ぜぜ日記

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Slackとコミュニケーションツールの選び方

Oracle社は14万人でSlackをつかっているらしい。

14万人がSlackを使うオラクル、メールでもチャットでもない魅力を語る(週間アスキーhttps://weekly.ascii.jp/elem/000/000/428/428690/

それだけいたらどれだけワークスペースがあるんだろう、とか、役員会とかもワークスペースがあって、そこになにかの案件でゲストとして招待されたら緊張するだろうな、とか考えたり。

14万人でEnterpriseプランだとどれくらいになるかわからないけれど、プラスプランの1人月1,600円だとしたら1年で26億円。すごい。 コミュニケーションツールは、データも業務フロー双方でかなりロックインされるしでしばらく抜け出すのは難しそう。

この記事で、おやと思ったのはSlackを、メールでもチャットでもないものとして取り上げていたこと。

Slackってなんなんだろう。

さて、ここから本題です。ある架空の組織での話で、Slackをコミュニケーションツール悩んでいる話を書いてみます。オチはないのですが、よければ感想など聞けたらと思っています。

前提

・ある、30数名くらいの組織にて、これまでメール中心にやってきたけれど人も増えてきてコミュニケーションを円滑にしていくのにチャットツールを導入したい。
・Slackを試験導入(無料)してみたところ一部チームではうまく使えているけれどどそのチーム以外にうまく広げられていない。
・無料期間という甘えもあって、本気で組織内普及もできていなかったということもあるけれど組織の内部だけでもメールとHangoutが使われ続けているし、Slackが難しいと感じていたりする人が多い。
・全員集まる機会はまれで、PCをほぼ使わないメンバーも多く、ITに不慣れなものも少なくないことも原因の一つかもしれない。
・でも、そろそろ人も増えてきてコミュニケーションの道具を整理してスムーズにしたい。しかし、有料化するにはSlackはやや高い。かつ、かなりロックインされるので戻れないため慎重に判断したい。

そして重要なのが、Slackがそれに値するよいものかどうかを、意思決定者が確信を持てていない(しかし、世の中の多くの先進的な企業に採用されているのであれば、自分がなにかを理解していないのではないか?)。

とるべき選択肢

・お金をかけてSlack有料化して全力普及する
・Slackをうまく使えているチームに旗を振ってもらって、組織内の普及を励んでもらって、その成果で有料化するかどうか決める
・ほかのツールを探す
・Hangoutがまともになるのを待つ

どうするべきだろう? まず、現在おもに使われているメールの欠点とメリットを考えてみることでチャットツールのことを考えてみます。

メールの欠点はなんだろう?

メールは、おもにITエンジニア界隈では古くさいものとしてみられがち(な気がする)
・リアクションが返信という、参加者のアテンションを奪うものしかないためハードルがありコミュニケーションのハードルが重くなる
(i一方のSlackなどでは気軽にリアクションできる。Typetalkとかでは何度も打てるスターがある)

・メールそのものの重要度を設定できないため、(組織によっては)コミュニケーションのハードルがあがる。
軽い話題も、重い議論も平等。
Microsoft Exchange(同士)では、メール送信者が重要/非重要のラベルをつけることができるとか、Gmailでは重要度を自動判断したりとかはある)

・宛先が固定されていて、その時点で正しく設定したとしても後のメンバーが話題を参照しにくい。特に、新規参画する人がいると、情報をキャッチアップしにくい。
(Slackでは検索して参照したり、過去のやりとりをリンクとして共有できて便利。話題を必要としていたり、興味のある人が参加でき、またあとで招待できる)

余談だけれど、一部で指摘される下記の問題はメールの欠点ではない。
・メールは(チャットと比べて)形式的になりやすくて送信コストが高い、とかは組織の問題でメールの問題ではない。メールでもみんな一行返信でいいよ。
・1つのやりとりで話題が増えると追っかけられなくなるはGmailのスレッド機能がある程度解決している。返信されなくなるのは、Slackでも同じ。

メールのメリットとして

・(特にGmailでは)処理済み/不要メールをアーカイブしていくことでメールボックスに残っているものは要対応なものとしてタスク管理的に使える(GTD的ですね)
→ 逆に、Slackメインの方々はタスク管理、どうやっているんだろう。都度都度、課題管理システムに起こす?(もちろんメールでも重いタスクは課題管理システムに登録すべきだとは思う)
Slackで質問があって、返そうと思っても、途中で別のことに気をとられたりするうちに、どこのチャンネルかわからなくなったり、チャンネルも流れていったりしがち。

・社外のひととのやりとりと社内を同じツールで使える。社内転送したりとか
(Slackメインの組織でここらへんの必ず発生する社外とのメールをどう連携しているかは気になる。二重管理にならざるを得ない?)。

その流れとして、Googleのチャットツール、Hangoutは一部よくできていた(過去形)
Gmailのメールの検索でhangoutのやりとりも引っかかる
・チャットに途中に参加した人も、過去ログを読める
Gmailの画面で送受信できるので気付きやすい
・モバイルアプリもぼちぼちよくできているし通話、テレビ会議もぼちぼち。

ただし、Slackと比べると、
・チャンネルのように話題ベースで発話しにくい(できなくはない?)。
・マルチメディアや別サービスとのインテグレーションが難しい
という欠点があった。

GoogleはG Suiteの一環でChatをつくりなおす!とぶちあげていたけれど、けっこう悲惨だった。
2019/10に新しいものつくるらしいので期待はしている。

脱線しますが、G SuiteはGoogle+の失敗の知見をうまく活かせているか心配。
冒頭でGoogle+を参照してプロダクトマネジメントの重要さを説いたInspiredという本がめっちゃいいので、ソフトウェア開発に関わる人(特に、経営者、ビジネスサイドのみなさま)読んでください。無料で読めます。

inspiredjp.com

第2版の日本語化も熱望しています(協力します)

Slackについて

さて、メールの話でもSlackに触れていたが、Slackについて検討するときも、メールと同じように欠点から見ていく。
まず価格。1人850円/月。30名で306,000円。少数精鋭なIT企業とかスタートアップとかならともかく、非デスクワークなメンバーやパートタイマーの多い組織だと割高に感じる。

もちろんこういう話題もあるけれど、価格というよりもツール自体に確信が持てていない。

一方でTypetalkの25ユーザから50ユーザまで年79,800円は魅力的・・・。Slackを試験導入しているので、また新しいツールか、という疲弊を含めたスイッチングコストは高いけれど。。
www.Typetalk.com
(あるいはSlackのエクスポートデータをインポートするのサポートしてくれないかな。データも見ていない。

あとは、ITツール不慣れな人に触ってもらうと、けっこう難しいと感じやすいと思う。
チャンネルとは何か、いつ返信すべきか、スレッド機能でクローズに返信しがち、それに気付かず放置されがち。
というかスレッド機能、デフォルトでそのチャンネルにも投稿してほしい。

近い話題で、Typetalkでは、ハッシュタグでまとめ機能つかえるのけっこういいと思う。

www.Typetalk.com

そのほか

そのほか、Discordを業務で使うのはどうなんだろう?ログインメッセージが恥ずかしい問題はあるけれど。
LINE WORKSつかっているひと知らないので使い勝手だれか教えてください。
ChatworkするならTypetalkかな、、(ちゃんと比較検討できていません)

フリーランスの方や、スタートアップ系でたまにいらっしゃるのだけれど、Facebookを業務のやりとりでつかうのはけっこうつらい。検索性が悪いし通知がきて返信しに行ったらついついウォールを眺めてしまって時間が消える。

そうこう書いていたらSlackに年30万くらいいいじゃん、という気持ちになってきたけれど、もうちょい確信が欲しい。

そういやMicrosoftに買収されYammerどうなったんだっけ。

以上、オチはありません。なにか後押しというか確信が欲しい。

コミュニケーション不全症候群 (ちくま文庫)

コミュニケーション不全症候群 (ちくま文庫)

極端な例を使うのは便利だけれど危ない

ソフトウェア開発では仕様を明確にするために極端な例を考えることが役立つ場合がある。
例えば、自動販売機をつくることになったとき、お金を入れることができる、という要求だけでは仕様をつくるに不十分で、いくらまで、あるいは硬貨何枚まで入れられることができるか考える必要がある。このとき、硬貨100枚は入れられないですよね、と問うことで、どこかに境界があるはず、と考えてみたり、記念硬貨は使えないですよね、どこまで使えるようにしますか。と考えることで2000円札を使うかどうか検討することにつなげる。極端な例を歓迎できる空気は、アイデアが生まれることにもつながる。ブレインストーミングの方法のひとつでもあるし、お昼ご飯を食べる場所のアイデアが出ないときに、マクドナルドにする?と提示することで呼び水となってアイデアが出るというマクドナルド理論(出典不詳)に近いかもしれない。

仕様の守備範囲を明確にすることで、問題に事前に対処できたり、開発のスコープを明らかにしてコストを守ることにもつながる。

ソフトウェア開発以外の例だと、環境問題への対処を考えてみる。そもそも環境問題がなんなのか明らかにするために、「人間が滅びれば解決する?」と極端に問うてみることで、それは本末転倒で、人間あっての環境だろう、と条件がより明らかになったり、とはいえ人口が環境問題の大きな因子なので、平和的に人口増加を抑えるためのリプロダクティブ・ヘルスライツの普及なんかが環境問題に有効かも、と議論できると建設的。ここで、人間が滅びれば解決など虚無主義者は出てけ!となってしまうともう建設的な議論はできなくなる。

この方法は、大学の研究室や、信頼関係ができている開発チームなどでは、自然に使われていることも多い気がする。
しかし、こうした議論になれていない人がいる場合には、極端なことを言って話題を脱線させたり揚げ足取りばかりするネガティブな人間だと思われてしまいかねず、環境問題の例でみたように信頼関係を失ってしまう危険がある。

たとえば、スマフォで決済するサービスがあって、マーケターが、予算をたくさんとってきたからお客さまが購入したときにランダムにX%くらいのひとには100%ポイントで還元させよう!ユーザ増やすぞ!これから各所調整していくぞ~ってテンション高くやってきたときに、エンジニアがそれって仕様大丈夫?お客様が還元に当選するまで返品繰り返したら大丈夫?とか、加盟店とグルになって当選狙ったりしたらどうなる?とか悪い例を質問し続けていったら、これから各所と交渉していこうとやる気に満ち溢れていたマーケターの人の勢いを挫くことにもなりかねない(もちろんこのお金を扱うビジネスの場合、そういう慎重さは絶対必要ですが)。そうして、一緒にサービスに取り組むべきマーケターとエンジニアのチームであるべきなのに、マーケター対エンジニアみたいな構図になってしまう(かなり簡略化して話しているので寓話だと思ってください。当然事業責任者とかプロダクトマネージャーとか法務と一緒にやる)。

そういう対立する構図になるのを避けつつ、前向きに、いい仕様をつくっていくために、チームに合わせたコミュニケーションが必要。

特に、すぐれたチームに長くいて、コミュニケーションコストが低い環境に慣れてしまった人ほど、チーム外の慣れていない人にすっと極端な例を使ってしまい危険かもしれない。

さらに、昨今話題になりがちな、Googleが生産性高い組織は心理的安全性がある!ということを半端に聞きかじった人がやらかしがちかもしれない。率直にものを言える環境であることが善、と信じ、そういう議論になれていないひとにもあまりに率直にものを話してしまい、傷つけたり衝突したりしてしまう。

自身もそれなりに知識がある分野なら、ヒアリングしたあとに、仕様を明確化するために、おそらくこうですけれどあっていますか?、とか判断を交えることで柔らかく伝えられるけれど、自身にとって土地勘のない分野にて、その分野に詳しいけれど仕様を明確化すること(システム開発とか)には不慣れな人*1に質問するときには、そういう知識に頼った配慮がしにくく難しい。
これは、メールの定型文のようで、冗長だけれど、例えば「仕様を明らかにするためにあえて極端な例を挙げるんですけれど・・・」と前置きをするとかはひとつの方法だろう。
なにかいいやり方・考え方があれば教えてください。


・・
・・・
ソフトウェア開発だと、まだ関係者が限られていて楽かもしれない。
利害関係者の多い、おおきな制度設計だとより難易度が上がる。社会問題への対策も、大義があることをやろうとしているのに細かいことばかり気にされて、本質ではないと反感をもってしまう人も多い。
小さな会社内のルールなら、モラルを期待できるけれど、行政がつくる制度では隙間をつかれないように注意する必要がある。けれど、あまり議論に時間をさけずに、なあなあですませるための妥協的制度になって、例外規則が増えて運用の負荷が増えたり換骨奪胎されてしまう。軽減税率のことです。

関連する話題
Twitterでの、人のたんなる感想や思い付きに対して、反例を挙げて論理的に間違っていると断罪したり、揚げ足をとる人々もこの一種なのではと思ったりもするけれど、別の根深さがあるので触れないでおきます。

この記事は、3/14の深夜にタルトタタンを焼きながら書きました。タルトタタンも定義がいろいろあってさまざまなレシピがある。

*1:ドメイン駆動設計でいうドメインエキスパート

読書メモ 世界を変える偉大なNPOの条件

読んだのは2015年だけれど、書いてあったことを参照したく当時のメモを引っ張り出してきたのでメモを共有します。


NPO」と題していますがそこに限らず、なにか社会の問題を解決するためにはどうしていったらいいかというのが主題です。
そもそも原題はForces for GoodでNPO限定というわけではありませんが、社会に影響を与えたNPOのいくつかのケースを挙げてうまくやる方法を抽出しようとしています。 民間でも大学でも個人でも、なにか世の中の問題を解決したい人は読んでみると参考になるかもしれません。


概要(というか抜き書き)

本書でとりあげるNPOは予算規模や組織の大きさではなく社会に大きな影響(社会的インパクト)を与えているかどうかで選んでいる。


調査の結果、社会に影響を与えているNPOには6つの原則があることがわかった(それぞれについては後述)。

  1. サービスを提供するだけでなく、政府と協力して政策転換を促す。
  2. 市場の力を活用し、企業を敵視したり無視せず、強力なパートナーとみなす。
  3. 活動を支援してくれる個人が有意義な体験を行えるように工夫し、彼らを大義のために動いてくれる熱烈な支持者に変えていく。
  4. NPOのネットワークを築き、ほかのNPO組織を、希少な資源を競い合うライバルではなく仲間として扱う。
  5. 変化する環境に適応し、戦略的であると同時に革新的かつ機敏に動く。
  6. 社会変革の強力な推進者となるために、リーダーの権限を分担する。

調査の中で、これまで俗説として有用だと信じられていたものが間違っていたとわかったものもわかった。

  • 1.完璧な運営 2.ブランドに対する関心とマスマーケティング 3. 革新的な新しいアイデア 4.模範的なミッションステートメント 5.従来の組織評価の高評価(例:予算に占める諸経費の割合) 6.大規模な予算

これらは必ずしも必要ではない。

補足

  • 組織の成長は影響力を高めるための一つの戦略ではあるが、成功するための唯一の方法ではない。
  • 偉大さとは、NPOが組織の内部の運営をどうするかよりも、組織の外の世界に対していかに働きかけるかという部分に関係が深い。
  • 組織の外を動かすことが必然的に内部環境にも影響を与える特別な実践を伴う。


いくつか引用を孫引きしてみる。

社会起業家は、人に魚を与えるだけでは満足しない。魚の釣り方を教えるだけでも満足しない。彼らは漁業全体に革命を起こすまでは止めないだろう(ビル・ドレイトン アショカ財団 創設者)

革命をゴールとするこの言葉は歴史にたびたび混乱をもたらしてきた純粋な進歩主義者っぽさを感じた。

正しいかどうかにこだわるよりも、社会を動かすことが大事だ(マーティン・イークス セルフヘルプ創設者)

