催された第11回全日本クラス別けん玉道選手権大会でもハイレベルなクラスの上位は中学生が占めている。 輝いている。もちろん大人もたくさん出ている中で。子供しか参加しないわけではない。
協会主催大会結果 | 一般社団法人日本けん玉協会
なぜ中学生が勝てるのだろうか。そもそも、けん玉とはなんなのだろうか。
(職業:けん玉武道家)
けん玉教室
なぜけん玉のことを書くかというと少し前に地域イベント内のけん玉教室でちびっこにけん玉を教えてきたからだ。このイベントではお祭り的な出店が出たり大道芸的なものがある一方で、地域の企業た大学が社会貢献活動としてブースを出している。ロボット体験やペーパークラフト、切り絵からiPadお絵かき教室までさまざま。パンフレットも綺麗に作ってあるし東京23区はお金があるらしい。
そんなブースのひとつでけん玉教室をやるそうでなにかの縁でスタッフとして誘われ参加してきた。自分の信条として誘われたら特に予定がかぶっていない限り参加するべしというのがあるのだ。すぐれた小学生も来るけれど、たいていは未経験なので簡単なところから教えていって欲しいということである。
けん玉教室では累計で80人ほどの参加があった。ほとんど小学生低学年で未就学児も多く、親子連れも5分の2ほどいた。子供では女の子のほうがちょっと多い印象。あとは、ほかのブースでスタッフをしていた70才くらいの女性もきて初歩的な技を教えたりした。
技について簡単に説明する。けん玉には多くの種類の技があるけれど、級の技として10級から1級まで10の技があり、さらに段ではそれぞれごとにいくつかの技がある。まずは基本の級の技からである。
また、けん玉は一見すると腕だけを使っているように見えるかもしれないけれど、その実、足腰を使うようになっている。たくさん練習すると太ももに疲労がたまるし動体視力や精密な体のコントロールが必要になってくる。技ができるようになると楽しいのでつい続けて練習してしまう。
来てくれた子供の中でレベルの高い子は2,3人くらい。半分くらいはちょっとやったことがあるくらいで残りは未経験。はじめてやる子はすぐに飽きる子もいないではないけれど、ハマる子が多く、なかには一度出た後にまた戻ってくるリピーターもいたりした。
特に印象的なのは、ちょうど大勢来ていて7,8個用意したけん玉がすべて出払ったときに来たので自分のけん玉を貸した女の子。はじめは何もできなかったけれど失敗にもめげず、アドバイスを素直に受け入れ、かつ自分でも工夫していってどんどん上達していった。1時間半ほどいて、もしかめやとめけんなどそれなりに技を決められるようになっていたし集中力がすごい。技ができたときの笑顔を見るといいなと思う。
親子で来ていて子供がチャレンジする中でお母さんお父さんも熱中するというのもほほえましい。
けん玉経験者はほぼみんな学童でやっているらしい。ちなみに自分の友人の九州大会優勝者も学童ではじめたそうだ。
学童保育とは小学校の放課後、親が共働きでかといって留守番できる年齢でない子たちが児童館などで2-3時間遊んで時間を潰す場所。遊びたい盛りの子供は多く、かつ身分が不安定な指導員の人手は足りない。そんな場所でけん玉は子供たちが黙々とやってくれるし体も使う割に安全だしそれなりに安価でとてもよいのかもしれない。
手足を精密にコントロールできるようになるし足腰も使う。さらに根気よくやって上達を感じられることから教育にも良いんじゃないかと思う。親子でやれば会話も弾むよ、きっと。
子供だけでなく、テレビを見たりラジオを聞きながらでも練習できるので大人のみなさんもやってみてはどうでしょうか。はまれるので自然と運動できると思う。
なぜ中学生は世界最強なのか。
で、冒頭の質問。なぜ中学生が世界最強なのか。
今回の教室やパフォーマンスでは中学生も上級者もあまりいなかったので伝聞と想像半分。
実際の試合では抽選で決められた技を緊張の中できっちり技を成功させる必要がある。どの技もかなりの精度が必要で高いレベルの集中力と平常心が求められる。件の九州大会優勝経験者の言葉を借りると精神力・闘争心ということだ。これが大人になると落ちてくるので中学生が最強なのだとか。
もちろんほかの競技も精神力は必要だろうけれどそれだけでなく体力や経験のウェイトが大きい分、けん玉はむき出しの精神力の勝負になるんじゃないかと思われる。これはけっこうアツい。テレビで実況したら盛り上がるんじゃないだろうか。
Appendix 最近の都会っ子
ちなみにけん玉教室では最近の都会の子供はどんな子が多いのかというのも興味があった。
わりと所得の高そうな街だしあえてけん玉に来ているということで相当に偏っているけれど気付いたことを書いていく。まず、みんな服が新しい感じだったのが印象的。新幹線っぽいスニーカーやプリキュアTシャツも目立つ。性格としては行儀がいいこばかりな印象。ただ、こうしたらうまくできるよ、というアドバイスをすぐに受け入れられる子もいれば、あまりうまく聞かずに我を通す子もいた。当然だけれど性格はさまざまだ。ひとつ気になったのはお母さんがこうすればいいのに、ああしたらと頻繁に口出ししてきて子供が困っているのが1件あったこと。黙っているのはけっこう難しいけれど見守るのも必要なんじゃないかと思う。
携帯をもっているのに気付いたのは数人だけれど3DSをもっている子はけっこういた。どうでもいいけれど、うごメモを見だした子がいたので最近流行っているゲームを聞くとドロケーと答えられた。
流行っている遊びとか番組、キャラクターとか聞いていくとおもしろかったかもしれない。
以上。