ぜぜ日記

ブログです

「成瀬は天下を取りに行く」(宮島未奈) 近所が舞台でおもしろかった。

中高生を主人公として、大きな事件が起きるわけでも、恋愛模様が描かれるでもない日常を描いた小説なんだけれど、なかなかおもしろかった。

特に、舞台が滋賀県大津市と自分の住んでいる地域でこのブログ名にもついている膳所駅界隈で物語が進むのでかなり身近に感じる。大きな事件はないと書いたけれど、ひとつ、大津西武という地域に愛されてきたデパートの閉店はひとつの軸になっていて、このデパートは大津市育ちの妻も幼少期から通っていて閉店日には当時生後数か月だった子をベビーカーに連れて一周していたので主人公たちと同じ時間・同じ場所にいたということに感慨がある。

おもしろかったので界隈で60年以上住んでいる義母にも渡しました。

ただ、知っている場所がでてきたからおもしろいわけではなく、キャラクターや構成もたっていて読みやすくいい小説だった。特にM1に出場する話での学校祭での一幕は印象的。まったく大津市のことを知らない人が読むとどう思うかは気になるところ。自分が知らない土地のローカルな要素をちりばめたそういう小説を読んでもその要素は覚えていないからふつうの小説に感じてしまうかもはしれない。

よかった一節

「わたしは膳所高校二年の成瀬あかりだ。大津へようこそ」 RPGの村人みたいな口調に違和感を覚える。

スプレッドシート小説家として知られるミネムラ珈琲さんから紹介していただいて読みました。ありがとうございます。

www.minemura-coffee.com