これは、理念先行とか理念バトルになりがちな組織への警句だと受け取った。

6つの原則

1.サービスを提供するだけでなく、政府と協力して政策転換を促す。

影響力のある組織は、地域サービスと政策提言(アドボカシー)の両方を行い、この2つの活動を結び付けている。この2つは必要なスキルも時間軸も異なるがそれぞれ好循環をもたらす。

アドボカシー活動はほかの組織と連携しなければならない場合が多く、成功が何によっても荒らされたのか明らかにすることは難しく定量的に評価しにくい。

政策転換を成功させる5つの原則

  1. 実利主義と理想主義のバランス (グリーンピースなどのような)過激なアプローチは社会変革につながらないわけではない、メディアの注目をあつめ大衆の関心を集める効果はあるが、長期的な有効性が損なわれることが多い。
  2. 超党派を原則とする 「ほかの環境団体との大きな違いを挙げるなら、彼らは環境を守る最善の方法は政権交代だと考えている点だ。」(エンバイロンメンタル・ディフェンス 提携担当部長) 「永遠の友なし、永遠の敵なし、永遠の利益あるのみ」(黒人議員連盟のモットー)
  3. 信頼と高潔を維持する
  4. 政策通を雇う
  5. アドボカシー活動のための財源をみつける

2.市場の力を活用し、企業を敵視したり無視せず、強力なパートナーとみなす

市場の力を利用する3つの方法

  1. 彼らは企業が従来の手法を変えて社会的責任をもっと果たせるように力を貸している
  2. 自分たちの社会目的のために、寄付、ボランティア、社会貢献型マーケティングなどの形で企業と提携して、資源を彼らから獲得する。
  3. 事業収益を生むために自ら事業を運営する

補足

  • 企業を利用するだけでなく、NPOも多くのものを企業に与えなければならない
  • 企業によって利用されたり、仲間や一般市民からは身売りと受け取られたりするリスクはあるが、ここに多くの機会もある。
  • 必ずしも収益につながる事業モデルがない場合もある。

3.熱烈な支持者を育てる。活動を支援してくれる個人が有意義な体験を行えるように工夫し、彼らを大義のために動いてくれる熱烈な支持者に変えていく。

社会に大きな影響力を与えるNPOは。多くの人が活動に参加できる方法を生み出す。そして人々に”適切な”体験を提供することができたとき、そうした参加者を組織の大義への熱烈な支援者に変えることができる。

優れた組織では、個人の参加だけでなく、支持者たちのもっと大きなコミュニティをつくり出している。コミュニティ自体が目的とされ、これを動かして、より大きな社会変革を実現する。

参加意識を高める法則

  • 組織の使命や目標、価値を伝える・・・心に訴える仕掛けを準備することからはじめる
  • 意義深い体験の機会をつくる・・単に無償奉仕させたり、寄付をさせたりすることよりも、深いかかわりに招き入れ、組織の事業を直接体験させる
  • エヴァンジェリストを育てる・・・ボランティアをエヴァンジェリストに変身させる
  • 愛されるコミュニティを築く・・・メンバーたちがつながる方法を提供し時間をかけて育てる

4.NPOのネットワークを築き、ほかのNPO組織を、希少な資源を競い合うライバルではなく仲間として扱う

大きな影響力を発揮するNPOはネットワーク重視の考え方を採用する。

  • 全体のパイを大きくする・・・資金の総額を増やしネットワークあるいはその分野へ資源を配分する
  • 知識を共有する・・・情報をオープンにし、ほかのNPOが能力を高めるための訓練を提供する
  • リーダーを育てる・・・活動する分野全体のためにリーダー育成に投資し、同じような価値観を持つ仲間と人材を分かち合う
  • 連携する・・・連携して先頭に立つか後方支援に回るべきかを判断する

5.変化する環境に適応し、戦略的であると同時に革新的かつ機敏に動く

  • 堅苦しい官僚主義と自由奔放な創造性の均衡点を見つける
  • 外部環境や組織内で生まれるアイデアに耳を澄ます
  • 実験し、新しいものを取り入れる・・・プロダクトイノベーションとプロセスイノベーション
  • 評価し、学ぶ・・・なにがうまく機能し、なにが機能しないのかを厳密に評価し、その情報をネットワーク全体で共有する
  • 修正する・・・評価結果をふまえて将来の結果を変更する。

自由なやり方で適応していく組織もあるし、体制を重視し厳密な計画や制度を用いて革新を遂げようとする組織もある。こういった組織は実践と同じ程度、評価や計画から学ぶ。

組織が変化するのに伴い、追加する新しい計画の数と同じ程度に既存の事業を廃止する。

6.社会変革の強力な推進者となるために、リーダーの権限を分担する

  • 外部向けリーダーとしての役割と組織管理の役割をわける
  • 形式上だけでなく実際に権限と説明責任を与える。権限を与えることで優れた人材は組織に長くとどまる。
  • 優れたリーダーは在職期間が長い
  • 後継計画をつくる・・・組織内外にかかわらず
  • 戦略的で規模の大きな理事会をつくる・・・(これは成果を出したことの結果なのかも?)

影響力を持続させるために

野心的な目標を達成することと組織の能力を培うことは相互補完的

最初に人を選び、その後に目標を選ぶ(ジム・コリンズ、ビジョナリーカンパニー2)

はい

技能は重要。でも情熱ほどじゃない。後から学べるから(セシリア・ムニョーズ、ラ・ラザ全米協議会)

そうだね

集中力と姿勢は後から学ぶことはできないし、これらは組織のよき支援者となるために必要だ(セシリア・ムニョーズ、ラ・ラザ全米協議会)

使命とお金の両方が、この順序で重要である。
本書で取り上げた成功している組織12のうち10の組織では、同じ規模、同じ分野、同じ地域で活動するほかの団体と比較してNPOとしては最高水準の報酬を支払うことを目標にしている。大半の運営幹部への報酬は10万ドルを超えている(2005年)

非管理職(専門職)のキャリアパスを設ける

私たちは、解雇する責任を負うべきだと考えている。人を解雇しない管理者がいたり、そういう部門があったりすれば、その担当者と会う。いまここでは280人が働いているが、私たちは世界を変えつつあると思っている。もし。可能な限り優秀な人材を雇っていないなら、そして自分たちを甘やかしているのなら、この組織はおしまいだ(エンバイロンメンタル・ディフェンス、フレッド・クルップ

これらの組織はいずれも人材管理面で好循環を生み出しているが、リーダーの育て方や最高の人材を確保・維持する方法を知ったから成功したのか、それとも、活動が成功して、ある程度の規模と安定性を得たためにこういった人材を保持できているのかその因果関係を解きほぐすのは難しい。おそらく両方あると考えられる。

成功した組織は資金獲得先を政府か、民間企業か個人から獲得するか選んでいる。そういった主体は収入源として優れているだけではなく、問題を解決するのを助けてくれる。

継続性のある市民による大きな寄付基盤は強力だが、それを得るためには相当な資源を投入しなければならない。

原則を実践に移す

偉大さとは、言葉から受ける印象とは異なり、他者と協力し、他者を通じてなされることに関係する。社会のすべてのセクターを活用して、社会的価値を生み出す力と結びついている。

感想

アメリカン巨大NPOの成功事例からいろいろ知見を集めているのが本書。NPOで社会を変えられるんだ!というのは日本の小規模ローカルNPOしか見えていなかった自分としては驚きでした。 気になるのは、この知見が日本でも活かせるかどうか。たとえば解雇規制やロビイングの習慣とかは違いそう。

思い付き

  • アメリカとの違いとしては、よく言われるのが寄付文化。寄付以外に政府や企業からの支援ということも書かれているが日本でやれるのだろうか。CSR活動を受注するなどはしているが使い道は厳しく制限されているように思うし継続性に難ありな印象
    • 寄付文化が根付くにはどうしたらよいだろか?
  • 政策提言はできうる?ロビイング。どういう法律が新規就農や農家の継続性を阻んでいるか考えるとおもしろいかも
    • 最近、耕作放棄地にかかる税金は増えたけれど・・・
    • GHQの農地解放で得た農地が、商業地や高速道路に転用されて大きな利益を出すのを待つために保持し続けているのいびつなのでなんとかしてほしい(例:売却益の何割かは地域に分担とか)

本書で書かれていなくて気になっていること

  • NPOが収益事業をつくりだすことの難しさと工夫や知見
  • NPOのライフサイクル。解決したら解散する?規模が大きくなると官僚化が進み組織のための組織になるような・・・

国内NPOについての愚痴は機会があれば口頭で。

夫がすねて料理をつくらなくなる話

この2週間ほどのあいだに共働き子育て中のアラフォー女性3名から同じような話を聞きました。
3件続いたということはよくあることなのだろうし、自分もそういうところあるかも、と思ったので書いてみます。
みんな男がそうだという話ではないのでご注意ください。


ちなみに、それぞれ妻の友人だったり仕事関係だったり会ったのはばらばらで自分がアラフォー女性と積極的に会っているわけではないです。


共通するのは家事や子育てに協力的な夫が、たまにしていた特定の家事をしなくなったということ。
1人は、夫がたまにする料理を食べて、味付けにちょっと否定的なコメントをしたところ、その場ではなんともなかったけれど、それ以降料理することはなくなったというもの。
1人は詳しく聞けなかったけれど、これもたまにする夫の料理のなにかに苦言を呈したら、同じようにそれ以降料理をすることはなくなった。
もう1名は、オムツを交換するときに、おしりふきを使いすぎたよ、と言ったところ、もうオムツ交換してくれなくて、それ以降は妻に任せるようになったというもの。


どの場合も、男は幼稚だ、傷つきやすい、家庭をともにする気がないのでは、と男を批判することはできるし、実際にそういう側面もあるとは思う。
けれど、批判しても解決しない。


それぞれの妻の口ぶりからは、ほかの家事や子育ては積極的にやってくれるんだけれどなんでこれだけ・・と困惑している様子がみてとれる。もちろん、深い付き合いをしているわけではない自分の前で、その場にいない夫をひどく言わないのは当然だけれど。


なにが原因だろう?
自分にはそういうことがないかな、と振り返ってみると、ひとつあった。


ある日、枕カバーに穴が開いて、買わなきゃ、Amazonだと2日はかかるかな、と妻と話をしていたあとのこと。
仕事帰りに遠回りして枕カバーを買って、びっくりしてくれるかなと思ってこっそりセットしておいたところ、洗濯してないもの(神聖な)布団に乗せたらだめだよと怒られたこと。たしかに、悪かったなあ、と思いつつ、じゃあ、そういう布団まわり全部やってくれ、と一瞬投げやりな気持ちになったことがあった。この場合は幸い一瞬そういう気持ちが浮かんだだけで済んだけれど、あとあと考えると、感謝される・ほめられると思ってやったことが、否定的にとられるとけっこうショックが大きくてかたくなになってしまうのかもしれない。


最初からどうでもいいことや雑だと自覚していることで怒られても、あまり引きずらない。
感謝されるかも、と思っていることをスルーされても別にどうでもいい。
でも、感謝されるかも、とよかれでやったことが否定されるとかなりショックを受ける。


そう考えると、夫婦の関係・男だけにかかわらず世の中意外と多いのかも。上記の話は男女逆でもありそうだし、たとえば、近所のおばさんの善意のお節介をうっかり否定するとずっと恨まれるとか。子どもがなにかに挑戦したてのころにマイナスなことを言って、やる気をなくさせることも近いかもしれない。 ネットで人気の若者が、またおもしろいこと書いたぞ!と記事を書いて思わぬ炎上した後に、素直に撤回できずにかたくなに戦闘的になってしまうことも近いのかも。


こういうことをどう防ぐといいだろう。
否定的なコメントをする場合に相手を傷つけないように注意するのは多くの人がやっていると思うけれど、特に、相手が感謝してほしそうなときを見定める必要があると思う。
あと、関係性が構築できていると思っていて、正直になんでも言ってしまいやすい関係でこそ危ない気もする。

人の意見に否定的なコメントをすると、人格を否定されたと混同してしまうことは多い。
これが日本の教育の問題か国民性かどうかはさておき、建設的な議論をするためにはどうしたらいいだろうか?
やっぱり、おしりふきを使いすぎだと思ったら、しゅっと指摘してしゅっと受け入れて改善していきたい、よいやり方などあれば教えてください。


最後に自分がひとつ思いついたものを紹介しておきます。
プロジェクトファシリテーションの分野で使われ始めたKPTという振り返りの方法です*1
プロジェクトの区切りで振り返りをする際に、そのままだと悪いことばかり思い起こしてマイナスな空気になりがちなのを、議論の順番を決めておくやりかたです。最初に、よかったことで次も続けたいこと(Keep)を議論してから、悪かったことや反省点(Problem)を話し、最後に次回試してみること(Try)と、分けて話をすることで建設的な議論にしていこうというもの。
これにならって、よかったことを伝えてから悪かったことを話すとニュートラルに受け入れやすい、かもしれない。もちろんKPTなんて言葉知らずともあたり前のようにやっている人は昔から大勢いるとは思いますが。

ちなみに、私ども夫婦では今年から月次家族会議でこのKPTを導入しています。また学びがあれば共有します。


最近作った料理 tsukurioki.hatenablog.com

メンテナブルVBA

こんにちは。これはSpreadsheets/Excel Advent Calendar 2018の8日目の記事です。 adventar.org

小説スプレッドシートがよすぎます。

また、昨日はつくりおきアドベントカレンダーに寄稿しました。15分でパスタをつくる話です。 tsukurioki.hatenablog.com

さて、VBAという言語があります。VisualBasicMicrosoftアプリケーション向けにしたもので、おもにExcelAccessを操作するのに使われています。

昨今、RPAというマクロっぽいツールが流行っています。 人件費の高騰や人材難に対応するために業務をロボットにやらせよう、という発想のもので、うまくつかえば省人化につながり有用なのですが、安易な導入は業務のブラックボックス化を招き、長期的なコスト増につながる可能性もあります。

本当はちゃんと業務システムを組む必要があるのですが、まともにシステム化するにはお金も人も足りない。 パッケージや既存のサービスを利用しようにも合うものがなかったり、組織が合わせられなかったり、選定能力もなかったりする。

そんななんかでいびつな業務を処理し続けないといけなくて疲弊する組織というのもまああるわけです。 ここから身を守るための道具として、貧者の業務システム、ExcelVBAを考えてみたいと思います。

ExcelVBA、つかったことありますか? Excelがあれば気軽にはじめられるので、エンジニアのひとも道具箱にいれておくといろんな現場で便利なことがあるかもしれません。 自分は未検証ですが最近はMacOSでもきちんと動くようです。 そして、重要なのが、非エンジニアでも取り組みやすく、理解しやすいこと。

このエントリでは、そんなVBAを知ってもらうのと、VBA初心者が業務を助けるアプリを書くときの注意点を書いておきます。 文法などは書いていないので、適宜ググってください。

ただ、自分も3か所くらいの現場での、引き継いでメンテナンスした経験・ゼロから業務を分析してアプリを書いた経験などから書いているだけなので、偏ったかん考えなども含まれるかもしれません。
そういう意味では、ベストプラクティスではなくそれを探すためのたたき台のひとつと受け取ってもらえればと思います。
コメント・ご質問などお待ちしております。

ExcelVBAの特徴

プログラミング経験のないひとでもとっつきやすい。というのが重要な特徴です。 具体的には
・操作をマクロとして記録でき、そのコードを見たり変更できる。そのため、記法を調べなくてもコードができて、それを手直しすることができる。ただし、低パフォーマンスなコードにはなりがちなので注意。
・すぐに有用な動作を書くことができる。たとえば全シート名を取得するコードだったり、データを複雑な方法で集計するとか。
これは、よくあるプログラミング言語で、条件式と繰り返しを学んでも、それがどう役に立つのかわからずモチベーションを保ちにくいと比べ、小さく成功体験をつくれて、条件式と繰り返しの重要さを学びやすい。
これによってプログラミングの楽しさを見つけて自信をもってほかのプログラミングに手を出していく人もいる。
これは、初心者がいきなりRuby on Railsを学び始めて、気にすることが多すぎるあまり意味を理解せずコピペになりがちなのとの違いでもあるかも。

・データ(表)とコードが密結合になる
このため、そのままデータをもったファイルにマクロも書くと、そのファイルをコピーするとコードをもったファイルも増えていくため、アプリの配布とか、バージョン管理が極めて難しい(マクロだけエクスポートしてバージョン管理することもできなくはないが、煩雑)。
とくに、オブジェクト指向で書けるんだけれど、そのコードの置き場が難しい。複数ファイルで共有するのはできなくはないけれど、危ない。

・独自エディタ
行数表示させるのが難しかったりで好きなエディタをカスタマイズしている上級者には厳しいと思う。ただし、リアルタイムで構文チェックしてくれたり、自動インデントとか大文字小文字変換とかしてくれたり、ブレークポイントをつけてデバッグを容易にできるので初心者にとってはとっつきやすそう。変数の中を表示させつづけられるウォッチウィンドウも便利。

ユーザインタフェースが簡単に作れる
コードではなくドラッグアンドドロップで(wysiwygに)ボタンやフォームをつくれる。便利。

・印刷とかも簡単
帳票が簡単につくれます。しかも、テンプレートをExcelで簡単につくれるし、帳票をつくったあとに、ちょっと文字を変えたり、サイズを変更したりとが簡単にできるのはほかの帳票システムにはあまりない(もちろん帳票システムとしては、記録を管理しにくいとか重要な欠点はある)


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・・・
つまり、非エンジニアでも簡単に動くものがかけて楽しいけれど、そのソフトウェア設計の未経験さと、VBAのデータと蜜結合しやすいことからメンテナンス性が低くなりやすい。ということです。
現場で、なんらかの業務でExcelで手作業でなにかしないことは多々あり、短期的には業務が楽になっても、人員移動などで人が変わるとすぐブラックボックスになってしまいます。

こういうことを避けるため、おもに非エンジニア向けにちょっとした注意を書いてみます。

1. 書き捨てられる規模にとどめる

巨大なVBAをつくるのは地獄への始まり。いざとなれば1日でつくれる規模を心がける。

2.バリデーションする(入力をチェックする)

ユーザはあらゆる情報をセルに書き込むことができるし、Excelでエラーがあることもある。
数字を期待するところでは、セルに値が存在することを確認し、isNumericでバリデーションして行数と注意文を出力するべき。セルの入力規則もうまく使いたい。
メンバーがマクロをつかっていて、エラーが出てもあなたのところに来る必要がないようにしたい。

3.他ファイル参照時は相対パスで動くようにする

ときには、あるExcelファイルは別のファイルを参照することも多い。
そのときは、非本番データでテストできるようにしたりやユーザがポータブルに使えるようにするため、相対パスのみ、できれば、マクロを記述したファイルと同一ディレクトリにあるようにするべき。
複数ディレクトリにまたがるときは、そのファイルのパスはExcelファイル内の設定に記述できるようにする。

4.サブルーチン名・変数名は日本語にする。とわかりやすいと思う。

実際に業務で使う用語をそのまま日本語で使うとメンテナンスを引き継ぎやすい。DDDでのユビキタス言語ですね。
コード中にコメントはかなり丁寧目に書きましょう。

5.できるだけVBA内で処理せずExcelの式を使う。

VBA内で詳細な計算をするのではなく、そのデータの移動とかだけにとどめて、計算は表上での式ですると、エラーを発見しやすい。

6.VBAマクロのファイルとデータをもったファイルを分離する

データをもつファイルは、別のロジックの含まれるマクロを読み取り専用で開いて起動するくらいにとどめ、ロジックの書かれたファイルはユーザが開かないようにする。
ファイルサーバに置かれたものをユーザが使っていてエラーがでたとき、修正するためにファイルを閉じてもらう必要があるのはだるい。
なるべくソースだけでバージョン管理したい。
ただ、ショートカットで使うユーティリティ的なルーチンは別かな(複雑な優先度でのソートを数種類使い分けるとか)。

7.知っていてほしい概念

Dictionary・・・連想配列。ハッシュです。便利。ソートはないので、各自でソートを実装する必要があります(https://qiita.com/daik/items/682743bb8bcd8b5f0689
Variant・・・二次元のExcelのデータを取り込むのにつかいましょう。二次元配列的に扱えます。Excel上のデータに都度アクセスするより高速。
データの取得(Webクエリとか)・・・これはVBAとは違うのですが、DBMSのデータやWebページからデータをとってきてExcelのシート上に展開することが簡単にできます。うまく使えば、弥生シリーズ(内部にSQLサーバを使っている)とか、社内Webシステムのデータを、マスタとして取得して処理できます。たいへん便利。

8.上司同僚にはことあるごとにリスクとコストを伝える

はい。なんとなく自分が楽をするためにシステムを書いてきたんだとは思いますが、いつしかあなたのシステムはビジネスの一部になって、組織と深くつながってしまっていると思います。
システムがある以前の苦労を知っている方は、あなたに敬意を持ち続けると思いますが、それ以降に組織に加わったメンバーはそうではありません。
そのシステムがあることを当然に思ってしまうかもしれません。そうなると、そのシステムのメンテナンスに適切なコストが払われず、不健全なものになります。
それが有用なものであれば、ちゃんと業務として扱ってもらい、評価してもらいましょう。
そして引き継ぐための準備をしてもらいましょう。
そのためには、上司にはことあるごとにあなたが払ったコストを伝え、それが業務に蜜結合しているのであれば、不具合があれば業務に影響がある、そして、システムには不具合は避けられないということを伝えましょう。

9.参考になるサイト。

今回は実装の詳細とかコーディング自体については触れませんでしたが、やりたいことを言語化できればだいたいググって見つけることができる、気がする。

だいたい下記3サイトが相対的にまともでわかりやすい記事多めなのでググったときに優先的にみるとよさそう。
Office TANAKA Excel VBAテクニック カテゴリー:即効テクニック|Excel VBAを学ぶならmoug Excel VBA入門 | UX MILKVBAは公式も検索性が悪いし、エラーメッセージも日本語ででるため、英語の資源にアクセスしにくい・・・)

以上、それではハッピーVBA

シェアハウス@清澄白河、住人募集。

追記(2018.11.16)

本件、新住人が決まったとのことで募集停止です!ご検討・ご質問・拡散してくださったみなさまありがとうございます!

本文

東京に清澄白河というエリアがあります。東京駅から東へ徒歩25分、江東区の下町で深川八幡さんの裏手です。

清澄白河という駅ができたのは2000年なのでまだ18年と新しいため、古くから東京にいる人にはなじみのない地名かもしれませんが、じつは大江戸線半蔵門線が通って、渋谷や六本木や上野(広小路)、新宿、大手町まで一本で行ける便利エリアです。さらに、ここ5-6年はブルーボトルコーヒー1号店ができたり、意欲的なお店もたくさんできて雰囲気も変わりつつあります。

この清澄白河には、自分が東京1年目、2011年前から2015年1月まで住んでいました。 おだやかで近隣のコミュニティもおもしろく東京の印象が大きく変わった場所です。

ただ、下町とはいえ、ホームズで調べると面積17平米の1Kでも10万を超えるところもあり、8万円以下はほぼないくらい。 https://www.homes.co.jp/chintai/tokyo/kiyosumishirakawa_09700-st/list/

こういうところで住むのは価格的につらいこともあって、ファミリー向け4DKを借りて、それを友人と一緒に借りるという形でシェアハウスをはじめたのです。 そこの経緯や振り返りはこんな感じ。

dai.hateblo.jp

dai.hateblo.jp

ここのシェアハウスは、自分が東京出張などの際にも寄る機会もあっておもしろい場所なんですが、なんとこの度、住人2人が、それぞれ結婚と転勤で同時に引っ越すことになったため住人の募集があります。

これまでもおもにITエンジニアが何人も住んでいて、個室もありつつリビングでは勉強会のほか、料理イベントやゲーム・鑑賞会が開催されるシェアハウスです。落ち着いておだやかな場所なので、清澄白河でシェアハウスライフしてみたい方、よければどうですか?

諸事情で見つからなければ解散が決まるそうなのでおはやめに!

詳細や内覧については原住民代表の id:decobisu さんにお知らせください。

decobisu.hatenablog.com

さて、最近のシェアハウス観。 10年前、2008年には聞いたことのない概念でしたが、ここ数年急速にひろまっていますね。 自分も京都と東京で1か所ずつ住んで、6か所くらい遊びに行きました。住民やエリアによって個性も雰囲気も違ってたいへんおもしろいです。 かぼちゃの馬車のようにたくさん供給して倒産するところもあったり、社会現象にもなっています。

これは、現代の長屋・若者の貧困化としても語られますが、分断しがちな核家族・単身世帯の増えた社会でひとつの互助的なネットワーク・コミュニティのきっかけ、になっているのではないかとも思います。ウチとソトの境目がなめらかになるイメージです。

自分はつい最近まで京都でもめいちゃんちのシェアハウスREDIYに入居していたのですが、ここのコンセプトは「日常を拡張すること」。 この、めいちゃんちに限らず、シェアハウスに住むことでもともとの友人や職場、趣味以外にも、シェアハウスの住民やさらにその友人と出会えます。さらに、キッチンやお風呂などの水回りも共有することで私生活のノウハウや職場や学校のうわべだけではわかりにくい、価値観の多様さなどに触れる機会でもあって、寛容さにもつながるんじゃないかと。 もうちょっとシェアハウスという選択肢が一般的になっていくといいなー、と思っていて、スルガ銀行かぼちゃの馬車と、不労所得をもくろむ人間たちの出資で東京に大量供給されたシェアハウス群がこれから社会でどういう機能を発揮していくのか楽しみです。

mayshare.chu.jp

そういえば、水惑星年代記大石まさる先生が、テラフォーミングされた火星でのシェアハウスを舞台にしたマンガを描いているのでみなさま読みましょう。

現代日本でお金を稼ぐ2つの方向性

(注意1)この文章では具体的なお金の稼ぎ方が書いてあるわけではないです。
(注意2)こうあるべきだ、これが正しい、という意見ではなく自分の現状認識です。抜け漏れ誤解・固定観念があるかと思いますがやさしくご指摘いただければ幸いです。

「わたしは●●大卒なんだから年収800万もらえて当然でしょ」、「この難関資格をがんばってとったのだからいい給与がもらえるべきだ(もらえていないのは自分ではなくて社会が悪い)」みたいなことを聞く機会がありました。

苦労して働いている多くの方は信じられないと思います。しかし、大学までの、ペーパーテストで高得点をとると順位が出て評価されて周りからもちやほやされる世界で育つと、こういう意見を持ってしまうのも不自然ではないのかもしれません。
父親や親類が高収入だったり、付き合う社会が狭いのかもしれないし、かつての、女性が結婚相手に年収1000万円を求めている、みたいなニュースを聞いて育っているなかで、ペーパーテストが得意だったことにより(狭い)社会から評価をされていると自信過剰になるのも仕方ない、とも思います。

しかし、多くの方が体感しているように、学歴があればお金を稼げるわけではなありません。
もちろん学歴があれば、大企業に雇われやすく、高給を得やすいという傾向はあっても、学歴があるから雇われるという因果関係はありません。

よくよく見てみると、お金を稼ぐ構造をあまり知らない人がいるようなので書いてみます。
想定している対象読者は田舎にいる親類の高校生・大学生で、投資などすでに持っている人がより稼ぐのではなく、持たざるものが稼ぐことを念頭に置いています。銀行強盗やフィッシング詐欺などの犯罪行為や、ギャンブルは除いています。

さっそくだけれど、大きく2種類あると思う。

1.既存の利権構造の恩恵を受ける

世の中には、強固なお金を稼ぐ仕組みをもっていたり利権構造を構築している組織やコミュニティがあります。
すぐれた製品や販路、特許、版権、根強いファンをもつ企業はわかりやすいですね。一度つくった仕組みを維持していくだけでお金がどんどん入ります。株主に流れる分も多いですが、中核の従業員の分け前も多いです。

ほか、大きな退職金や天下りルートのある公務員もあります。
天下り、と悪いイメージのある言葉を使ったけれど、もちろん、専門知識をもった人間が民間で再活躍できるのはとてもよいこと。猪瀬直樹が「日本国の研究」で告発したようなあからさまな公金をどぶに流すような天下りはさすがに減っているとは思いますが、これもわかりやすい利権です。

そのほか、多くの檀家を抱える宗教組織や、文化芸術などで構成員をもつ財団、集金構造をもつ労働組合や、責任を負うとともに新規参入に門戸を狭める士業、玉の輿や資産をもつイエからの相続なんかもここに含まれるでしょう。

これらの組織は、その利権構造を維持する資本の論理や自己保存のような力が働いていて、定年や競争・死亡などで離脱するメンバーを補充し事業を維持するために、新メンバーを募集しているものです。

企業や官庁では新卒採用として、イエでは出産や、嫁婿探しとして。大学ではポストがあくと公募もあります。
もちろん、なかには、ある特定の血筋のものが出世を約束された同族企業や財団法人もたくさんありますが、組織内出世により利権構造の恩恵を受ける道が公開されている組織はとても多い。

そこで求められるのは、組織を運営していく高い能力だけではなく、組織の文化への適応具合や忠誠といったメンバーシップ。

採用されて出世していくには有用性を認めてもらうであったり、組織の意向をくんだ現場の人事権者に認められる必要があります。

そしてそこではペーパーテストの成績やその結果としての学歴はひとつの指標でしかありません。
大量に採用する場合に判断材料の一つとして学歴フィルターや同じ大学出身者を優遇するリクルーター制度や推薦があっても、選抜の一つでしかない。学歴があると多少は事務処理が得意なのかも、と思わる程度です。

そこから採用されるためには、各企業や業種によって違ったりいろいろ就活得意な人がいると思うので興味のある人は探してみてください。

生まれによって、利権構造の継承がほぼ決まっている人はよかったですね。社会に還元していってほしいです。

まとめると、利権構造の恩恵を受ける立場にいくと稼ぐことができます。いくつかの利権構造では門戸も開かれているのでがんばってください。

しかし、平家物語の冒頭にもあるように、盛える者は必ず衰えます。歴史を紐解くとどんな大帝国も衰退のときはあるようです*1
クレイトン・クリステンセンが指摘したような、イノベーションのジレンマもあり大企業でも絶対安泰ではありません。
かつて、炭鉱会社が東大生に人気で難関中の難関だった時代もありますが、いまや見る影もない領域も多いです*2

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

2.すきまを埋める

上記の利権構造は長く続いた組織が多く、官僚主義的になりがちで新しいことが苦手なことが多かったり、需給を満たせないことも多いです。また、権力は腐敗していきます。
そこで生まれる隙間をみたすものはお金を稼げます。
いちばんわかりやすいのはベンチャーに参画すること。あたらしい事業をつくって稼いで、利権構造を構築する。

体制の変わり目や、技術の発展期はたくさんすきま、つまりビジネスチャンスは多いようです。戦後のヤミ市や、ここ20年でたくさんでてきたIT系のベンチャー企業はわかりやすいですね。
上記であげた利権構造もはじめはすきまから始まったものばかりです。

とはいえ、室町時代に運搬を担っていた馬借や車借のように、お金は稼いでいても、社会的には低くみられることはあったり*3、新興企業のライブドアの取締役らが粉飾で逮捕される一方、日興コーディアル証券東芝の粉飾では逮捕もないように、新興の組織は社会的に厳しくみられることも多々あるので、お金を稼ぐだけが目的ではない方はご注意ください。

すきまを見つける、という点では、高技能なフリーランス流動性の高い専門職もこちらに含めましょう。
求められるエンターテイメントを提供するということで賞金スポーツのアスリートや、芸能人、ゲームなどのコンテンツ系を創造していくもこちらに含まれますが、すでにある版権で稼いでいく段階になると1.の利権構造にシフトします。

また、そんなに稼げはしないことも多いですが、既存の組織が需給を埋められないところを埋めるという意味では、自営業やアルバイトな仕事もこちらに含めてもよいかもしれません。

まとめ

おおざっぱに図にしてみました。 f:id:daaaaaai:20180429141904p:plain 「すきまを埋める」を新興として左に、はじめにに挙げた「既存の利権構造の恩恵を受ける」を右において、それぞれのなかで専門的か、非専門的か、という軸をおきました。
「専門的」というのは技術を念頭においていますが、特殊なマーケットに対する仕事も含むかもしれません(麻薬の密売とか?)。抜け漏れ多数ある概念図なのでご笑覧ください。

リチャード・フロリダのいう、これからの社会では、高技能なクリエイティブクラスとマニュアルで動くマックジョブに分かれるという分類は、既存の利権構造をおそらく意図的に軽視していると思うのです。

クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭

クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭

このめちゃめちゃ乱暴な分類によって何が言いたいかというと、(少なくとも)現代日本では、既存の利権構造が強固なために、そこにメンバーとして加わるのがお金を稼ぐのには有利になっているけれど、組織が永遠ではないので利権を享受しているという認識がないと危なっかしいよ、ということです。
そして、これが問題なんだけれど、利権が強固であるゆえに、古い価値観によって、権力者への忖度や、非効率さが温存されたり、過重労働や、関連企業からの搾取が続いているのはなんだかなあ、と思うのです。

おしまい。

21世紀の資本

21世紀の資本

*1:例外は、一定の規模を確保した宗教組織のように、領土が重要ではない組織かもしれませんがこれからどうなるでしょうか・・・

*2:しかし、ここらへんの話はよく聞けれど統計はどこかにあるんだろうか・・ http://www.jyoban-coalfield.com/omoide/omo_sepa/nakadagakusotu.htm

*3:1962, 笠原 一男, 一向一揆の研究

ヒューマニズムの限界と「アーロン収容所」

アーロン収容所 (中公文庫)

アーロン収容所 (中公文庫)

太平洋戦争後の、厳しい環境で強制労働があって30万人以上の日本人が死んだとされるシベリア抑留を知っている人は多いと思う。 けれど、戦後、ビルマ(現ミャンマー)にてイギリス軍に抑留されて強制労働させられていたことを、自分は恥ずかしながらあまり知らなかった。 それが日本で広く知られるようになり、戦後、さまざまな日本人論がうまれるきっかけとなったという、会田雄次氏によるアーロン収容所のことはどこかで読んで気になっていたのを、ようやく手にすることができた。

27歳で日本軍に徴用された歴史学者であった会田氏はビルマ終戦を迎え、イギリス軍の捕虜として2年間強制労働させられていた。 終戦までを描いた部分では、マラリアの蔓延するジャングルで乏しい補給のもと何か月も行軍する、戦友があっけなく死んでいくさまなど紋切型な表現だけれど戦争の悲惨さが伝わってくる。

どれも悲惨で、その大きな原因である、日本軍上層部の、官僚主義、前例主義、メンツ重視の希望的観測と精神論と補給の軽視が、この現場の記述から透けてみえる。 このあたりについては、「失敗の本質」に簡潔にまとめられていて、現代社会でも通用する知見を整理しているのでみなさまぜひ読んでください。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

本書は、ようやく命からがら終戦を迎えた後、あまり知られていなかったイギリス軍の収容所の残酷さに焦点を当てている。 そして、この収容所というきわめて異常な状況を通してイギリス人やインド人、ビルマ人、そして日本人の価値観の違いをえぐりとっている。

イギリス人の、合理主義的であり、かつ黄色人種を平然と家畜と同様に扱って差別するさまはけっこう衝撃。 し尿拾いなどの屈辱的な仕事をさせたり、食料をほぼ与えなかったり、収容所をあえて虫や悪臭のひどいゴミ集積所のそばにつくるなど、拷問や虐殺とはまた違うやりかた。 ヒューマニズムというものが蜃気楼のようなものでしかないと感じる。

本書では、そういった抑圧の残酷さだけでなく、収容所での苦しい生活の中で、捕虜たちが、イギリス軍から泥棒したり文化をつくりだすさまも見えて興味深い。 飛行機のジュラルミンの部品をとって精妙な仕掛けのあるシガレットケースをつくって、インド人士官に売ったり、竹からマージャン牌をつくったり、イギリス軍兵舎の天幕を盗んでそれを緞帳に仕立てて演劇をしたりなどの話や、インドタバコが貨幣として流通していたというはなしもたくさんあって、そのしたたかさに笑えてしまう。そのなかで、戦場での、階級とは違う組織の上下関係と、捕虜生活での上下関係がかわってくるさまもおもしろい。

著者は、これを一般的に拡大するのはあぶない点があるとしながらもこう書いている。

人間には種々の型があり、万能の型というものはない。異なった歴史的条件が異なった才能を要求し、その方の人物で、傑出し、しかも運命に恵まれた人物だけが活躍した。古代の偉大な政治家も、現在では村会議員にもなれないかもしれない。現在のやくざの親分はあるいは戦国大名になれたかもしれない。芸術家や学者でもそうであろう。

これは、初代内閣安全保障室長の佐々淳行の平時のリーダーと、危機時のリーダーに求められる資質は違うというものを連想した。 たぶんこの本に書いてあった。危機管理の本はおもしろいのでぜひ読みましょう*1

完本 危機管理のノウハウ

完本 危機管理のノウハウ

ビルマでの日本軍収容所について詳しくは本書を読んでほしいけれどまずはWikipediaをさらっと見てほしい(ちょっと順番が変な気はする)

ビルマでの降伏日本軍人の抑留 - Wikipedia

過酷さを比べるのは不適切だけれど、希望がない中で毎日人が死んでいくナチス強制収容所で、どういう人が生き残るかというのは、V.E.フランクルの夜と霧がめちゃめちゃ刺さる。本文はそんなに長くないし(文体は)読みやすいので多くの人に読んでほしい、けれど、本文のすばらしさと比べて付録の解説が一面的で感情的で最悪だった気がするのでご注意ください。

夜と霧 新版

夜と霧 新版

ミャンマースー・チーさんくらいのイメージないかもだけれど、急速に経済発展しながらも少数民族問題を抱えていてたいへん。 いろんなミャンマーの山岳地方での少数民族の暮らし向きや雰囲気については、高野秀行さんの「アヘン王国潜入記」がめっちゃ笑えて楽しいながら、ミャンマーのかかえる問題の現場を知れてよかったけれど、戦中や戦後にも日本軍とさまざまなかかわり方をしていたのは知らなかった。

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

あとがき

このブログはこのところ放置でしたが、最近は#つくりおきブログに寄稿したり、会社のブログを書いたりしていてブログを書いていないわけではありません。 今回は最後に関連書籍を羅列してしまったけれど、今後もなにか伝えたい・記録に残したい本や思いがあったときに書くだろうのでよろしくおねがいいたします。

tsukurioki.hatenablog.com

今日紹介したアーロン収容所は1/7に尾道の古本屋さん弐拾dBで購入し、18きっぷでの帰りの車中や通勤中に笑ったり泣いたりしながら読んで、本文章のたいはんは今出川大宮上るのカフェ、逃現郷(とうげんきょう)さんで書きました。どちらも人の思いがこもった感じのとてもよい場所です。

*1:佐々さん、おもしろいけれど同じエピソードがいろんな本で触れられているのでどれがどれか思い出しにくい(どれも印象深いエピソードではあるけれど)

経営おもしろ話、あるいはなぜ東芝はやらかしたのか(「ヤバい経営学」を読んだメモ)

「ヤバい経営学」という本を読んだ。 原著のタイトルはBusiness Exposed。直訳すると無防備な経営*1だけれど、ヒットした「ヤバい経済学」に乗ってこのタイトルになったようだ。書店で手に取ってもらうためには良いと思うのだけれど、語彙がヤバい・・・。

ヤバい経営学―世界のビジネスで行われている不都合な真実

ヤバい経営学―世界のビジネスで行われている不都合な真実

中身は、経営学の論文をおもしろおかしく紹介するもの。 一部、進化論について誤解していたり(訳の問題かも?)、経営者もふつうの、俗な人間だということを繰り返し指摘している。にもかかわらず経営者に善良さを求めるのはちょっと辟易するところがなくはないけれど、けっこう学びもあったり考えるきっかけになる情報が多かった。

以下、気になったところの要約と感想のメモ。引用記法で書いていても自分が要約している箇所もあります。本に書いてあることと感想はそれとわかるように書こうとしているけれど、あいまいな箇所もあると思うのでご容赦ください。

組織の集団慣性

新聞の紙面サイズが電車でめくれないほど大きく、食卓でめくるにも苦労するほど大きいことの理由。大きいほうが印刷コストが安いなどの理由があるわけではなく(逆に高い)、1712年のイギリスでページ数で税金が決まったことに対応するためだという。この課税は1855年に廃止されたけれど、そのときの慣習がいまも引きずられている。イギリスでは最近になって、経営危機に陥ったインデペンデント誌が2003年に小さくして、それによって利益もあがり、ガーディアンやタイムズなど他社も追随した。

本書で指摘されているように変化を嫌う前例主義により非合理な慣習が残り続けるといのはあるだろう。 ただ、本書では指摘されていないけれど、これは消費者ぐるみの場合もある。使い慣れていないものに忌避感を覚える消費者は多い。その消費者の心が離れるかもしれないという不確実さを恐れているために残っている商慣習や高コストな機能もある。とはいえ、肯定しているわけではなく、そこには市場の隙間があるということなので、うまくマーケティングできると機会があるのかも、と思った。

これとは別の組織の集団慣性として、懸念をもっている人が多くとも、声をあげなければそのまま進んでしまってみんなでコストを払っている状況も指摘されている。 わかりやすい例だと三菱自動車リコール隠し。最近だと3Dテレビもそれに近いかもしれない。 こういう例、いろんなところにあるけれど、自分はそれに気付けて声をあげられるだろうか。日本の新聞もどこかがA4判に変えていっきに普及したりしないかな。

選択バイアス・選択と集中

大成功に導く戦略、または非常に革新的な戦略というものは、合理的なプロセス、もしくは経営トップの独断から生まれることはない

成功した事例を見聞きすると、すごい戦略があったのだろうと思うかもしれないけれど、ひょんなことや偶然から結果的に優れた戦略が生み出されることが多いという。そして、生き残ったものだけ観察されてストーリーを忖度されるので最初から優れた戦略があったように語られる。

成功例に引きずられないようにしたいものだけれど、ついつい気になってしまう。

例)サウスウエスト航空のLCC化、CNNのグローバル化

業界トップの企業にとって環境の変化はおそろしく、業績の悪い企業は環境の変化を歓迎している

例)タイヤのファイアストン、スイスの時計業界、コダック・・・

そうですね。ただ、業績が悪い企業は環境の変化を期待していつつも、対応するためのコストを払わないことが多い気がする。 環境の変化にのれる柔軟さと感性のある

強い企業はコアビジネスに集中しているから、コアビジネスに集中しよう、ではなく、コアビジネスになるほど成功した事業があったから強い企業になっているという因果なのではないか。

ビジョナリーカンパニーの誤謬ですね。 とはいえ、スタートアップ含む中小企業だとリソースに限りがあるので選択と集中しないといけない気もするのが悩ましい。

立場固定

プロジェクトを途中で止めてしまうとバカで無能だと思われる。成功すればヒーローになる。最初からかかわると、止めるという選択肢はなくなってしまう。

例)映画「遠すぎる橋」。マーケット・ガーデン作戦

東芝のWH買収やインパール作戦も同じかもしれない。最終的な破局までだれも止まれない。失敗やアラートを遠慮なく上部にあげられる組織にしたいものです。

成功の病

成功が均質な組織文化をつくるという傾向がある。そしてこれは新しい環境への適応を妨げ衰退の原因にもなる。これが成功の罠として知られている現象。 危機にあるときにイノベーションが生まれる(ほんとか?)。いっぽうで脅威にさらされると委縮して、コアに集中しようとしすぎたり、官僚的で過剰管理気味になりがち。

イノベーションのジレンマの文化的な説明と感じた。成功の病から抜け出る方法はなんだろう?本書でもにごしているけれど、少なくとも流行の経営手法ではなさそう。 成功してから考えたい・・・と考える中小企業は多そうだけれど、初期の組織文化や設計の影響が大きそう。 リクルート様は、変化を促す組織文化をうまく作っていると思うけれど、特定のマーケットか特定の技術に軸足を置いて成功してしまった会社はどうすればいいんだろう。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

経営者の報酬。ストックオプション

経営者へのストックオプションは、経営者に企業の成長へコミットさせる目的があり、実際によりリスクをとらせることになる傾向がある。しかしリスクをとることはよいことだろうか。

そうだね。個別の経営としては、企業のあり方が定まった大企業でストックオプション付与は過剰なリスクにさらす危険が大きいと思う。けれどマクロでは大企業がばんばんリスクとってマーケットや人材市場をかきまわしてほしいのでもっとやれ、と思ったりもした。東芝がつぶれて優秀な人材が市中に放出されたら楽しそう(無責任)。

経営者の報酬を決める報酬委員会や取締役会の構成員が高給取りであるほど経営者の報酬はあがる

そうだね。

経営手法とイノベーション

TQMやBPR、シックスシグマなどの流行の経営手法の導入は、業績への相関関係はほぼないがフォーチュン誌の尊敬される企業ランキングの順位には影響するのと、経営者の報酬が増加する傾向がある。

これは、手法を購入可能なパッケージとして見ている場合はそうだろうな、と思うけれど、一概には言えないと思う。この経営手法を導入した企業の業績が(長期的に)増えるみたいなパターンありそうだけれど、そんな手法はあるかな。 ただ、流行にのってトップダウンに導入するのは失敗パターン。

ISO9000という社内手続きのマニュアル化と標準化で効率的で高品質な製品をつくるという標準がある。写真業界で研究したところこれを取得していた企業は既存分野の特許申請数は増えるけれど「同じような」特許ばかり増えてイノベーションにつながる全く新しい技術はあまり出てこなかった。

(例として、3Mのポストイットをあげているが、同じような、ってどう判断したんだろう。と疑問に思いつつもとの論文にはあたっていない・・・。管理を厳密にすることがゆらぎやあそびを削いでイノベーションの機会を減らしているというストーリーはわかりやすいし、実際そうである気はするけれど)

経済学者のジョバノビッチは「効率的な企業は成長し生き残る。非効率な企業は衰退し消滅する」と四半世紀前に言った

これはそうなってほしいけれど、先行者であることの競争優位性が大きいからかもしくは十分時間が経過していないからか非効率な企業もたくさん残っている。

継続的な競争や変化にさらされていると、会社は大きく発展し、より強い会社になることができる

そうだね。とはいえ、競争や変化にさらされない特定業種で、弱い会社でも稼いでいる人たちはいて、彼ら彼女らの幸福度とは別問題なんですよね。

今日の経営者が直面している市場が、昔よりも変化が激しいという事実はない。当然、競争優位性を獲得したり維持することが過去に比べて難しくなったわけではない。

いまが変化が激しいというよりも、産業革命以後はすっと激しいという気がする。

イノベーションはいいことなのか?イノベーション(新しい製品を出す企業)を起こす会社はその結果として成長のスピードも鈍化し、倒産する確率もあがる。という調査がある。

真似する戦略が最上、ということになるそう。これはけっこういやだけれど、本書では、イノベーションを起こすことが目的の組織なら違うのでは、と示唆していてこれはすこし希望がもてた。

組織の硬直化と組織再編

組織再編は、その変更された組織に必然性が必ずしもなくとも、再編すること自体に効果がある

これは、 (1)社内の協調がうまくできない問題を解決する(2)過度の権力の集中を止める(3)変化に対する適応能力を高める 効果があるとのこと。

ただ、明記してはいなかったけれどがらっとした再編の場合と思う。ふつうは、みなそれぞれの専門性や顧客、ビジネスプロセスをもっているのでそんながらっとした再編はなかなかできないけれど、それを押し通すと効果はあるのかもしれない。

シャープや日産の経営者が外国人に変わったのは近いかもしれない。いっぽうで国内で散見される、部門名だけ変えて実態は変わっていないのはここでいう再編とは言わない。 話がそれるけれど、会計システムとかで組織再編はかなり複雑でつらい。ある部門の売上や債権の管理を、つけかえたりする必要があるのと、年ごとの推移をみるときにどう読み替えるかをもっておかないといけないので。

組織の居心地のよさは硬直を招く。

適度な緊張感と人の入れ替わりは必要だろう。 よく、日本の大企業のジョブローテーションは専門性のないジェネラリストが量産されると批判を聞くけれどもしかしたら有用なのかも。 有用すぎて、非公式なチャネルで物事が決まってガバナンスが形骸化する問題はありそうだけれど。

法律事務所でも、そこから人が企業に転職するとそこからの発注が増えるし、逆もある。人的交流が仕事をうむ。

コネというとネガティブに受け取られるけれど、これは円滑なビジネスの必須条件ですよね。サーチ理論的。 そういうネットワークに入っていなかないといけない・・・

広報の正しさ

  • 取締役が外部から来ている方が企業の広報で隠し事は少なくなるが、取締役が株をもっているとそうではなくなる。
  • また株主に大きな機関投資家がいると隠し事は少なくなるが小規模な株主が多くなるとそうではない。

日本だと、どうでしょうか。経営者が意図して隠すよりも、現場の管理職が上部に報告しないことによる隠ぺいが多い気がする。雪印の問題とか、記者会見で社長が「聞いてないぞ」と言っていたように。

人員削減

成長企業でも低成長企業でも、どの業界でも人員削減が短期的には効果があっても長期的な利益率につながらないという調査がある。 理由は、社員のモチベーション低下ではないか。人員削減後は自己都合退職率が上昇する。公平な人事制度(相談窓口や非組合員の申し立て制度、を例としてあげているがちょっと疑問)があるところはまだ影響が少ない

これは、IT化による人員削減も含むのだろうか。 日本だと、人員削減というよりは過度の外注化・効率化で組織内のゆらぎや教育機能削いでいるところは多い気がする。 逆に、規制産業やパブリックセクターでは過剰人員がいるから非効率な仕事のための仕事が残されていたりもする気がするけれどどうでしょうか。

参考

日本国の研究 (文春文庫)

日本国の研究 (文春文庫)

株式上場のメリットについて

株式を上場すると、経営者は株式市場への対応にかなりリソースをさくことになるけれど、これに見合うだろうか。

  • 資金調達する必要があるから?ほんとにある業種はどれくらいある?
  • 会社の信頼性?東芝エンロンという反例もあるし最近は上場企業だから取引めっちゃスムーズだ、などはないとは思う。

創業者や投資家のExit以外にはあまりない気がする・・・。もちろんこれは重要で、スタートアップが生まれるインセンティブとしてたいへん意義のあることとは思うけれど、「会社」としてはメリットあまりない気がする。

会社は株主のものか?株主の第三者責任は有限であるように会社所有権は制限されているだろう。

株主(だけ)のものではないことの簡潔な説明で今後つかっていきたい。ただ、経営者が最大株主のときはまた違うかな。

給与

給与格差がすくないほうが個々のパフォーマンスもチームとしてのパフォーマンスもよい、というメジャーリーグをもとにした研究はある。

一般企業とは違う・・・と思うけれどプロフェッショナル集団のメジャーリーグでもそうなら一般企業でもそうなのかも。 ただ、専門家を集めるためには給与格差は生まれてしまうのでそこでパフォーマンスあげるためには給与を隠ぺいするような文化が有用なのかも。うーん・・・。

CSRについて

CSRは収益性には関係ないが、訴訟や政府の制裁措置などの逆風下で株価が下がる度合いはCSRにコストをかけていないところよりも少ないという調査がある。 いくつかの判決で敵対的買収が難しくなったデラウェア州での調査では、この結果として環境やコミュニティへの配慮といった効果の見えずらいものへの支出が増えた。そして支出を増やした企業では、長期的には株価純資産倍率が上昇し経営者の報酬も増えているとのこと。これは敵対的買収の危険から解き放たれたからではないか。

(もとの研究を読んでいないけれど、これは事業が順調という原因があってCSRへの支出も増えて株価純資産倍率も上昇しているという関係な気はするけれど、この本の著書はほかの項では相関関係と因果関係をけっこう区別しているので、そうではないようにも思える。もしそうならかなり明るい話。みんなCSRにお金をかけて環境にやさしく住みよい世界にしていきましょう(提案)。

2008年の金融危機の原因

政府の不十分な規制や規制当局の失敗、経営陣の強欲の結果でもなく、経営の構造的な失敗の縮図。 成功の罠、過剰搾取、視野狭窄、仲良し経営者グループ、証券アナリスト、取締役会、真似の応酬、流行りの経営手法や自信過剰

類例としてエンロンの崩壊、アホールドの転落、ユニオン・カーバイドのボパール工場での大事故があげられている。また福島第一原発東芝のWH買収もあるかな。

原因

  1. 職務の細分化と組織の専門
    金融工学の専門家は住宅市場の状況をほとんど理解せず、住宅市場をベースにした商品を販売する銀行員も組成内容や住宅市場について理解していない、これが組織階層や組織間で積み重なり経営者がリスクを判断できなくなっている
  2. 成功による盲目
    成功し始めると細かい注意をいなくなり大胆になっていく。そして懐疑的な声や反対意見は無視される。
  3. 群集心理
    成功したやり方に従わないと保守的で古めかしいと投資家や証券アナリスト、ほかのステークホルダーによって批判される・。
  4. 欲深さ
    経営者だけでなく、それで利益を上げていた株主や政治家、消費者も。 消費者は、どこでどうつくられたかを気にせずに目の前の選択肢からベストな商品を購入しただけ。 (これを欲深さと表現するのは不適切な気もするが、聖書での第三の罪、欲深さとかけただけなのかもしれない)

これをどう防ぐか。 今日のビジネスは複雑になりすぎていて規制や金融政策だけではコントロールできない。 リスクをとって短期的利益をあげることを推奨する株式市場や給与体系ではなく、コミュニティに貢献したいという人間の欲求をうまく活用するべきなのでは、と曖昧に結んでいる。 そのために働きやすい職場にすることを示唆しているけれど思い付き的でいかにも弱くて、その分、ほんとに解決することはできないのではないかと暗い気持ちになる。

昨今、ニュースをにぎわせている東芝の問題もこれと同じように思える。 組織の階層が広がって海を越えて管理・監視不能になって、成功体験の積み重ねとマーケットから評価されることで進むしかなくなってしまう。

どこで戻れただろうか。どんな組織や施策があれば止められただろうか?

感想

ひさしぶりに読書メモを公開。 経営の失敗については、日本軍が勝ち目のない大戦をつきすすんだ「失敗の本質」と似た話は多く、組織の失敗の理由は万国共通なんだなあ、とも思えた。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

人が集まる組織には、それ自体に問題が内包されていることを突きつけられたようで、たとえば憧れのテラフォーミングや宇宙開発などの巨大な事業は失敗しそうだと悲しくなった。 やっぱり小規模な組織が自律分散してつながっているほうがよいのかもしれない。産業や技術は進んで強力な道具を使えるようになって物理的には反映していても人間の精神は進歩しないのでしかたないか。

本書は企業というよりは経営者・経営陣にフォーカスをあてている。 ここについては設立の古い大企業と若いベンチャーでまた質も量も違いそう。ベンチャーやスタートアップ方面ではVCまわりでたくさん知見があるとは思うのでよいものあれば読んでみたい。

社員も楽しく働けて稼げる三方よしな会社にしていきたいもので、いい意味でヤバい経営にしていきたいものです。

ヤバい経営学―世界のビジネスで行われている不都合な真実

ヤバい経営学―世界のビジネスで行われている不都合な真実

*1:日本語で経営というとmanagementが訳になりそうだけれど、経営学修士MBAはBusinessだし本書も経営にフォーカスしていたので経営とした。

RailsでFacebookAPIを叩いてみる

3行まとめ

  • ゆるふわRails野郎がFacebookGraphAPIをつかってFacebookの投稿を取得してみた
  • Ruby(Rails)でFacebookGraphAPIさわる情報がなかったので書いてみた
  • Railsで超おもしろサービスつくっているけれど、まわりにRails相談できる環境があまりなく、よい設計ではない気もするのでご意見いただきたく晒してみる*1

前提

  • FacebookGraphAPI v2.8
  • Ruby2.3.3、Rails4.2

やりたいこと

Railsで動いているWebアプリ上でFacebookの投稿を表示したい。

背景

やったこと

FacebookGraphAPIのAppトークンを取得

Facebook for developpersにアクセスしてアプリを追加する。 https://developers.facebook.com/apps/

ユーザトークンを取得する(ここで取得するトークンは有効期限が1時間なので注意) https://developers.facebook.com/tools/accesstoken/

facebook graph api exploreでAPIを試してみる(めっちゃ便利、だけれどドキュメント多くてなにでなにができるかわかりにくい)

https://developers.facebook.com/tools/explorer

トークンのアイコンをクリックして、user_tokenを取得を選択し、許可を与える項目をチェックする。たとえば投稿を取得するのであればuser_postsにチェックをいれる。 f:id:daaaaaai:20170320220812p:plain

たとえば、postを取得するのであれば、APIのバーに以下のように設定して送信を押す。うまくいくと、取得されたjsonが表示されるはず。

{アプリ名}/feed

RailsAPIをたたく

model以下に素のrubyファイルをつくる。

class FacebookViewer

  # 一般的なメソッドなのでほかに使うものがあればヘルパークラスに移す。
  # この記事を参考にした(コピペ)
  # http://qiita.com/awakia/items/bd8c1385115df27c15fa
  def self.get_json(location, limit = 10)
    raise ArgumentError, 'too many HTTP redirects' if limit == 0
    uri = URI.parse(location)
    begin
      response = Net::HTTP.start(uri.host, uri.port, use_ssl: uri.scheme == 'https') do |http|
        http.open_timeout = 5
        http.read_timeout = 10
        http.get(uri.request_uri)
      end
      case response
      when Net::HTTPSuccess
        json = response.body
        JSON.parse(json)
      when Net::HTTPRedirection
        location = response['location']
        warn "redirected to #{location}"
        get_json(location, limit - 1)
      else
        puts [uri.to_s, response.value].join(" : ")
        # handle error
      end
    rescue => e
      puts [uri.to_s, e.class, e].join(" : ")
      # handle error
    end
  end

  # FacebookGraphAPIからkeyを含む項目を取得する。
  def self.get_fb_items(key)
    # API spec
    # https://developers.facebook.com/docs/graph-api/reference/v2.8/page/feed
    result_array = []

    begin
      accecc_token = ENV.fetch('FB_ACCESS_TOKEN')
      fb_posts_json = get_json("https://graph.facebook.com/v2.8/#{アプリ名}/feed?access_token=#{accecc_token}")

      # FacebookGraphAPIからはdata以下に各項目のhashがはいったjsonが返ってくる
      fb_posts_json['data'].each { |content|
        result_array.push(content) if content.key?(key)
      }
    rescue => e
      p e.message
    end

    return result_array
  end
end

クラスメソッドばかりだけれどこんな感じです。 エラー処理が二重になっていてあまりよくない気もする・・・。

この最後のメソッドをcontrollerでよんでインスタンス変数としてviewに渡す。さらにパーシャルのfb_posts変数に渡すとこうなるかな。 (実際には日付表示やsimple_formatあたりはhelperに書いたものを使っています。とにかくtruncateメソッド便利。)

<% fb_posts.each{ |post| %>
<dl class="newsList_item">
  <dt class="date"><%= DateTime.parse(post['created_time']).strftime("%Y.%m.%d") %></dt>
  <dd class="text"><%= simple_format(post['message'].truncate(160, omission: link_to("(もっと見る)",'https://www.facebook.com/'+ post['id']))) %></dd>
</dl>
<% } %>

テストを書きます(テストファースト、ふだんもあまりできていないけれど、仕様を手探りするAPI叩く系だともっとできない)。 ふだんからテスト書くの迷うけれどAPIのテストを書くのはより悩む。 テストで本番のAPIサーバ叩くのは望ましくない気がする、そもそもローカルの環境変数にいれている本番のaccess_tokenつかうのも不穏。

けれどFacebookさまのAPIということと、テスト頻度もぼちぼちということ、そして本番のAPIにアクセスできないことをいちはやく検知したいということでテストでも本番にアクセスしてみている。 (失敗した場合書けていないしもっとよいやりかたありそうな気がするのでご指摘いただければ幸いです・・・)。

require 'test_helper'

class FacebookViewerTest < ActiveSupport::TestCase
  test "should get response" do
    result_hash = FacebookViewer.get_fb_items_with_cache('message')
    assert result_hash.size > 0
    assert result_hash[0].has_key?('id')
    assert result_hash[0].has_key?('created_time')
    assert result_hash[0].has_key?('message')
  end
end

あと、Herokuを使っている場合は環境変数を設定するのを忘れずに。

heroku config:set FB_ACCESS_TOKEN=‘トークン文字列’ –app アプリ名

Railsでキャッシュを設定する

さて、これでなんとか動くしテストも通っています。ただ、100人がアクセスしたら100回API叩きにいくというのはいけていないですね。 とりあえずキャッシュします。

Rails のキャッシュ: 概要 | Rails ガイドです。

  # 20分は適当・・・
  def self.get_fb_items_with_cache(key)
    Rails.cache.fetch("facebook_#{key}", expires_in: 20.minutes) do
      get_fb_items(key)
    end
  end

20分というのは適当です。

わからなかったこと

こういう、ActiveRecordとあまり関係がないクラスをRailsのどこにおくか。 とりあえずmodelにおいた。MVC的にはMっぽいけれど、MのなかでActiveRecordを継承しているものとそうでないものが混在しているのはちょっと気持ち悪さもある。DDD的にはアプリケーション層のサービスっぽい気もするけれど、それをRailsのファイルパスでどう表現するべきだろうか。

Herokuでの環境変数の管理。 とりあえず新しい環境変数を使うことになったら、ローカルの.bash_profileにexportを書いて、Heroku上で変数セットして、Wikiに書くとやっているけれど、チーム開発で共有するときはどうするんだろう。config/environments/development.rbに書くといいんだろうか?

技術メモの書き方。わりと迷いがあってやってみたメモなのでQiitaではなく個人ブログに書いてみた。 こういう記事を書きやすくするためには、なにか新しいことに取り組むときや、問題を解決するときには手順メモを書きながらやるべき。ググりながら試行錯誤していつのまにかうまくいっているみたいなのやりがちだけれど、未来の自分が困るし知見を共有できないのでメモをとろう。

*1:エンジニアリング力(ちから)をあげておもしろサービスをよりおもしろくしていきたい

寿司ワークショップ#3 てさぐり編

冬も終わりに近づき、ちらほら暖かい日も続くようになってきたけれど、曇り空ということもあってまだまだ肌寒い日に開催しました。 季節の変わり目、旬の変わり目。魚も人も出会いと別れの季節で、心もそぞろ。気分も浮き沈みします。

さっそくやっていきます。今回も相変わらず繁盛している食彩市。 ひととおり歩いて今日はこんなものを購入。

  • マナガツオ 840円
  • サバ 1080円
  • スズキ 540円

迷ったもの太刀魚1500円、車エビ180円。貝やエビは挑戦したいけれどまだまだノウハウがない。

本当はサワラを食べたかったけれど、いまは時化で高騰しているということであった。10kgもので20,000円だとか!こういう魚の市況、どうすると知ることができるのだろう。

あとはノドグロこと赤ムツがたくさん売られていた。乱獲されていなければよいけれど。あと、アジは全然売っていなかった。知らない魚も多いのでぼうずこんにゃく先生の魚の便利帳を片手に買い出ししようかな。

からだにおいしい魚の便利帳 (便利帳シリーズ)

からだにおいしい魚の便利帳 (便利帳シリーズ)

さて、今回はマナガツオをやってみました。 なぜ買ったかというと目がクリッとしていてカワイイからです。しかし、これは寿司の技術体系に捌き方が載っていなくて動画を検索した。 捌くのはわりと簡単にできたけれど、皮がうまく剥がせず不格好になる。

この記事をもうちょっと読んでおけばよかったけれど、自力でやろうとしてしまって失敗。一人だけでじっくり調べてやったほうがよいのかもしれない。

失敗しない皮の引き方

とりあえず、身がしまっていて淡泊なんだけれど味があってうまい。味とはなんなのだろう。

サバ。皮に平行気味な中骨があってなかなか抜けず困った。アニサキスには要注意です。 これは炙りにしたのだけれど脂がいい感じで最高。

スズキ、冊でかったけれどそのままだともったいなかった。こぶ締めにして塩つけて食べるとよいのかも。次回は事前の仕込み時間を確保したい。

今回の寿司デッキ

ネタの準備ができるころ、ちょうど酢飯がたきあがる。 ただ、普段通りにやったつもりでも酢飯があまりうまくいかない。ちょっと酢が多かったかも。これについてはまた別途整理してまとめてみます。

酢飯がべたついて米が手にくっつきやすく、はじめての参加者にはストレスを感じたようで申し訳ない。

Youtube動画というインターネットによる学習の高速道路を利用してやってみたけれど、やぱり小手返しでなぜ寿司が回転するかを自分も理解していなく、うまく説明できない。いろいろ動画をみているけれど、謎の力で回転しているように見える。 機会をつくってプロの方から学んでみたいけれど、いろいろ流派があって、誰から学べばよいかよくわかっていない。

とはいえ、自分で寿司を握ることができうると気付けたことによってはじめてのひとはよろこんでいたようでよかった。このzero to oneの発想のジャンプ、けっこう大事だと思っている。

最近だと、コーヒーを、自宅でも2000円くらいのミルがあれば豆を挽いて淹れることができるというのはわりと発想のジャンプがあると思っていて、どうやったら多くの人にこのジャンプしてもらえるかを考えている。 たぶん、だれかセレブかインフルエンサーがそういうことをブログに書いたりテレビで言ったりするのがいいと思うんだけれど、そうするとステマな方向になっていく。 とりあえず、コーヒーを家で淹れるのうまいのでみんなやりましょう。

そんなこんなでこんな形になりました。

おいしい。食後のほうじ茶がまた美味しい。

よかったこと。

  • 会社の先輩が、青山ファーマーズマーケットkawaiiガールに売り込みされてつい買ってしまったという山ワサビをもらいうけ使った。白くてうまい。ふつうのワサビほど強くはないのだけれど香り高い。

  • 金属の皿。手軽にあぶれて便利。
  • 出刃包丁。捌きやすい。便利。

下村工業 ヴェルダン 出刃庖丁 150mm OVD-15

下村工業 ヴェルダン 出刃庖丁 150mm OVD-15

次にやっていくこと

  • もっと普段から酢飯をつくって酢飯感覚を磨く
  • ちゃんと疑問を調べる

ふだんから魚を気軽に調理できる環境にあるとよいのだけれど、近くのスーパーは午前中はいい魚おいてあっても夜にはほぼ残っていないからなかなかできない。会社に魚をもっていくわけにもいかないし・・・。週末だけでもやっていきたい。

次回は4月8日の予定です。2017年度、はじまるよ!

おまけ

エーゲ海の様子です。

これまでの活動

dai.hateblo.jp

dai.hateblo.jp

寿司ワークショップ#2 激闘白身魚編

こんにちは。バレンタインデーも過ぎましたがみなさまはいかがお過ごしでしょうか。

少しずつ暖かくなってきています。 野菜界隈では冬野菜もとうだちかけはじめ、端境期に入り始めます。生産者さんが貯蔵していたタマネギやニンジンもつきかけているし野菜関係はたいへんな時期。今年はどうなるでしょうか。早く春野菜食べたいですね。 さて、野菜の話からはじめましたが、今年から月一でやるぞと宣言していた寿司ワークショップも2回目を迎えましたので報告します。

前回の様子 dai.hateblo.jp

近所の市場は卸売のみで我々一般消費者への小売はしていないのですが、月に一度、一般市民に開放する食彩市というものがありましてこれに合わせています。 普段は第二土曜なのですが今月は祝日と重なっていたので第三土曜である今日。

いつもどおり人がいっぱいです。 炊飯器をセットして参加者の西村くんと買い出し。

先月はどこでも並んでいた、あんこうやふぐがまだまだあるとはいえ減って、サバやツバス、ニシンっぽいものが目立ち始めました。赤むつやキンメダイも目立った気もしますが自分がそれにばかり目を行っていたからかもしれません。

今日はほうぼうと、鯛の冊、あと青身魚を買おうと思っていたのですが、キンメダイが一尾1080円とわりとよかったのでつい購入。

  • 鯛の冊 345円(税込)
  • キンメダイ 1080円(税込)
  • ほうぼう 540円(税込)

あとで調べるとキンメダイの旬は4月から11月とのことではずれ。ただ、深海魚なので旬はあまり関係ないという説もある。

様子。結果として見た目が赤い白身系が多く偏っています。 すじこを買っていくらを漬けたかったけれど京都のお店ではほとんど売っていなさそう。通販しよかな。

さばき

キンメダイは鱗がすごい。包丁の背でガシガシとります。内臓はいろいろ入っているけれど、どれを食べていいかよくわかっていないのでとっておく。出刃包丁欲しい・・・。 肛門から切らずに内臓を洗います。血合いがほとんどない。 あと、本では湾曲した中骨があると書いてあったけれど中骨一本もなかったのはちょっと気になる。

ほうぼう。 ひれの青さがとってもきれいでキュートな顔つき。

あとやたらぬめぬめするので棕櫚のタワシで洗う。 皮がかなり固くて捌くのがたいへんだった。はじめはブスッと刺してあとは引いて切るのがよさそう。 中骨を抜くときに身が割れてしまうのどうしたらいいのだろう。 皮はめりめりはがせて気持ちいいけれど鯖のようにきれいには剥がせない。煮つけに入れるとうまそうなのであらはとっておきます。

寿司デッキ

まず、キンメダイの桜色の格子模様と身の白さのバランスがめっちゃきれい。 ほうぼうもきれい。鯛の赤みもよい。

握り

まず、特筆すべきはキンメダイの脂。手がべとべとするほど。あぶらの美味さ。 皮はかみ切りにくい箇所もある。

ほうぼうは謎のもっちりとした旨み。酢飯との相性よい。

鯛。ついそのまま食べたけれど、ちょっと物足りない。やっぱりこぶ締めにしておくべきだったか。塩出すの忘れていた。

流れとしては、やっぱり小手返しがするっとできずもたつく。ここは、プロに教わりたいし、何度も練習すべきところかな。 あとは、見た目はまあまあだけれど、良し悪しを評価できるほどの知見がないのかもしれない。

振り返り (KPT

次回もKeepすること

  • 買い出しから行けてよかった。
  • 10時くらいからという時間、これはこれでよいかも。明るくて写真撮りやすいし。
  • 夜は酒飲みながらできてそれはよいかもしれない(昼に飲んでも誰もとがめない!)

発生したProblem

  • ガリとワサビ なかった・・・
  • サラシ持ってくる必要があった(せっかく10m買ったのに会社に置きっぱなしだった)
  • 借りもののバーナー、調子悪かったので使わなかった。自分の私物のもってこよう(これも会社におきっぱななしになっている)。
  • イベント立てるのが遅れた。2週間前にはたてよう
  • 出刃包丁欲しい。ほうぼうの背中固い。

  • 事前にこのすぐれたほうぼうについての記事を読んでおくべきであった・・・

一尾400円のホウボウを隅々まで調理した記録 - ぶち猫おかわり

次回Tryすること

  • compassでイベント立てよう
  • 予習動画の通知。
  • 食後のほうじ茶ほんと美味しいけれど途中で誰でも淹れられるようにセットしておく

感想

梅田望夫が語ったインターネットによる知の高速道路により、ある程度のレベルまでの学習はきわめてたやすくなった時代と言われている。 これは当時よりも、Youtubeでの教育コンテンツが爆発的に増えているいまはよりすすんでいる。 ありがたいことだ。しかし、情報が氾濫しすぎて、なかなか価値を判断できないようにも感じる。特に、寿司のような身体性が大きいものは言語化も難しく伝えがたい、これは自分が理解していないということもあるけれど。そういう意味では、ワークショップ形式で人にもやってもらって教えるというのは、自分がなにをわかっていないか気付けてとてもよい。 また、捌く・握るといったポイントの情報は多くとも背景、とくにどう仕入れるか、魚をどう選ぶべきかはなかなか情報がない。

ただ、いちどやってみることによってGoogleでどう検索するべきかわかるようになった気もする。これは、東浩紀の「弱いつながり 検索ワードを探す旅」を連想する。ここでは、旅という手段が特に取り出されていたけれど、体験型イベントも大きいと思えてきた。そういう文脈では、アグリツーリズムや脱出ゲームなど、これまですこし冷ややかに見えていたものを自分は過小評価していたかもしれない。

そういうわけでみんなも寿司やりましょう。

次回予告

3/11(土)の予定です!京都、JR丹波口駅徒歩5分の建物です。やっていきましょう。

寿司ワークショップ#1 巻き寿司練習会

大寒が過ぎてからは暖かくなってきましたが、今日のように雨が降るときゅっと冷えますね。 そんな雨の日曜日に寿司ワークショップを開催しましたので報告いたします。

寿司ワークショップとは

自分が寿司技術を向上させることを目的とした会です。 人々が集まることでたくさん作っても食べてくれるのでたくさん練習できて便利。また、いっしょにつくって食べることで会話も広がって、寿司職人に欠かせないコミュニケーション技術を向上させることができるという仕組みです。

去年は思い立ったときに特定の場所(職場)でしかやらず行き当たりばったりでしたが、今年は月一で開催して腕を磨く予定。 そして美味い寿司をつくれるようになってあの子に振り向いてもらうんだ(錯乱)。

今回は節分直前であることから巻き寿司を練習するということを目的としました。 昨今の寿司シーンのグローバル化、多様化においては、具を選ばない巻き寿司のポテンシャルは高く、寿司を志すものであれば避けては通れません。

参加者は京都のインターネット野郎中心に7人の有志*1。前日のお声掛けにもかかわらず集まってくれて一人身人間の身軽さに感謝です。

様子

おつまみとか具。野菜系多し。

ネタ系。 これとホタテとあなごが主力。

パスタくんのサブカル巻。ほんとは上部は1cm残して米をしきつめる必要がある。

アナゴがはみ出しています。アナゴの頭をたべると組織のおかしらになれると言われています。

こんなの。

彩。

米がなくなりそうでネタが余ってきたのでのせまくったけれどふにゃふにゃになった。

米がなくなったあと。

全体的にいきあたりばったりでエンジョイ巻き寿司になりました。

材料について

酢飯。会場の備品の都合で5合だけ。炊いたらすぐ次のを炊けばよかったと後悔している。 酢は、これまではだいたい自分であわせていたのだけれど、今回は京都の林孝太郎造酢さんの京風すし酢というのを使ってみた。360mlで530円ほど。ほのかにりんごの酸っぱさと甘さがあってけっこう好き。

ホタテ。いきなり巻き寿司なのにホタテからかよ、という気はしますが、参加者の1人と以前に話したときに、ホタテと牡蠣は圧倒的に牡蠣でしょ、と言っていたので出しました。ホタテ、甘くてほんと美味しい。 今回のは中くらいの大きさの貝柱のみ8つで1400円くらいのもの。以前に殻付き大粒10個2600円のものを握ったときはほんとあまくてほろりと崩れる酢飯と最高にあってほんとよかった。 ホタテだけちゃんと握った。酢飯がもうちょいあるともっと握れたなあ。

鯵。1尾120円を2つ。ぜいごをなかなか綺麗に切れないけれど3枚卸はややできるようになってきた。ただ、背骨を切るのに出刃包丁欲しい・・・。 あと、骨抜きを職場においてきてしまっていたのが失敗。今回は巻き寿司なので中骨に沿って切って取り除けてよかった。

まぐろ。スーパーで600円くらい。雑に煮切をつくって30分くらい漬けにした。美味い。

サーモン。冊で買った。400円ほど。 イクラ。衝動買い。小さなケースで950円。でもうまい・・・。

あなご。decobisu氏の姫路土産。うまい。

ノリは特筆すする点ないものです。

その他 ほうれん草とシメジのお浸し。うまいんだけれど、この時期のほうれん草はそのままで十分甘いのでもったいない食べ方だった。

しいたけの甘辛煮。うまい。 薄揚げ。しいたけの甘辛煮の残った汁で炒めた。うまい。 ダイコン葉のきんぴら。薄揚げを炒めた鍋で、しいたけの石突を刻んだものと生姜をいれてごま油。ごはん進みそう。

あと、ダイコンを炊いたやつとダイコンの上部を刻んでポン酢につけたものを前菜にした。

ツナ缶。ツナは油を切るのを忘れて巻いてしまって汁っぽくなって失敗。マヨネーズで和えればよかったけれどちょうど切らしていた。 アボガドはふつうに酢飯とあう。

かんぴょう。戻して味がついたやつがひとふくろ98円で売っていて買った。わかりやすいうまみがあって便利。

にんじん。短冊にしてレンジ1分かけただけだけれど甘くてよい。

あと、かいわれダイコンはさわやかでいい。三つ葉かセリかあたりもあってもよかったかな。大葉は季節外れだけれどよい。

巻き方

自由にやってもらったけれど、意外と形になった。いきなりまるっと丸めようとするのではなく、ネタまでをいちどつつんでから全部つつむ、螺旋なイメージがよいのではと思った。 教本をみると、上端1cm残して、下はちょっと残す、となっていたけれど米が少ないことが見えていて後半はけっこうけちった。 とりあえず、ほぐれようともネタと酢飯と海苔があればうまい。 米の量が足りなくて10本くらいしか巻けずあまり練習にならなかったかもしれない・・・。

振り返り

Keep

  • 定期開催しよう

Problem

  • まな板が足りなかった。3つは必要。巻き寿司をまく台としてと巻き寿司を切る用とほかのものを切る用。
  • 米は一人1合は必要か(平均年齢27歳男6人女1人)
  • サラシがなく、綿100%の布巾で代用した。これ自体はよかったが人数分用意すべきだった。
  • 場所。できれば流しが広くて作業台と近いところがいい。
  • あまり写真撮れなかった。調理を仕切る人と別に写真撮ってくれる人ひつよう。
  • 参加者がインターネット野郎(女子含む)に偏っていて語彙がおかしかった。ひとり、界隈ではない友人にも参加してもらったけれど、不思議な人々で不思議な言葉でしたね、と言われた・・・。

Try

  • 予習して実践の学習効率あげよう。プロジェクターで動画をリピートする。
  • 終了後に使えるようなハンドクリーム用意しておく(手酢をつかったあとは手が荒れる)

今後の予定

2月は第三土曜日の昼に開催します。京都の丹波口駅近く。ご興味のある方はお声掛けください。 (初回の今日は日曜だったけれど、日曜は市場があいていないのであまり好ましくないのでは、と思っている)

まだまだドアマチュアですがともに腕を磨き学びあえる仲間を募集しています。

参考文献

d.hatena.ne.jp

やる気になる記事。自分ももっと洗練させていきたい。

すしの技術大全

すしの技術大全

昨年買ったなかで一番高い本。なぜか今日の参加者の半数くらいみんな知っていた。

*1:7人中6人がはてなーで、6人がめしにしましょうを読んでいて、6人が男で、4人が30歳で、5人がITエンジニアで3人が留年もしくは中退者で、2人がスマフォにhitodeくんのキラシールを貼っていた

ボーイミーツビーツ

こんにちは。 クリスマスでしたね。通勤中に通り過ぎる街が浮き立って見えましたが、自分が浮き足立っているからなだけかもしれません。

疑似ボルシチ

さて、ビーツがあったのでボルシチをつくりました。

そもそもボルシチとはなんなのでしょう。ビーツをつかった煮物という認識で、誰かから、ボリシェビキのシチューのことだと言われてついつい信じていましたけれどWikipediaを見るだけでも諸説あるようですね。すくなくともボリシェビキは関係なさそう。

とりあえず、いくつかのレシピを探した結果、このサッポロビールのレシピをもとにつくっていきます。ビール会社がコンテンツをつくっているのですね。メーカーのメディア化を感じます。日本の大手メーカの中ではサッポロの黒ラベルが好みです。

www.sapporobeer.jp

ビーツ、赤黒くてごつごつしたベヘリットのようなものなのですが切ってみると濃い赤色の野菜です。 写真は撮り忘れたのでかわりに赤カブの写真を載せます。

※ これは赤カブです。ビーツではありません。

切ります。並べるとおもしろいですが戻すのが面倒になります。ニンジンは赤と黄色の2種類ありました。

バターを火にかけます。

肉を炒めます。もとのレシピでは牛ですが、高いので豚バラブロックを分厚く切ったものを使います。

野菜を入れます。

トマトとビーツをいれて煮ます。 トマト缶はレシピでは半分となっていますがうっかり全部入れてしまいました。赤色のほとんどはトマト缶ということになります。

煮ているあいだはなにかつけあわせに芋かブロッコリーでも茹でるとよさそうですが今回はありません。 かわりに翌日のつくりおきに、ニンジンとレンコンできんぴらごぼうを炒めました。あいかわらずきんぴらの火加減はあいまいです。

さて、だいたい火が通ったので火の通りの速そうなビーツの葉をいれます。

こんなふうになりました。後ろにあるのはスーパーで半額になったバケットです。

最後にサワークリームをのせます。サワークリームは生クリームを乳酸菌で発酵させたおいしいものです。スーパーで200mlで200円でした。パンにハムといっしょに挟みたい気持ちになりました。

ボルシチです。旨みもあってパンも進んで美味しい。あと肉が分厚い。低温調理で角煮的に柔らかくするとレベルが上がりそうなので次回の宿題です。 しかし、たぶんこれはボルシチというよりはビーツ入りトマト煮な感もしてきました。ロシア人はどう思うでしょうか。

ボルシチピロシキと並ぶロシア料理の代表、と思っていますがじつは正統的なものを食べたことはありません。ロシア料理屋が少ないせいです。 機会があれば四条河原町キエフに本物のボルシチを食べに行きたいと思っているのでご興味ある方いらっしゃいましたらご一緒しましょう。

煮テンプレート

さて、みなさまの多くは自分と同じようにボルシチをつくったことはないのではないかと思います。 しかし、もしみなさんが興味をもって疑似ボルシチをつくったとすると、この料理、どこかでつくったことがあるな、という考えが湧いてくるはずです。 ビーツがなければふつうにトマト煮ですし、途中までカレーと変わりません。

そう、いくつかの煮ものには大きな共通部分があるのです。 ここで、その共通部分、煮テンプレートについて書いてみます。

今回のボルシチは、ニンニク、トマト缶、ローリエ、固形コンソメ、 塩コショウ、 バターで味付けしました。 しかし、ここでニンニクではなく生姜を、トマト缶や固形コンソメのかわりに醤油とみりんと砂糖をいれていたらどうなっていたでしょう。肉じゃがです。 肉がなくてゴボウとシイタケをいれていれば筑前煮です(これらの定義については諸説あります)。 もし、固形コンソメの代わりにカレールーを叩き込んでいたらどうなっていたか、カレーです。 トマトケチャップと酢と砂糖をまぜたものに鶏ガラスープを足すとどうでしょうか。これは酢豚です。 酢豚について、個人的には豚よりも鶏モモをいれることが多いです。これは、学生の頃にこっそり好意を寄せていた女性の得意料理で酢鶏と称され人々から愛されていました。キクラゲが欠かせません。これまで酢の物が苦手だった自分に、酢の美味しさを教えてくれた大切な一品です。同じく酢の価値に気付かされたものは、寿司を除くと、東京駅ラーメンストリートの六厘舎です。つけ麺に酢をからませて旨みを引き出す可能性について学びました。

さて、すこし脱線してしまいましたが、共通する部分をおわかりいただけたでしょうか。まず、メインの肉と、タマネギとニンジンを油で炒めることからはじまります。 これは、肉についてはメイラード反応を発生させて香ばしくし*1、タマネギは甘くし、ニンジンは脂溶性のカロテンの吸収率を高めることを狙っています(要出典)。 そこから水分をいれて煮ていきます。ここではボルシチの場合は、トマトのグルタミン酸、肉じゃがの場合はカツオ出汁のグルタミン酸筑前煮の場合はシイタケのグアニル酸などダシの影響が大きく、洋風にする場合はローリエをいれるとやはり香りが違います。

あとは、それぞれに好きな材料をいれたり、冷蔵庫に潜んでいる野菜をいれることができます。今回のボルシチも、キャベツはなかったのでビーツの葉で代用しています。

味付けは、今回はずるして固形コンソメをいれましたが、お好きなものをいれれば大丈夫です。 肉じゃがのように材料に味がしみてほしいものは早めの味付け、カレーのように香りのとぶスパイス系は後半にいれるのがよさそうですが、それぞれノウハウがあるようで未整理です。

このように、油で肉とタマネギとニンジンを炒めて水をいれて煮るところまでは同じで、煮るときになにをいれるか、煮てからなにをいれるかで結末は大きく分かれてしまうのです。

もちろん、ちゃんとインドカレーをつくろうと思えば最初にクミンを炒めたり、タマネギをあめ色に煮たりと細かい調整は必要です。 ただ、肉とニンジンとタマネギがあれば、最初に材料を切って炒めるところまでは同じで、そこから気分や冷蔵庫の中身次第で味付けを変えることでいかようにもなってしまうことを伝えたい。 ある種のコンストラクタを共通化したBuilderパターンとも言えるかもしれませんね(言えない)。

自分も大学生も折り返し地点になってまともな料理をするようになるまでは酢豚とカレーが途中までいっしょだとは思えなかったと思います。材料をきって炒めて煮るだけで量が簡単につくれる煮物は、バリエーションも豊富で自炊初心者にはうってつけなので自分が料理をはじめたころに知っておきたかったなあ、と思い書いてみました。 またみなさまの知見もご共有ください。

以上です。来年もよろしくお願いいたします。

*1:上記のボルシチは、鍋のそこに肉がくっついたので挫折している・・・

2016年読んだ本の棚卸し

こんにちは。いつのまにか2016年も終わりそうですね。あっというまです。 2016年2月までは毎月か隔月かで読んだ本について羅列していたのだけれど、3月以降、生活リズムの変化という名の怠惰により止まってしまっていたのでまとめてたなおろし。

この1年は読書量が落ちている。寝る前に布団のなかでしか読む時間とれていない。もっと休みをうまい具合にとって本を読んだり文章を書いたりしなければ。そのなかでも本以外に生き方、働き方、考えたことの振り返りもしたいところ。

キッチンコンフィデンシャル

キッチン・コンフィデンシャル(新装版)

キッチン・コンフィデンシャル(新装版)

ドラッグとセックスと暴力と異常者と食の波乱万丈のシェフ人生。 テンションおかしくて最高の気持ちになる。日本とはだいぶん事情は違うだろうけれど飲食業はやはり修羅道だ。 レストランの裏側やなにを注文すべきか、料理人の符牒などおもしろい。

うまく表現しようと思ったけれど、本の裏表紙に書かれたこの文以上に興味を引くようにはかけないな・・・

キッチンには秘密がいっぱいだ。夏の避暑地のレストラン・ウェディング。アルバイトの大学生が目撃したのは客も花婿もほったらかして、厨房の裏でシェフとセックスに励む花嫁の姿…。たちまち大学を飛び出し、料理の世界に飛び込んだ著者が出会った奇人・変人・荒くれ男に料理界のあの手この手。月曜に魚は食べるな?人を殴り殺せないようなものは鍋とは呼ばない?ウェルダンを注文してくれてありがとう…?超有名店シェフが暴露するニューヨークの喧噪、料理人の手の内。

日本版、似たようなものないだろうか。

ビジネスリーダーにITはマネジメントできるか

ビジネスリーダーにITがマネジメントできるか -あるITリーダーの冒険

ビジネスリーダーにITがマネジメントできるか -あるITリーダーの冒険

原題は”The Adventures of an IT leader”という小説。 上場した新興金融ITサービス企業にて、ITの素養がないビジネス部門の部門長バートンが経営体制の変更にともないCIOに抜擢され、そこでカルチャーショックやトラブルにぶつかりながら学びを深めていくサクセスストーリー。 章ごとに読者に考えてみましょう、というコーナーがあるストーリー仕立てのビジネス書。 Web2.0が流行ったころの本だし、日本と慣習の違うアメリカでの話だけれど、ベンダーマネジメントの苦労やセキュリティ予算の算出方法、組織内での根回し的コミュニケーション、優秀なエンジニアをつなぎとめる方法、アジャイルプロジェクトマネジメント、IT投資の正当性などめちゃめちゃ興味深い。 邦題はちょっとださいけれど、SIerにつとめていたりビジネス寄りのことに興味があるエンジニアが読むとおもしろい、かもしれない。

特におもしろかった概念

ITマネジメントのリーダーシップの3段階

  1. 1つのシステムやプロジェクトに関するマネジメントをひととおりこなせる段階
  2. プロジェクトのポートフォリオインフラストラクチャーのマネジメント、同時にエンジニアチームのリーダーとしての役割ももつ
  3. 戦略と資源のマネジメントに注力する段階

組織の成長によってITリーダーシップが変化する3段階

  1. コントロール指向:心やさしき独裁者、機能別アプリケーション
  2. エンタープライズ指向:シニアマネジメントチームとの関係強化、アプリケ−ションポートフォリオの管理、セキュリティ/コントロール
  3. CIOの設置。経営戦略との連携強化、インフォメーションリソースの活用

ITシステムのポートフォリオ

  • 競合と比べて優位になるITシステムは売上を伸ばすための攻めの投資だが、それも競合が追いついたり保守フェーズになると守りのコストがかかり続ける
  • 企業内で、攻めの投資と守りのコストの比率を監視する必要がある

これが長期的な見積もりをたてることが難しいのでITは金食い虫になってしまうのかもしれない。

人類が知っていることすべての短い歴史

人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)

人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)

これを知った日はよく覚えていて2011年3月10日、増井先生(先生付けはいやがっていたこともあるけれど先生だ)がインタラクション2011でやったビブリオバトルで紹介してくれたもの。 元素の発見、量子論への洞察、地球の歴史、生命の発生、進化論、人類の起源などなどに興味を持ったベストセラー作家のビル・ブライソンが書いた科学めっちゃおもしろいという本。分厚いけれど、読みやすく、新しく知ることも多かった。自然科学者列伝ともいえる。 あと、科学界の残酷さや、科学者もよく間違えるし嫉妬をしたり不正をしたり足を引っ張ったりすることもわかって厳しい気持ちにもなる。ともあれ、すごい本。高校生の時に読みたかった。

災害ユートピア

震災直前の2010年12月に発売された本。災害は災厄だけではなく、それがつくる「よいもの」もあるよ、という本。 わりと感傷的で主観的な文章でよむのつらかったけれどまあまあおもしろかった、 一行でまとめると、多くの災害で、エリートはパニックを起こすが民衆はうまくやっていくよ、ということ。 エリートがパニックを起こすのは、彼ら彼女らが出世競争を勝ち抜いてきたからこそ人を信用しないからではとのこと。 民衆がうまくやっていくのは、宮台真司のいう終わりなき日常に倦んでいるから、というように読めた気もしたがどうだろう。

ちょっとだけ抜き書き。(孫引用)

社会的ユートピアの最も基本的な2つのゴールは、貧困(飢餓、無教育、ホームレス)の除去と疎外された人や孤立した人のいない社会の構築にある。 ユートピアを作ろうとする宗教的な試みは、カリスマ的リーダーや長老者がいたり、よそ者を作り出す厳格なルールのもとにあったりして権威主義的だが、宗教の絡まないユートピアは、ほとんどが自由と民主主義と権力の共有を目指すものだった。革命やユートピアをさげすむ今日の一般的な傾向は、強圧的ユートピアをめざすものの、公平と分配といった初期の理想がひどく歪んでしまったソビエト式試みの失敗を教訓としている。p34

そうだね・・・。

クライシス(危機)という言葉はギリシャ語を語源とし、何かが最高点に達し分裂する点、すなわちどう変わるにしろ、変化が差し迫った瞬間を意味する。p113 「大惨事と社会的変化」(サミュエル・ヘンリー・プリンス)の冒頭

一過性のものであれば(福島のようにではなく)、日常に文字通り破壊的な変化をもたらして地域のコミュニティを強化する側面はあるだろうけれど、それが普遍的なユートピアをもたらすことにはつながらず、やはり一過性のものでしかないとは思う。

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)

米原万理さんの翻訳についてのエッセイ。タイトルはミスリーディング・・・。 翻訳というリアルタイムコミュニケーションを支える技術、ほんとすごいと思う。尊敬。おもしろかったけれど翻訳たいへんだなー、自分にはむずかしいなー、くらいの感想しかだせなかった。 米原万理さんだと、だいぶんまえに読んだ「オリガ・モリソヴナの反語法」という過去を探っていく小説がめちゃめちゃよかった。

海のプロフェッショナル

海のプロフェッショナル―海洋学への招待状

海のプロフェッショナル―海洋学への招待状

海関係の仕事をしている女性のどんな仕事をしているかのお話し。海、生物も漁業も気候もおもしろい。高校生で読んでいたら海関係の学部悩んでいたかも。 しかし、あまり印象に残っていない・・・。

最初の一歩 最後の一歩 水野彌一

全日本でも優勝している伝説的な京大アメフト部の伝説の監督の本。勝利への方法論としてなかなかおもしろい。いくつか引用してみる。

練習、とくに身体に何らかの負荷がかかるトレーニングなどにおいて、『限界までの努力を強調することはあってはならない』ということを銘記しておかなくてはなるまい。p14 努力ではないんですよね・・・。

体力がないから長時間練習ができない。そうなると、密度を高める練習しかない。練習のとき、私が選手にいつも守るよういっていることが、一つだけある。それは、「とにかく頑張る、ただひたすらにやるというのだけは、頼むからやめてくれ」ということだ。選手に「お前は、どういう選手になりたくて練習をしているんだ、そのイメージがちゃんとできとるか。なぜ、そういう選手になれない。何が欠点でそうなれないか、その欠点を克服するために、どういうトレーニングをするんだ」ということである。 p42

ただ言われただけのことをがんばるのみんなやめましょう

「お前ら、アホやから、京大へ入れたんや。あんなばかげた受験戦争を、何の疑いも持たずに最後までやり抜く。そんなもの頭がよかったらできるか」p43

アッハイ

勝つためにスポーツをする、結果としてはそうだが、本当は、この勝つこと以上に、はるかに貴重なものがある。だからといって、スポーツは勝つことがすべてじゃなく、参加することに意義があるのだなどと、トロ臭いことをいって取り組んでいたんでは、これは勝つこと以上に大切なものも、手に入らない。

非明示的な目的をたてることはできない場合にそれを得ることができる別の明示的な目的をたてる、とも読めるのかな

真に強いチームを作り上げるために、もし私が京都大学ではなく、体力的に優れた選手を多く持ち、長時間練習が可能な状況にある大学のコーチならば、「短時間で効率よく」などということはないであろう。迷わず「練習は量だ」と強調するに違いないし、これだけやって勝てないのであれば倍やれ、というかもしれない。p53

なるほど

スポーツの本質というのは、勝負を争うことによって楽しむものだと理解している。p58

この楽しみはみな真剣だからこそ、というのはわかる

人材で左右されるため、戦略もかわってくる。 (ボールを扱うポジションは経験の影響が大きく、京大ではなかなか人材がいないため、ランニングプレーがオフェンスの中心になる)

これができるマネジメント尊敬

コーチング・スタッフの確立の重要さ。卒業したての大学院生や、留年して後輩の指導にあたる現状ではなかなか質の高いコーチングは期待できない。コーチとしての能力は、人を教えるという経験こそ大切でこれには4~5年のキャリアが必要になってくる。p58 一部改変

そうだね・・・

ある程度の実力が備わってくれば、精神力であるとか根性といったものはついてくるものである。 理性で開始し観念の世界において完結することこそ、スポーツというものの本質であると考えている。

最初から精神面に行くのは筋悪、と。

いろいろ思い出して涙出てきた。 ちなみに、自分が在学中に聞いた京大アメフト部についての噂はいくつかある。ほんとうなんだろうか・・・。

  • リクルーティングのために、アメフトに強い高校に学生を派遣して家庭教師させ、京大に合格させて入部させている。
  • 新人勧誘時に、新入生が勉強したいんで、と断ると「大丈夫!4年アメフトやって4年勉強すればいいから!」と応えられた。

とか。

自分の見える距離にいた人は、留年しまくってはいても人間的魅力もあって胸板も厚くて尊敬しているしすばらしい企業に就職しているなあ。

活性酸素の話

1ページ目が異常に厳しい気持ちになるブルーバックス

抗酸化作用があって健康にいいとか、活性酸素は健康に悪いとか言われているけれどどういう理屈なんだよ、というのが知りたくて読んでみた。 理解できるようなできないような話。ある程度の活性酸素は人体には必要だけれど多すぎると細胞や遺伝子を傷つけて癌だったり老化の原因になるよということであった。 それはわかって、活性酸素を生む煙草が影響大きいのはわかったけれど、ふつうの食物の中にある抗酸化作用のあるものが健康に良い影響を与えることはないのでは、とも思えたのですがどうなんでしょうか。

健康食品ビジネスについてはちょっと思うところがあるのでどこかで考え整理したい。

弱き者の生き方

弱き者の生き方

弱き者の生き方

五木寛之と考古学者の大塚初重の対談。大戦時に地獄を生きぬいてきたんだな、と思えた。 文字で書くと陳腐だけれど、ほんとうに濃い。自分があたたかい(そして甘やかされた)環境で育ってきたことがわかる。それが幸せなのかどうか。

ひとつ印象に残っているのは、現代人はつらい経験が少ないから弱いのでは、という考えに、でもだからこそ優しさを持てるという返しをしていること。五木先生は大戦時の苦労から、純粋なやさしさをもてないとのことであったのも味わい深く感じる。

記録を見返すと、この本を買ったのは2012年の1月、社会人1年目のときだった。そのときはなぜこの本を読もうと思ったんだったかな・・・。

田舎のパン屋が見つけた腐る経済

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

著者が経営しているタルマーリーというパン屋も、発酵と経済にアナロジーを見出す考え方もおもしろくて、発酵を追求する姿勢も尊敬する。 けれど資本主義に悪意を持ちすぎていて マルクスを都合よいように誤読して引用しているような気がする。

利潤を追い求める姿勢とそれをもたらし資本主義がブラック企業をうんで品質を悪化させる、という側面はなくはないが、その利潤を追い求めなければそれらの問題が解決できるかというとそういうわけではない。ある命題が真だとしても、裏が真であるわけではないとは、高校生もみんな習っている。

タルマーリーさんが値段が高いパンを売ってうまくいっているのも、その独自さや品質がブランド価値を発生させているから(これはこれで難しいしほんと尊敬する)で、利潤を出さないこと自体からではない。つまり、本書で提示している考えは普遍的なものではなく資本主義のてのひらの上でのいちマーケティング戦略でしかないんじゃないだろうか。

脱線するけれど、贈与経済や信頼経済、社会的企業などポスト資本主義がくる、というアイデアが流行ったりもするけれど、いまのところ資本と市場という大きな現象のなかでの補足的なものでしかない、と思ったりしています。 「主義」というと、提唱者と賛同者がいるように思えてしまうけれど、資本主義については発見者がいるだけで自給圏や共産圏の厳しい生活をしている人以外はみなその上にたっているというスタンス。 とはいえ、その内面で単純な価格という経済合理性以外の、中長期的でこれまで評価しづらかった文化やコミュニティのような多面的な側面を価格に転嫁させる動きはあって、その手段や考え方はより普及していくと思うし重要だとは思っています。 ここらへんについてはもうちょっと議論したいし考えを深めたい。

農業問題

農業問題: TPP後、農政はこう変わる (ちくま新書)

農業問題: TPP後、農政はこう変わる (ちくま新書)

頓挫しそうなTPPや農政の問題を整理している。GHQの農地開放の影響でかいですね(小学生並みの感想)。 新自由主義的な立ち位置で、生産性あげればだいじょうぶだよ、という論調でドライに感じることもあるとは思うけれど巷にあふれる扇動的で煽情的なTPP亡国論と対抗しようとするとこうなるのかな。賛成派も反対派もあまり冷静で建設的な議論ができているようには思えない。TPPについての私見はおいおいどこかで。 小泉進次郎さんが切り込もうとしている農政、利権(それで食っている人)も多いし問題だらけであるのだけれど、どうなっていくんでしょう。 数値に現れにくい農業の多面的機能を維持しつつ、効率化を進める方法はあるのかなー。

植物工場ビジネス

植物工場ビジネス 低コスト型なら個人でもできる

植物工場ビジネス 低コスト型なら個人でもできる

死屍累々の植物工場のことというよりは、太陽光利用型の低コストなものだと個人や家族経営でも負荷高くなく食っていけるよ、という話。 新規就農で食っていくためのテンプレートのひとつになるのかもしれない。要素技術の名前など知れて、サクッと読めて導入書としてはおもしろい。 植物工場、いまはトマトとかベビーリーフや葉物がメインだけれどノウハウも貯まってどんどん品目も増えて効率もあがっていくのではないかと思える。 植物工場先進国であるオランダの、大学などの研究機関と、民間のメーカー、農業者が密に連携で来ている様子はすごい。日本ではうまくいっているような事例あまり聞かないけれどなにが違うのだろう?ロケーションや規模の問題?文化?移民という安価な労働力の有無もひとつかな。

大企業が参入している閉鎖環境型のものについてはほとんど触れられていないけれど、日本でやっていくのはマーケット的に安価な露地と競争できないので海外に活路を見出してほしいと思うけれど、それを日本の企業がするには地の利もないし決定的なノウハウもないんじゃないかという気がするこのごろです。

MBAオペレーション戦略

MBAオペレーション戦略 (MBAシリーズ)

MBAオペレーション戦略 (MBAシリーズ)

「ビジネスは戦略とオペレーションの対話である」という言葉に惹かれて読んでみたけれど、あたりまえのことしか書いていなくてちょっと残念。 現場のオペレーションをテーマにしたものでは、苦心の改善のケーススタディか、トヨタ生産方式くらい抽象度高めたものかが読みたいのだけれどなにかよいものはないでしょうか。 オライリーのWebオペレーションみたいに、流通や小売や飲食やメーカーなどそれぞれの業界で人々がどうオペレーションを改革してきたか語る本、あったりしないだろうか。

ザ・チョイス

ザ・チョイス―複雑さに惑わされるな!

ザ・チョイス―複雑さに惑わされるな!

ザ・ゴールのゴールドラット博士の小説風ビジネス寓話。 いろんな言葉や考え方がでてきたけれど、一番印象に残ってて同意したのは「ものごとは、そもそもシンプルである」ということ。 既存のビジネスモデルが巨大化して組織と結合して硬直してしまったときに、どう整理をつけられるのだろう。複雑な関係性と慣習を整理できる気力と能力をもった人間は少ないし、いたとしても受け入れられる環境は少ない。 その高コストさをにスキマを見つけられる新規参入者がイノベーションを起こすという市場の変化に期待できる業界はあっても、インフラや行政などの非営利組織はそうはいかないし、自組織やこれまで所属していた組織だったらどうできるか考え込んで答えは出ない。

邪宗門

邪宗門 上 (河出文庫)

邪宗門 上 (河出文庫)

昭和初期から戦後すぐまでの激動の日本を、モデル(どう考えても大本だ)はありつつも架空の新宗教団体を、教義や歴史も創作して中心に描き、日本の精神史を著したともいえる大作。 これは、めちゃめちゃおもしろい。小説の評価はむずかしいけれど、名状しがたい読後感がある。宗教、政治、革命、虐げられたもの、人間の業を描いた世なおし思想の極限についての思考実験。

以下メモ ・3種類あるという真実の事実的真実、想像的真実、利益的真実を区別したい。 ・アストゥリアス革命やクロンシュタットの反乱など調べる。

老い方、六輔の。

老い方、六輔の。

老い方、六輔の。

亡くなる前に貸してもらって読み始めていたのだけれど放置していたら著者が亡くなったというニュースをみて読み直した。 言葉への感覚、旅への感覚が自分のものとは違ってすこしよかったけれど、食にまったく気を遣わなかったのが共感できず・・・。 うーん。しかし、これを貸してくれた年下の女の子はどう思って読んでどういう思いで貸してくれたのだろうか。

スナックちどり

じつは初ばなな(教科書を除く)。離婚や死別といった苦悩をどう受け止めていくか。自分を好きになれない人間についてというのはすこしどきっとした。あと百合です。 ばなな、よいなあ。

神去、なあなあ日常

神去なあなあ日常 (徳間文庫)

神去なあなあ日常 (徳間文庫)

ウッジョブの原作。林業のことを調べる機会があり、導入に軽い小説を読んでみるかと思った次第。林業のことや主人公の成長よりも、これからの消えゆく限界集落の悲哀を想像すると厳しい気持ちになる。。あと木とは男根のメタファーです。

親鸞

親鸞(上) (講談社文庫)

親鸞(上) (講談社文庫)

五木寛之の本。帯の感想が結構厳しい感じだったけれどきわめて人間の魅力にあふれる青春小説だった。

なんだよ「泣けた!深い感動!続きを切望!」て・・・。

それはさておき、もともと謎の多い人生でフィクション部分も多いのだけれど末法の世と聖と俗のあいだの悩みを描いている。 この親鸞の欲、おもに情欲に苦しみ克服しようとさらに悩むさまはわりと刺さる。自分だ。あとせっかく京都に住んでいるのでゆかりの地、六角堂やら吉水やらいってみたい。

この「人間」親鸞の系譜で、石川の一向一揆が発生して現代では大谷系の本願寺やら俗にまみれまくった(褒め言葉)浄土真宗になっているところがおもしろい。 ここらへんは、「京都と闇社会~古都を支配する隠微な黒幕たち」にも出ていたなあ。

ファイトクラブ

狂気の話で社会変革っぽいテンションであったがその実・・・。わりと読むの疲れる本であったがなかなかエンジョイ&エキサイティン。 筆致も視点も違いすぎるけれど虐殺器官を連想する。狂気の組織と運動がどうつくられるかは興味深い。しかし、これ映画になっているけれどどうやって撮ったんだろう。見たくなってきた。あと石鹸つくりたくなった(意味深)

横浜駅SF

横浜駅SF (カドカワBOOKS)

横浜駅SF (カドカワBOOKS)

カクヨムで読みました。なかなかおもしろかった。 出版もされてすごい。 https://kakuyomu.jp/works/4852201425154905871

さくさく読めておもしろかったけれど、これが好きならと推薦されたアドバードは挫折してしまった。

昨夜のカレー、明日のパン

木皿泉の小説。人間をいとしく感じてしまった。結婚したい、というよりも生活(の一部を)共有して関係性を育めるパートナーを見つけたい(言語化すると気持ち悪いな・・・)。

映画

フライド・グリーン・トマト

フライド・グリーン・トマト HDマスター [DVD]

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物語を簡単にいうと、1930年代のアメリカ南部で傷心の女性2人のはなしと、その話を老人ホームで聞く現代(80年代末?)の女性のはなし。 けっこうショッキングな場面も多いのだけれどそれ以上に笑えるところも多くて、わりと感情揺さぶられて楽しい。いい映画だった。 タイトルは2人がやっているカフェの看板メニューなんだけれど、レシピ不明でなぞ。

原作は、英語版が評判よさそうで読んでみたい(読むとは言っていない)

シン・ゴジラ

評判になっているので見に行ったわけです。おもしろかった。 ただ、2回くらいあった矢口さんの感情的で中身のない演説の空虚さが鼻についた(実際の政治でも同じだろうか?)けれど、レビュー記事ではあまりそういう話になっていないけれどどうでしょうか。僕らの享受している平和は、どれほどのものなのだろう。

日本のいちばん長い日

日本のいちばん長い日 [DVD]

日本のいちばん長い日 [DVD]

2015年の役所広司版。 見終わった後に感想をひねり出そうとするも嘆息がでるばかり。 本土決戦を避けたい以上に、現代からみると、ソ連は不可侵条約を破って攻めてくるしマッカーサーの統治も期待以上だったこともあって、和平派にシンパシーを覚える。けれど、クーデターをする側からすれば無条件降伏すればどうなってしまうかわからないという恐怖があったのだろうとも思える。皇軍不滅を熱心に教えられて狂信者になっていた側面もあるのだろう。

その他

本当にあった呪いのビデオ 67,68,69

ほんとにあった!呪いのビデオ 69 [DVD]

ほんとにあった!呪いのビデオ 69 [DVD]

まず、圧倒的にシリーズものであった「禁忌」がよかった。震えた。最初の導入からは想像できない結末であった。男、森澤である。

その他は、光るものはあったけれど印象に残るものは少ない。 気付いちゃった系や存在感ある系が少なかったのもあるかな。防空壕や火葬場廃墟は臨場感あってよかった。公園の花の話は不気味であった。

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まとめ

2016年の目的であった生き抜くはいまのところだいたい達成できている。